夜更けのコインランドリー
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先日の雨が嘘のように、翌日からは晴天が続いていた。
そんな清々しい空の反面、街の平和を守る代償として、私の身体は今日も悲鳴を上げていた。
「逃さないよ!」
逃走するヴィランの足元を狙い、指先から凍てつく波動を放つ。
その瞬間、地面に氷の膜が張り、アスファルトを白く染め上げた。
「う、うわあっ!なんだこれ、滑るっ!」
凄まじい衝突音と共に、ヴィランが無様に転倒する。
その隙を逃さず、私は周囲を氷壁で囲い、逃げ場を完全に封鎖した。
それからほどなくして、応援に駆けつけた警察がヴィランを確保するのを確認し、私はようやく深く吐き出した。
「はぁ……っ、……く……」
一気に全身の体温が奪われる。
耐寒仕様のヒーロースーツさえ、個性の過剰な放出による芯からの冷えを遮断しきれない。
パトロールを終え、事務所の休憩室に戻ると、私は真っ先に備え付けの電子レンジで蒸しタオルを作った。
「……また、やっちゃったな」
震える手でグローブを脱ぎ捨てた腕は、指先から肘にかけて、まるで死人のように紫に変色している。
感覚を失い、麻痺した指先を無理やり曲げようとすると、鋭い痛みが走った。
ガチガチと鳴る奥歯を噛み締め、熱いタオルを腕に巻く。
じわりと熱が染み込んでくるけれど、私の身体は、もっと熱く、火傷しそうなほどの熱を求めていた。
それは、彼から放たれる蒼い炎。
普通の人なら火傷してしまいそうな熱が、今の私には何よりも恋しかった。
……この指を見たら、きっと、また彼に小言を言われるんだろうな。
“学習しねぇな、お前は”
低い、掠れた声が脳内で再生される。
冷淡な言葉とは裏腹に、私の指を包み込んでくれたあの時の温度。
「……なんてね。私、疲れてるのかな。素性の知らない相手に、何期待してるんだろ」
呆れ気味に呟き、私はデスクに置いてある軟膏を手に取った。
彼に渡したのと同じ、特注の保湿剤。
「そろそろ貰いに行かないとな……。彼の分も……」
自分の凍傷の手をケアすることよりも、あの火傷で痛々しい彼の肌を、どう潤すかを考えている自分に気付き、頬が熱くなる。
身体はこんなにも冷え切っているのに、彼を思い出すだけで、胸の奥が温かくなるような感覚。
「私ったら……。まだ、仕事が残っているのに」
気持ちを切り替えるために、私は軟膏のフタを硬く閉めた。
そんな清々しい空の反面、街の平和を守る代償として、私の身体は今日も悲鳴を上げていた。
「逃さないよ!」
逃走するヴィランの足元を狙い、指先から凍てつく波動を放つ。
その瞬間、地面に氷の膜が張り、アスファルトを白く染め上げた。
「う、うわあっ!なんだこれ、滑るっ!」
凄まじい衝突音と共に、ヴィランが無様に転倒する。
その隙を逃さず、私は周囲を氷壁で囲い、逃げ場を完全に封鎖した。
それからほどなくして、応援に駆けつけた警察がヴィランを確保するのを確認し、私はようやく深く吐き出した。
「はぁ……っ、……く……」
一気に全身の体温が奪われる。
耐寒仕様のヒーロースーツさえ、個性の過剰な放出による芯からの冷えを遮断しきれない。
パトロールを終え、事務所の休憩室に戻ると、私は真っ先に備え付けの電子レンジで蒸しタオルを作った。
「……また、やっちゃったな」
震える手でグローブを脱ぎ捨てた腕は、指先から肘にかけて、まるで死人のように紫に変色している。
感覚を失い、麻痺した指先を無理やり曲げようとすると、鋭い痛みが走った。
ガチガチと鳴る奥歯を噛み締め、熱いタオルを腕に巻く。
じわりと熱が染み込んでくるけれど、私の身体は、もっと熱く、火傷しそうなほどの熱を求めていた。
それは、彼から放たれる蒼い炎。
普通の人なら火傷してしまいそうな熱が、今の私には何よりも恋しかった。
……この指を見たら、きっと、また彼に小言を言われるんだろうな。
“学習しねぇな、お前は”
低い、掠れた声が脳内で再生される。
冷淡な言葉とは裏腹に、私の指を包み込んでくれたあの時の温度。
「……なんてね。私、疲れてるのかな。素性の知らない相手に、何期待してるんだろ」
呆れ気味に呟き、私はデスクに置いてある軟膏を手に取った。
彼に渡したのと同じ、特注の保湿剤。
「そろそろ貰いに行かないとな……。彼の分も……」
自分の凍傷の手をケアすることよりも、あの火傷で痛々しい彼の肌を、どう潤すかを考えている自分に気付き、頬が熱くなる。
身体はこんなにも冷え切っているのに、彼を思い出すだけで、胸の奥が温かくなるような感覚。
「私ったら……。まだ、仕事が残っているのに」
気持ちを切り替えるために、私は軟膏のフタを硬く閉めた。
