ひと夏の恋
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〜ひと夏の恋〜
私には好きな人がいる────。
昔、小さい頃の話。
両親は二人とも教師をしている。
そのためか私は厳しく育てられた。
今ではその厳しさがありがたいと思えるようになったけれど、当時の私には荷が重すぎだ。
テストが返ってくる度に、
「常に満点を心がけなさい。でなければ良い学校に入れませんよ」
「はい」
テレビでヴィラン襲撃のニュースが流れる度に、
「野蛮な奴らと関わってはいけない」
「はい」
両親に口々言われた。
もう疲れた。うんざりだ。
そんなときに両親と喧嘩をした。
抵抗のつもりでワザとテストの解答を間違えて提出した。
その散々な結果を見た両親は私を罵倒した。
「なんだこの点数は!初歩的なミスをして!」
「二度とこんな点数取ってこないで!」
「………」
「聞いているのか!」
こうなるって分かっていたはずなのに。
“体調でも悪かったの?”とか“次から頑張りなさい”そんな優しい言葉をかけてくれるなんて淡い期待、するだけ無駄だった。
「……もう嫌だ………」
私は両親から逃げた。
「持ちなさい!」
「●●!どこへ行くんだ!」
後ろからそんな声が聞こえてきたけれど、振り向かず、靴を履く手間すら惜しく、裸足のまま家を飛び出した。
石を踏んだのか足の裏が痛い。
息が切れて苦しい。
だけど、それ以上に両親から逃げたと言う開放感でちっとも苦にならなかった。
気が付けば知らない山奥に入っていた。
辺りは真っ暗闇。
「ここ、どこ…」
我に返ったら急に心細くなった。
帰りたくないけど、帰り道が分からない。
きっと心配している両親が捜索願を出してくれているはず。
………。
私、今何を考えた?
両親が心配?捜索願?
なんて都合が良いんだ。
結局私は両親がいないと何も出来ない。
惨めになった。