燃えかす少女と蒼炎の君
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ある晩、いつものように廃ビルで過ごしていた。
荼毘が買ってきたおにぎりを分け合い、後は彼から蒼い炎をもらって眠るだけ。
そんなとき、突然激しい物音と共に階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。
「え、何?!」
「●●は隠れていろ」
状況が飲み込めないまま、荼毘に言われた通り、咄嗟にガラクタの後ろに隠れた。
体を小さく丸め、息を殺す。
次の瞬間、乱暴に扉が蹴り破られ、荒っぽい男たちが怒号と共になだれ込んできた。
「荼毘、いるんだろ!」
「今日こそ観念しろ!」
ヴィラン連合を狙う敵対組織の一派だ。
荼毘は、さり気なく私が身を隠したガラクタの前に立つように移動し、静かに敵へと向き直る。
そして、蒼い炎を指先に灯した。
「チッ、こんなところまで来やがって。めんどくせぇな」
荼毘は強い。
それは誰より近くで見てきたから分かる。
だけど、今回は明らかに状況が悪い。
狭い部屋で、多勢の敵。
しかも私を守りながら戦わなければならない。
それなのに私は影で荼毘が無事であることを祈るしか出来ない。
顔つきが変わった、と荼毘が言ってくれたけれど、いざという時には、やっぱり私は足手まといで、何もできない自分が悔しい。
せめて、少しでも彼の力になれる何かがあれば、と情けなさがこみ上げてくる。
戦いはどんどん激しさを増していった。
蒼い炎があちこちに燃え広がり、窓ガラスは粉々に砕け、私たちの寝床だったマットレスも無残に切り裂かれ、全てが壊れていく。
それでも、まだ建物が崩れていないことが奇跡のようだ。
しかし、荼毘はひるまず、1人また1人と敵を倒していった。
確実に敵の数は減っている。
このまま行けば……。
そんなとき、急に胸の奥がキリキリと締め付けられるように苦しくなった。
「……ぐっ……っっ……ハァ……ハァ……」
今夜、充分な火をもらう前に戦闘が始まったせいで、体内にはほんの僅かしか荼毘の火が残っていなかった。
それだけではない。
おそらく、恐怖と緊迫で鼓動が早まり、身体の中で火の減りが早まったんだ。
「うっ……ん……っ」
どんどん力が抜けていくのが分かる。
よろけて、隠れていたガラクタに思わず身体をぶつけてしまった。
その鈍い音が部屋に響き、敵がこちらを振り向く。
「あそこに誰か隠れているぞ!」
「やっちまえー!」
標的が荼毘から私へと変わった。
「あぁ……ぁ……」
本当に私って足手まといなんだから……。
いっそのこと、いなくなった方が荼毘は自由に戦えるのかもしれない。
彼が死ぬくらいなら私が……。
そう思った瞬間、こちらへ向かってきた敵が蒼い炎に包まれて灰になった。
「触るなッ!!」
荼毘の目が蒼黒く燃える。
そして、蒼い炎が激しく噴き上がり、敵を一掃した。
その火は今までにないほど強く、激しさと優しさが同時に混じっていた。
私はうずくまったまま、その場から動けないでいる。
そのとき、焦げた床を踏みしめて、荼毘が私のそばに近寄ってきた。
「●●、大丈夫か?」
優しいけれど、どこか怒ったような声音。
手のひらに蒼い炎を灯し、そっと私の前に差し出す。
「荼毘、ごめん……」
「いいから、早く」
震える手で彼の火に触れると、じんわりと身体の奥が暖かくなった。
荼毘はしばらく私がしっかりするのを静かに見守っていた。
その瞳には、先ほどまでの闘志はなく、私の知っている優しい彼の目だった。
「本当にごめんなさい……」
「……気にするな」
その一言に、安心と涙が同時にこみ上げる。
私はただ黙って、彼の手のひらから火を受け取ることしかできなかった。
荼毘が買ってきたおにぎりを分け合い、後は彼から蒼い炎をもらって眠るだけ。
そんなとき、突然激しい物音と共に階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。
「え、何?!」
「●●は隠れていろ」
状況が飲み込めないまま、荼毘に言われた通り、咄嗟にガラクタの後ろに隠れた。
体を小さく丸め、息を殺す。
次の瞬間、乱暴に扉が蹴り破られ、荒っぽい男たちが怒号と共になだれ込んできた。
「荼毘、いるんだろ!」
「今日こそ観念しろ!」
ヴィラン連合を狙う敵対組織の一派だ。
荼毘は、さり気なく私が身を隠したガラクタの前に立つように移動し、静かに敵へと向き直る。
そして、蒼い炎を指先に灯した。
「チッ、こんなところまで来やがって。めんどくせぇな」
荼毘は強い。
それは誰より近くで見てきたから分かる。
だけど、今回は明らかに状況が悪い。
狭い部屋で、多勢の敵。
しかも私を守りながら戦わなければならない。
それなのに私は影で荼毘が無事であることを祈るしか出来ない。
顔つきが変わった、と荼毘が言ってくれたけれど、いざという時には、やっぱり私は足手まといで、何もできない自分が悔しい。
せめて、少しでも彼の力になれる何かがあれば、と情けなさがこみ上げてくる。
戦いはどんどん激しさを増していった。
蒼い炎があちこちに燃え広がり、窓ガラスは粉々に砕け、私たちの寝床だったマットレスも無残に切り裂かれ、全てが壊れていく。
それでも、まだ建物が崩れていないことが奇跡のようだ。
しかし、荼毘はひるまず、1人また1人と敵を倒していった。
確実に敵の数は減っている。
このまま行けば……。
そんなとき、急に胸の奥がキリキリと締め付けられるように苦しくなった。
「……ぐっ……っっ……ハァ……ハァ……」
今夜、充分な火をもらう前に戦闘が始まったせいで、体内にはほんの僅かしか荼毘の火が残っていなかった。
それだけではない。
おそらく、恐怖と緊迫で鼓動が早まり、身体の中で火の減りが早まったんだ。
「うっ……ん……っ」
どんどん力が抜けていくのが分かる。
よろけて、隠れていたガラクタに思わず身体をぶつけてしまった。
その鈍い音が部屋に響き、敵がこちらを振り向く。
「あそこに誰か隠れているぞ!」
「やっちまえー!」
標的が荼毘から私へと変わった。
「あぁ……ぁ……」
本当に私って足手まといなんだから……。
いっそのこと、いなくなった方が荼毘は自由に戦えるのかもしれない。
彼が死ぬくらいなら私が……。
そう思った瞬間、こちらへ向かってきた敵が蒼い炎に包まれて灰になった。
「触るなッ!!」
荼毘の目が蒼黒く燃える。
そして、蒼い炎が激しく噴き上がり、敵を一掃した。
その火は今までにないほど強く、激しさと優しさが同時に混じっていた。
私はうずくまったまま、その場から動けないでいる。
そのとき、焦げた床を踏みしめて、荼毘が私のそばに近寄ってきた。
「●●、大丈夫か?」
優しいけれど、どこか怒ったような声音。
手のひらに蒼い炎を灯し、そっと私の前に差し出す。
「荼毘、ごめん……」
「いいから、早く」
震える手で彼の火に触れると、じんわりと身体の奥が暖かくなった。
荼毘はしばらく私がしっかりするのを静かに見守っていた。
その瞳には、先ほどまでの闘志はなく、私の知っている優しい彼の目だった。
「本当にごめんなさい……」
「……気にするな」
その一言に、安心と涙が同時にこみ上げる。
私はただ黙って、彼の手のひらから火を受け取ることしかできなかった。
