燃えかす少女と蒼炎の君
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家という檻が燃えて消えた夜。
灰と火の臭いが残る空気の中、荼毘は無言で歩き出し、私はその背中を追いかける。
「どこに行くの?」
「ひとまず屋根のあるところ。それとも野宿したいのか?」
「イヤ……です」
荼毘から火をもらったことにより動けるようにはなったけれど、疲労と睡魔は別のお話。
……。
…………。
言われるがまま付いていくと、とある古びた廃ビルに足を踏み入れた。
月明かりの漏れる窓から、埃まみれの廊下がぼんやりと浮かび上がる。
壁には落書きやひび割れが目立っていて、長らく使われていないことが容易に想像出来た。
「ここは……」
「俺がたまに寝泊まりしているところだ」
部屋に足を踏み入れると、以前この建物で使われていたのであろう正体不明の機械や、空の缶やゴミが無造作に転がっていた。
その中で、唯一最近使われた痕跡のあるマットレスと毛布が窓際に置かれていた。
どうやらここで寝泊まりしているのは本当のようだ。
「取り敢えず、今晩はここに泊まれ」
「荼毘は?」
「俺は別件があるから」
「……分かった」
私は小さく答え、硬い床にぽんと置かれたマットレスと毛布の上に座った。
「じゃあな」
ドアに手を掛け、出ていこうとする荼毘。
その瞬間、無性に心細くなり、私は彼を引き止めていた。
「あの……!」
「あ?」
「えっと……その……」
引き止めたはいいものの、言葉が出てこない。
心臓がドクドクと脈を打つ。
そして、ようやく絞り出した声は、自分でも驚くほど小さかった。
「……また、来てくれますか?」
荼毘の口元が、わずかに緩む。
「ちゃんと火やるから。心配すんな」
そう言うと、今度こそ荼毘は部屋から出ていった。
部屋には、ドアが閉まる軽い音だけが残った。
扉の向こうに消えた荼毘の足音も、ほどなくして聞こえなくなる。
私は膝を抱えてマットレスの上に横になり、短い息を吐き出した。
火の心配もそうだけれど、
「それだけじゃないんだけどなぁ……」
私は小さい声でポツリと呟いた。
窓から差し込む月明かりは、そんな私の気持ちとは関係なく、煌々と輝いている。
それに耐えられなくて、無理やり目を瞑る。
すると、今度は天井から水がポタンと落ちる音が気になってきた。
だけど、初めこそ気が散った水音は、一定のリズムで鳴り響き、徐々に心地よく感じてきた。
そして、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
灰と火の臭いが残る空気の中、荼毘は無言で歩き出し、私はその背中を追いかける。
「どこに行くの?」
「ひとまず屋根のあるところ。それとも野宿したいのか?」
「イヤ……です」
荼毘から火をもらったことにより動けるようにはなったけれど、疲労と睡魔は別のお話。
……。
…………。
言われるがまま付いていくと、とある古びた廃ビルに足を踏み入れた。
月明かりの漏れる窓から、埃まみれの廊下がぼんやりと浮かび上がる。
壁には落書きやひび割れが目立っていて、長らく使われていないことが容易に想像出来た。
「ここは……」
「俺がたまに寝泊まりしているところだ」
部屋に足を踏み入れると、以前この建物で使われていたのであろう正体不明の機械や、空の缶やゴミが無造作に転がっていた。
その中で、唯一最近使われた痕跡のあるマットレスと毛布が窓際に置かれていた。
どうやらここで寝泊まりしているのは本当のようだ。
「取り敢えず、今晩はここに泊まれ」
「荼毘は?」
「俺は別件があるから」
「……分かった」
私は小さく答え、硬い床にぽんと置かれたマットレスと毛布の上に座った。
「じゃあな」
ドアに手を掛け、出ていこうとする荼毘。
その瞬間、無性に心細くなり、私は彼を引き止めていた。
「あの……!」
「あ?」
「えっと……その……」
引き止めたはいいものの、言葉が出てこない。
心臓がドクドクと脈を打つ。
そして、ようやく絞り出した声は、自分でも驚くほど小さかった。
「……また、来てくれますか?」
荼毘の口元が、わずかに緩む。
「ちゃんと火やるから。心配すんな」
そう言うと、今度こそ荼毘は部屋から出ていった。
部屋には、ドアが閉まる軽い音だけが残った。
扉の向こうに消えた荼毘の足音も、ほどなくして聞こえなくなる。
私は膝を抱えてマットレスの上に横になり、短い息を吐き出した。
火の心配もそうだけれど、
「それだけじゃないんだけどなぁ……」
私は小さい声でポツリと呟いた。
窓から差し込む月明かりは、そんな私の気持ちとは関係なく、煌々と輝いている。
それに耐えられなくて、無理やり目を瞑る。
すると、今度は天井から水がポタンと落ちる音が気になってきた。
だけど、初めこそ気が散った水音は、一定のリズムで鳴り響き、徐々に心地よく感じてきた。
そして、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
