燃えかす少女と蒼炎の君
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その夜も家の中は冷え切っていた。
家族は誰も私に声を掛けず、顔も見ようとしない。
おかげで今日の分の火をもらい損ねた。
こんな時間に誰かを起こそうものなら、ただでは済まないだろう。
そんな恐怖から耐えるしかなかった。
せめて、体に残された火が抜け出るのを防ぐために、自分で自分を抱きしめる。
……。
…………。
だけど、限界のときは近いのかもしれない。
もらった火はもうほとんど尽きかけている。
胸の奥が焼けるように苦しい。
このままずっと、消えそうな自分を抱きしめて、何にもならず終わるのかな。
そんな諦めが頭をよぎる。
気が付けば、火を求めてぼんやりと家を出ていた。
夜の街は静かで、遠くのネオンがかすんで見える。
頼れる人も、行く当てもなく、ただフラフラと彷徨う。
いつしか歩き慣れない繁華街の裏通りにたどり着いていた。
「誰か、私のことを見つけて……」
誰に言うでもなく呟く。
その時だった。
薄汚れたビルの間、誰もいるはずのない路地で、ふと、遠くに異様に蒼い炎のようなものが視界に入った。
ただの炎ではない。
だけど、私は吸い寄せられるように、足を踏み出していた。
いつもの臆病さでは考えられないほど、身体が勝手に。
路地裏の蒼い炎。
その中心に、青年が1人立っていた。
水色の瞳と無造作な黒髪。
体格はかなり細身で、焼け爛れたようなケロイド質の皮膚で覆われた全身を、金属製の太い継ぎ目で繋ぎ合わせた、異様な外見をしている。
そんな彼の手のひらに灯った蒼い炎は、夜の中で不自然なほど鮮やかに揺れている。
私が蒼い炎に近付くと、彼はこちらに気が付いた。
「……何やってんだ、こんなとこで」
低くくぐもった声が、闇を切る。
私は怯えながらも、素直に打ち明けてしまった。
「……行く場所がなくて。……家にいても、誰も私のことを必要としてくれないから……」
自分で言っていて悲しくなる。
そんな私を、彼は少しだけ目を細めて見た。
「追い出されたのか」
「……違う……けど、みんな本心では追い出したかったんだと思う」
「……」
少しの沈黙の後、彼は小さく鼻で笑い、にやりと口角を上げた。
「家族、嫌いか?」
「……嫌いではない」
一応ここまで育ててくれた恩はある。
たまに忘れられるけれど、ご飯や火だって与えてくれる。
そうでなければ、私はとっくに死んでいたから。
だとしても、
「嫌いじゃないけど、好きでもない」
その瞬間、蒼い炎が揺れたかと思えば、彼の本音が溢れ出す。
「だったら、俺がその家、燃やしてやろうか」
「!?」
その言葉は冗談半分、衝動半分の様に感じた。
でも、今の私の状況を打破するには、これくらい狂ったことをしないと抜け出せないと思った。
だからか、最初こそ驚きはしたけれど、その言葉に恐怖はなかった。
ただ、胸の奥が少しだけ温かくなるだけ。
気が付いたときには、
「燃やして……」
彼に願っていた。
見ず知らずの不審者なのに。
すると彼は、
「そうこなくっちゃ」
と、思いきり皮肉な笑みを浮かべた。
家族は誰も私に声を掛けず、顔も見ようとしない。
おかげで今日の分の火をもらい損ねた。
こんな時間に誰かを起こそうものなら、ただでは済まないだろう。
そんな恐怖から耐えるしかなかった。
せめて、体に残された火が抜け出るのを防ぐために、自分で自分を抱きしめる。
……。
…………。
だけど、限界のときは近いのかもしれない。
もらった火はもうほとんど尽きかけている。
胸の奥が焼けるように苦しい。
このままずっと、消えそうな自分を抱きしめて、何にもならず終わるのかな。
そんな諦めが頭をよぎる。
気が付けば、火を求めてぼんやりと家を出ていた。
夜の街は静かで、遠くのネオンがかすんで見える。
頼れる人も、行く当てもなく、ただフラフラと彷徨う。
いつしか歩き慣れない繁華街の裏通りにたどり着いていた。
「誰か、私のことを見つけて……」
誰に言うでもなく呟く。
その時だった。
薄汚れたビルの間、誰もいるはずのない路地で、ふと、遠くに異様に蒼い炎のようなものが視界に入った。
ただの炎ではない。
だけど、私は吸い寄せられるように、足を踏み出していた。
いつもの臆病さでは考えられないほど、身体が勝手に。
路地裏の蒼い炎。
その中心に、青年が1人立っていた。
水色の瞳と無造作な黒髪。
体格はかなり細身で、焼け爛れたようなケロイド質の皮膚で覆われた全身を、金属製の太い継ぎ目で繋ぎ合わせた、異様な外見をしている。
そんな彼の手のひらに灯った蒼い炎は、夜の中で不自然なほど鮮やかに揺れている。
私が蒼い炎に近付くと、彼はこちらに気が付いた。
「……何やってんだ、こんなとこで」
低くくぐもった声が、闇を切る。
私は怯えながらも、素直に打ち明けてしまった。
「……行く場所がなくて。……家にいても、誰も私のことを必要としてくれないから……」
自分で言っていて悲しくなる。
そんな私を、彼は少しだけ目を細めて見た。
「追い出されたのか」
「……違う……けど、みんな本心では追い出したかったんだと思う」
「……」
少しの沈黙の後、彼は小さく鼻で笑い、にやりと口角を上げた。
「家族、嫌いか?」
「……嫌いではない」
一応ここまで育ててくれた恩はある。
たまに忘れられるけれど、ご飯や火だって与えてくれる。
そうでなければ、私はとっくに死んでいたから。
だとしても、
「嫌いじゃないけど、好きでもない」
その瞬間、蒼い炎が揺れたかと思えば、彼の本音が溢れ出す。
「だったら、俺がその家、燃やしてやろうか」
「!?」
その言葉は冗談半分、衝動半分の様に感じた。
でも、今の私の状況を打破するには、これくらい狂ったことをしないと抜け出せないと思った。
だからか、最初こそ驚きはしたけれど、その言葉に恐怖はなかった。
ただ、胸の奥が少しだけ温かくなるだけ。
気が付いたときには、
「燃やして……」
彼に願っていた。
見ず知らずの不審者なのに。
すると彼は、
「そうこなくっちゃ」
と、思いきり皮肉な笑みを浮かべた。
