うしろの正面だあれ
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〜うしろの正面だあれ〜
メラメラと燃える青白い炎。
崩れ落ちる家屋。
私を含め傍観している野次馬。
遅れてやってきた消防車。
そんな光景を見ながら私は、
「命が燃えている……」
と、不謹慎だと承知で呟いてしまった。
今思えば仕事に疲れていたせいだと思う。
ーーーー
ピピピピーッ ピピピピーッ
「ふぁ〜〜……うるさっ」
私、◯◯●●の1日は、このけたたましい目覚ましのアラー厶音とともに始まる。
重い体を無理やり動かし、朝の支度をする。
歯を磨きながらぼーっとテレビの報道番組を眺めていると、昨晩の火事が取り上げられていた。
家は全焼、周囲の家もただでは済まなかった。
真夜中の火事だったため、住人のほとんどは気が付かない間に焼死。
出火原因は見つかっておらず、警察は最近続いている事件の連続放火魔の仕業だと見ているらしい。
「惨いな……」
そんな真夜中にも関わらず現場を見ていた私は犯人の放火魔……ではなく、ただのしがない社畜。
いつものように深夜までサービス残業をこなした後に、フラフラと帰宅している途中で目撃したのだ。
急いで通報しようかと思ったけれど、既に誰かが通報したのか、程なくしてサイレンとともに消防車が駆けつけた。
近くにいたせいか、消火後に救急隊員に色々と事情を聞かれたけれど、私が来たときにはそこそこの規模が燃えていたため、何も知らない。
もちろん怪しい人物だって見ていない。
とんだ足止めを食らった。
ただすら残業で疲れていたのに余計に疲れることをしやがって。
そういう訳で今、とても寝不足である。
「あ、ゆっくりし過ぎた」
だけど、そんなことは世の中には関係ないわけで、私は残りの支度を済ませ、今日も会社へと向かう。