ひと夏の恋
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燈矢君と両想いになった。
これからきっと楽しいことが待っているに違いない。
そう思っていたのに、
「次の土曜日にここを引っ越す。だから●●も荷物をまとめておきなさい」
お父さんの口から出た衝撃的な言葉。
「え?」
思わず聞き返してしまった。
急なことで意味が分からない。
進学のタイミングやお父さんの転勤でもなく、何で全く関係のない今なの?
「やだやだ!引っ越ししたくない!」
だって、引っ越ししたら燈矢君に会えなくなってしまう。
「言わなかったが、お前が夜中にこっそり抜け出していることには気が付いていた」
「……っ!」
「お母さんたちはアナタのためを思って言っているのよ?」
「そうだ。非行しているせいで最近成績も落ちてきた。怪我だって……」
私は火傷を負った手を後ろに回して隠した。
両親が優しくなったことを良いことに、勉強を怠っていたのは確かだ。
私を思って厳しくしてくれていることを理解できる今は、両親をこれ以上裏切られない、悲しい思いをさせたくない。
だからこれ以上ワガママは言えなかった。
「分かりました」
せめて、せめて最後に燈矢君にこのことを伝えたい。
だけど、両親の見張りによって抜け出せなかった。
こんなことになるなら燈矢君の連絡先や家を聞いておけばよかった。
何が燈矢君と昔からの知り合いのように感じた、だよ。
何も知らないじゃない。
瀬古杜岳………秘密の場所以外、どこへ行けば彼に会えるのか分からない。
燈矢君に何も伝えられないまま、引っ越しの日が来てしまった。
車に揺られながら、私は窓の外を眺める。
もうじきあの山が見える。
何も言えずに去ることが後ろめたくて目をそらしてしまった。
元気でね、燈矢君。ばいばい…。
ーーーー
あれから10年以上が経ち、私は社会人になった。
世の中はヴィラン連合とヒーローの最終全面戦争が終わりを迎えた。
復旧作業は順調に進み、テレビを点ければヒーローの追悼や捕まったヴィランの詳細ばかりが流れている。
そんな中、一人のヴィランが目についた。
名前は荼毘。
あの、No.1ヒーローの息子と騒がれたヴィラン。
青白い炎を出す個性。
ふと彼のことを思い出した。
「燈矢君……」
元気にしているかな。
どこかでヒーローをやっているのかな。
ひょっとして、この最終全面戦争で活躍していたり。
久しぶりに会いたいな。
会って色々とお話がしたいな。
黙っていなくなってごめんねって。
燈矢君はあのときした口約束のことを覚えている?
それとも忘れちゃったかな。
手のひらに残された火傷の痕。
整形手術で消そうと思えばできた。
でも、私はアナタが迎えに来てくれるのをずっと待っているよ。
今、アナタは何をしていますか。
ーーFinーー
これからきっと楽しいことが待っているに違いない。
そう思っていたのに、
「次の土曜日にここを引っ越す。だから●●も荷物をまとめておきなさい」
お父さんの口から出た衝撃的な言葉。
「え?」
思わず聞き返してしまった。
急なことで意味が分からない。
進学のタイミングやお父さんの転勤でもなく、何で全く関係のない今なの?
「やだやだ!引っ越ししたくない!」
だって、引っ越ししたら燈矢君に会えなくなってしまう。
「言わなかったが、お前が夜中にこっそり抜け出していることには気が付いていた」
「……っ!」
「お母さんたちはアナタのためを思って言っているのよ?」
「そうだ。非行しているせいで最近成績も落ちてきた。怪我だって……」
私は火傷を負った手を後ろに回して隠した。
両親が優しくなったことを良いことに、勉強を怠っていたのは確かだ。
私を思って厳しくしてくれていることを理解できる今は、両親をこれ以上裏切られない、悲しい思いをさせたくない。
だからこれ以上ワガママは言えなかった。
「分かりました」
せめて、せめて最後に燈矢君にこのことを伝えたい。
だけど、両親の見張りによって抜け出せなかった。
こんなことになるなら燈矢君の連絡先や家を聞いておけばよかった。
何が燈矢君と昔からの知り合いのように感じた、だよ。
何も知らないじゃない。
瀬古杜岳………秘密の場所以外、どこへ行けば彼に会えるのか分からない。
燈矢君に何も伝えられないまま、引っ越しの日が来てしまった。
車に揺られながら、私は窓の外を眺める。
もうじきあの山が見える。
何も言えずに去ることが後ろめたくて目をそらしてしまった。
元気でね、燈矢君。ばいばい…。
ーーーー
あれから10年以上が経ち、私は社会人になった。
世の中はヴィラン連合とヒーローの最終全面戦争が終わりを迎えた。
復旧作業は順調に進み、テレビを点ければヒーローの追悼や捕まったヴィランの詳細ばかりが流れている。
そんな中、一人のヴィランが目についた。
名前は荼毘。
あの、No.1ヒーローの息子と騒がれたヴィラン。
青白い炎を出す個性。
ふと彼のことを思い出した。
「燈矢君……」
元気にしているかな。
どこかでヒーローをやっているのかな。
ひょっとして、この最終全面戦争で活躍していたり。
久しぶりに会いたいな。
会って色々とお話がしたいな。
黙っていなくなってごめんねって。
燈矢君はあのときした口約束のことを覚えている?
それとも忘れちゃったかな。
手のひらに残された火傷の痕。
整形手術で消そうと思えばできた。
でも、私はアナタが迎えに来てくれるのをずっと待っているよ。
今、アナタは何をしていますか。
ーーFinーー