姿形が変わっていようとも
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜姿形が変わっていようとも〜
私には好きな人がいる。
その人は頑張り屋さんで太陽みたいな温かい匂いの持ち主。
普通の人には感じないと思うけど私の個性『超嗅覚』なら分かる。
もちろん普段から個性を発動させると鼻が疲れるからしていないけど、それでも普通の人よりは鋭い方だ。
だから、通常モードでもアロマを焚いたお店や香水を扱っているお店には入れない。
そんなことを考えていると彼の匂いが近づいてきた。
教室の扉を開ける音と同時に溢れる匂い。
「おはよう、燈矢君!」
「おはよう、●●ちゃん!」
私の個性を知っていても、こっそり自分の匂いを嗅がれているとは思っていない燈矢君は、いつも明るく挨拶をしてくれる。
「燈矢君、またケガ増えてるね」
「おうよ、だけど練習の成果は出てるんだぜ?」
そう言って嬉しそうに話す燈矢君。
彼のお家は厳しいらしく、その中でも長男の燈矢君は尚更個性伸ばしに勤しんでいる。
だけど、父親譲りの火力を備えているけど、身体は母親譲りの氷結の個性の体質を持っているらしく、いつも新しい火傷を作って登校してくる。
「無理しないでね」
「ありがとう!」
そんな日が続くもいつかは克服してスーパーヒーローになるものだと思っていた。
それなのに、突然知らされた燈矢君のお葬式。
遺体は見せられる状態じゃないから、と棺桶の中は見せてもらえなかった。
本当に中に入っているのはアナタなの?
匂いで確認したくても涙と鼻水でぐちゃぐちゃで機能しないし、そもそも冷静でいられない私にはそんな余裕はなかった。
信じたくなかった。
燈矢君が死んだなんて。
だけど、翌日から普通に学校はあるわけで、燈矢君の席にはお花が生けられていた。
それを見ても、いつもみたいにおはようって私の名前を呼んで教室に入ってくる彼の幻影を見てしまう。
悲しい、寂しい。
1/2ページ