電車の君
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーー西谷sideーー
テスト期間だから部活もできず、俺は仕方がなく龍と一緒に帰ることにした。
「赤点回避できっかなー」
「しないと遠征行けないからやるしかないだろ」
そんな話をしながら駅に向かっていると、路肩に何か落ちているのに気が付いた。
「ノヤさん、どうした?」
「パスケース……」
それはオレンジ色のパスケース。
俺はこれに見覚えがあった。
朝、電車で見かける名も知らない彼女が鞄に付けていた物と同じ。
気になっている子だから覚えていた。
気持ち悪いって思われるかもしれないから、龍にはそれを言わないけど。
「持ち主困ってるな。駅か学校に届けるか………って定期だけじゃ学校は分かんねぇか」
案の定、龍はこのパスケースを見てピンと来ていないようだ。
彼女は南女子高校の制服を着ていた。
だけど、出来れば直接渡したい。
「駅に持っていこうぜ」
「そうだな」
もしかしたら、探している彼女に会えるかもしれない。
そう言えば定期って名前が書いてあるよな。
見ても………いいよな?
◯◯●●さん。18歳。
先輩だったのか。
●●さん……●●さん。
俺は頭の中で何度も復唱した。
「お、あの人、何か探しているように見えねぇか?」
自分の世界に入っていて気が付かなかった。
龍が言う人を見ると、確かに彼女だった。
だけど、いつも電車で見ているなんて知られたくなくて、俺は、
「お、おう。彼女かもしれないな」
なんて、しらばっくれる言葉しか出なかった。
「ほら、ノヤさん話しかけてきなよ」
緊張を押さえ込み、俺は彼女に話しかけた。
振り向いた彼女は驚いた顔をしていた。
いきなり知らないやつに声かけられたらそうなるよな。
だけど、パスケースを渡すと先ほどとは打って変わって笑顔でお礼を言う彼女。
その笑顔に俺は完全にやられた。
「えっと、何かお礼を」
なんて言う彼女に“俺と付き合ってください!”と言う言葉を飲み込んで、
「いやいや、お礼なんて気にしないで下さい」
と言った。
結局サイダーを奢ってもらったけど、ここは大人っぽくコーヒーにするべきだったか。
なんて気にしていると、乗る予定の電車が。
三人で乗り込み、降りる駅が来るまで自己紹介をした。
龍に隠れてこっそりパスケースを覗いて名前と歳を確認したのに、結局龍にも知られてしまった。
しかも、俺は名前で呼びたかったのに、龍が先に◯◯さんなんて名字呼びをするから、俺も名字で呼ばざるをえなくなった。
だからせめて、
「あ、私この駅なので」
と降りようとした●●さんに、
「また………また見かけたら話しかけてもいいですか!」
と尋ねた。
「いいよ」
その言葉に俺はこっそりとガッツポーズをした。
ドアが閉まり、電車は次の駅に向かうため走り始めると、龍に話しかけられた。
「ノヤさん」
「?」
振り向くとニヤニヤした顔の龍。
「青春だな」
「………」
こっそりのはずが龍に見られていた。最悪だ。
テスト期間だから部活もできず、俺は仕方がなく龍と一緒に帰ることにした。
「赤点回避できっかなー」
「しないと遠征行けないからやるしかないだろ」
そんな話をしながら駅に向かっていると、路肩に何か落ちているのに気が付いた。
「ノヤさん、どうした?」
「パスケース……」
それはオレンジ色のパスケース。
俺はこれに見覚えがあった。
朝、電車で見かける名も知らない彼女が鞄に付けていた物と同じ。
気になっている子だから覚えていた。
気持ち悪いって思われるかもしれないから、龍にはそれを言わないけど。
「持ち主困ってるな。駅か学校に届けるか………って定期だけじゃ学校は分かんねぇか」
案の定、龍はこのパスケースを見てピンと来ていないようだ。
彼女は南女子高校の制服を着ていた。
だけど、出来れば直接渡したい。
「駅に持っていこうぜ」
「そうだな」
もしかしたら、探している彼女に会えるかもしれない。
そう言えば定期って名前が書いてあるよな。
見ても………いいよな?
◯◯●●さん。18歳。
先輩だったのか。
●●さん……●●さん。
俺は頭の中で何度も復唱した。
「お、あの人、何か探しているように見えねぇか?」
自分の世界に入っていて気が付かなかった。
龍が言う人を見ると、確かに彼女だった。
だけど、いつも電車で見ているなんて知られたくなくて、俺は、
「お、おう。彼女かもしれないな」
なんて、しらばっくれる言葉しか出なかった。
「ほら、ノヤさん話しかけてきなよ」
緊張を押さえ込み、俺は彼女に話しかけた。
振り向いた彼女は驚いた顔をしていた。
いきなり知らないやつに声かけられたらそうなるよな。
だけど、パスケースを渡すと先ほどとは打って変わって笑顔でお礼を言う彼女。
その笑顔に俺は完全にやられた。
「えっと、何かお礼を」
なんて言う彼女に“俺と付き合ってください!”と言う言葉を飲み込んで、
「いやいや、お礼なんて気にしないで下さい」
と言った。
結局サイダーを奢ってもらったけど、ここは大人っぽくコーヒーにするべきだったか。
なんて気にしていると、乗る予定の電車が。
三人で乗り込み、降りる駅が来るまで自己紹介をした。
龍に隠れてこっそりパスケースを覗いて名前と歳を確認したのに、結局龍にも知られてしまった。
しかも、俺は名前で呼びたかったのに、龍が先に◯◯さんなんて名字呼びをするから、俺も名字で呼ばざるをえなくなった。
だからせめて、
「あ、私この駅なので」
と降りようとした●●さんに、
「また………また見かけたら話しかけてもいいですか!」
と尋ねた。
「いいよ」
その言葉に俺はこっそりとガッツポーズをした。
ドアが閉まり、電車は次の駅に向かうため走り始めると、龍に話しかけられた。
「ノヤさん」
「?」
振り向くとニヤニヤした顔の龍。
「青春だな」
「………」
こっそりのはずが龍に見られていた。最悪だ。