幸せの重み
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帰りのホームルームが終わり、夕の教室の前で彼を待った。
ほどなくして夕のクラスもザワザワし始める。
ホームルームが終わったんだろうか。
夕はクラスの友達と喋りながら出てきた。
それを遮るように呼び掛ける。
「夕!」
「おう、●●!」
夕は話していた友達と別れ、私の元へ来てくれた。
「どうした?」
「あのね、話したいことがあるの……」
「奇遇だな。俺もだ」
え、夕も……?
なんだろう。
もしかして、旅人になる考えが変わった、とか。
だけど、これから私たちは部活がある。
始まるまでの短い時間で話す内容でもないため、部活が終わったら一緒に帰る約束をした。
「約束忘れて自主練しないでね?」
「大丈夫だって!じゃあ後でな」
別れた後部活に行ったけど、夕の話が気になり過ぎて全く集中できなかった。
……。
…………。
「お疲れ様でした!」
さて、片付けをして校門で待とうかな。
いや、第2体育館まで行った方がいいかな。
夕のことだから、なんだかんだ約束を忘れて部活に熱中していそうだし。
片付けと着替えを済ませた後、第2体育館へ向かった。
体育館の明かりは……まだ付いている。
ほら、やっぱりね。
だけど、開いていた扉からこっそり中を覗き込んだけれど、夕の姿は見当たらなかった。
「あれ……?」
と、なると……。
私はハッとして慌てて校門へ向かった。
そこにはつまらなさそうに佇む夕がいた。
「ご、ごめんね、夕!遅くなっちゃった」
「おう、全然大丈夫だ!」
先ほどまでつまらなさそうにしていた夕は私を見つけるや否や、パッと笑顔になった。
笑顔ってことは、やっぱり良い話なのかな?
ひとまず帰途につくことにした。
この時間、まだまだ日が落ちるのは早いけれど、街頭と家々の灯りのおかげでさほど暗くなかった。
最初こそただの雑談をしていたけれど、そろそろいいかな……。
しっとりとした雰囲気の中、私は話を切り出すことにした。
「授業終わりに言っていた……夕の話したいことって何?」
きっと進路を見直した、そんな内容に違いない。
だけど、私の想像とは全く違うことを言われた。
「龍のこと……気になるのか?」
「……え?」
「だってよ、昼間、中庭で楽しそうに話しているのを見ちまって」
あれを見ていたのか。
隠れてコソコソすることでもないと思って、夕に内容を聞かれなければいい、それだけを考えて中庭を選んだ。
それが逆効果になるとは。
「ち、違うよ!田中君はただの友達!」
「じゃあ、あんとき何話してたんだよ」
夕の眉間にはシワが寄り、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
そんなに心配そうな顔しないで。
だって話していた内容は、
「夕のことだよ」
「え、俺?!」
「そう、夕のこと」
意外だったのか、夕は目をまんまるとさせた。
「夕が卒業したら旅人になるって言うから、どうしたらいいか相談してたの」
「そんなこと……」
「そんなことじゃないよ。私にとっては大切なことなの」
「それで、龍は何て?」
「付いて行いけばいいだろって」
「ははは、龍らしいな」
それはまるで田中君には敵わないな、とでも言わんばかりの乾いた笑いだった。
「だけど、私は行かない」
「え、……」
私は足を止めて、真っ直ぐに夕を見つめた。
「正確には直ぐには行かない。大学に行って、もしかしたら就職とかもして、好きなことをして満足したら……。それから夕に付いていく」
「●●……」
言いたいことを言い終えると、急に不安になって目を逸らしてしまった。
だけど、答えを聞かないと。
「ダメかな?」
さほど背の変わらない私たち。
様子を伺うように上目遣いをした。
すると夕は、
「ダメなわけあるかよ!」
目を輝かせていた。
良かった。
「ふふふっ、じゃあ合流したときちゃんと歓迎してね」
「おう!」
これから先、一緒にいる選択を取るとお互い重荷になる機会が増える。
だけど、その重みが幸せだって思える関係になりたいね。
ーーFinーー
ほどなくして夕のクラスもザワザワし始める。
ホームルームが終わったんだろうか。
夕はクラスの友達と喋りながら出てきた。
それを遮るように呼び掛ける。
「夕!」
「おう、●●!」
夕は話していた友達と別れ、私の元へ来てくれた。
「どうした?」
「あのね、話したいことがあるの……」
「奇遇だな。俺もだ」
え、夕も……?
なんだろう。
もしかして、旅人になる考えが変わった、とか。
だけど、これから私たちは部活がある。
始まるまでの短い時間で話す内容でもないため、部活が終わったら一緒に帰る約束をした。
「約束忘れて自主練しないでね?」
「大丈夫だって!じゃあ後でな」
別れた後部活に行ったけど、夕の話が気になり過ぎて全く集中できなかった。
……。
…………。
「お疲れ様でした!」
さて、片付けをして校門で待とうかな。
いや、第2体育館まで行った方がいいかな。
夕のことだから、なんだかんだ約束を忘れて部活に熱中していそうだし。
片付けと着替えを済ませた後、第2体育館へ向かった。
体育館の明かりは……まだ付いている。
ほら、やっぱりね。
だけど、開いていた扉からこっそり中を覗き込んだけれど、夕の姿は見当たらなかった。
「あれ……?」
と、なると……。
私はハッとして慌てて校門へ向かった。
そこにはつまらなさそうに佇む夕がいた。
「ご、ごめんね、夕!遅くなっちゃった」
「おう、全然大丈夫だ!」
先ほどまでつまらなさそうにしていた夕は私を見つけるや否や、パッと笑顔になった。
笑顔ってことは、やっぱり良い話なのかな?
ひとまず帰途につくことにした。
この時間、まだまだ日が落ちるのは早いけれど、街頭と家々の灯りのおかげでさほど暗くなかった。
最初こそただの雑談をしていたけれど、そろそろいいかな……。
しっとりとした雰囲気の中、私は話を切り出すことにした。
「授業終わりに言っていた……夕の話したいことって何?」
きっと進路を見直した、そんな内容に違いない。
だけど、私の想像とは全く違うことを言われた。
「龍のこと……気になるのか?」
「……え?」
「だってよ、昼間、中庭で楽しそうに話しているのを見ちまって」
あれを見ていたのか。
隠れてコソコソすることでもないと思って、夕に内容を聞かれなければいい、それだけを考えて中庭を選んだ。
それが逆効果になるとは。
「ち、違うよ!田中君はただの友達!」
「じゃあ、あんとき何話してたんだよ」
夕の眉間にはシワが寄り、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
そんなに心配そうな顔しないで。
だって話していた内容は、
「夕のことだよ」
「え、俺?!」
「そう、夕のこと」
意外だったのか、夕は目をまんまるとさせた。
「夕が卒業したら旅人になるって言うから、どうしたらいいか相談してたの」
「そんなこと……」
「そんなことじゃないよ。私にとっては大切なことなの」
「それで、龍は何て?」
「付いて行いけばいいだろって」
「ははは、龍らしいな」
それはまるで田中君には敵わないな、とでも言わんばかりの乾いた笑いだった。
「だけど、私は行かない」
「え、……」
私は足を止めて、真っ直ぐに夕を見つめた。
「正確には直ぐには行かない。大学に行って、もしかしたら就職とかもして、好きなことをして満足したら……。それから夕に付いていく」
「●●……」
言いたいことを言い終えると、急に不安になって目を逸らしてしまった。
だけど、答えを聞かないと。
「ダメかな?」
さほど背の変わらない私たち。
様子を伺うように上目遣いをした。
すると夕は、
「ダメなわけあるかよ!」
目を輝かせていた。
良かった。
「ふふふっ、じゃあ合流したときちゃんと歓迎してね」
「おう!」
これから先、一緒にいる選択を取るとお互い重荷になる機会が増える。
だけど、その重みが幸せだって思える関係になりたいね。
ーーFinーー