幸せの重み
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翌朝、重い瞼をこすりながら校門をくぐった。
昨晩、暗闇の中で天井を見つめながら何度も自問自答を繰り返したせいで、中々寝付けなかった。
その割には答えは出ないまま。
1人で考えても堂々巡りをするばかりだ。
こんなときは信頼できる人に相談するのが一番。
……やっぱり、あの人に聞くしかない。
私はスマホを操作し、1通のメッセージを送った。
“相談したいことがあるから、お昼に中庭のベンチに来てくれないかな?”
それからは、お昼の時間になるまで適当に授業をやり過ごした。
……。
…………。
昼休み。
私は急いで中庭のベンチへ向かった。
彼は……まだ来ていないようだ。
誰もいないベンチに腰掛け、乱れた息を整えた。
「ふー……」
「よう、●●さん!待たせたか?!」
「!?」
すっかり落ち着いた頃、不意に、頭上から声が降ってきた。
私が呼び出した人物だ。
「ううん、今来たところ。ごめんね、田中君。急に呼び出して」
夕と一番仲が良くて、清水先輩の彼氏でもある田中龍之介。
隣にドカッと腰を下ろした田中君は、いつものように気合の入った坊主頭を撫でて笑った。
その屈託のなさが、今は少しだけ眩しい。
「それで、相談ってのは……やっぱり、ノヤさんのことか?」
「……うん」
私は昨日あったことを話した。
夕から告げられた旅人になる進路のこと。
「行かないで」と言っていいのか迷っていること。
遠距離恋愛になること。
それから、本当に私のことが好きなのか不安に思っていること。
ひとしきり話し終わると、静かに聞いていた田中君が急に腹を抱えて笑いだした。
「ガハハッ!ノヤさんらしいな!」
「笑い事じゃないよ、田中君!」
「いや、わりぃ!でもよ、あまりにノヤさんらしいっつーか、予想通りすぎてよ!」
田中君は笑ったせいで目尻に溜まった涙を拭いながら、続きを話し始めた。
「いいか、●●さん。ノヤさんは自由な男なんだ。それを止めることなんて誰にもできやしねぇ」
「でも……」
それなら、行かないでなんて言わず、快く送り出せばよいのか。
「まあ、止めることはできなくても、付いて行くことはできるだろ?」
「付いて行ってもいいの?でも、私だって大学で学びたいことがあるし……」
「別に直ぐにとは言わねぇよ。●●さんだってやりたいことやってから行けばいい。なにも自由なのはノヤさんだけとは限らねぇしな!」
「そもそもだけど、付いて行って迷惑にならない?だって夕、私のこと好きだって言ってくれないし……」
そんな相手に旅先に付いて来られたら、重荷になるに決まっている。
すると田中君は、腕を組みながらウンウンと納得するように言った。
「俺はノヤさんと違うけど、アイツの気持ちは分かるなー」
「分かるって、どう分かるの?」
身を乗り出す私に、田中君は首を横に振るだけだった。
「それは俺の口から軽々しく言えることじゃねぇ。アイツ本人の口から聞くのが一番だ。……ただ、これだけは言える。ノヤさんは、興味ねぇヤツと一緒にいる男じゃねぇ」
「……えっ」
「あとは本人にぶつかってこい!●●さんなら大丈夫だ!」
力強く背中を叩かれ、その熱さに少しだけ勇気が湧いてくる。
田中君の言う通りだ。
夕はいつだって本気で、嘘を吐けない男。
「……うん。分かった。夕に、ちゃんと聞いてみる」
「おう! 応援してるぜ!」
ニカッと歯を見せて笑う田中君。
こんな友達思いで、男気溢れる彼にきっと清水先輩は惚れたのだと思った。
昨晩、暗闇の中で天井を見つめながら何度も自問自答を繰り返したせいで、中々寝付けなかった。
その割には答えは出ないまま。
1人で考えても堂々巡りをするばかりだ。
こんなときは信頼できる人に相談するのが一番。
……やっぱり、あの人に聞くしかない。
私はスマホを操作し、1通のメッセージを送った。
“相談したいことがあるから、お昼に中庭のベンチに来てくれないかな?”
それからは、お昼の時間になるまで適当に授業をやり過ごした。
……。
…………。
昼休み。
私は急いで中庭のベンチへ向かった。
彼は……まだ来ていないようだ。
誰もいないベンチに腰掛け、乱れた息を整えた。
「ふー……」
「よう、●●さん!待たせたか?!」
「!?」
すっかり落ち着いた頃、不意に、頭上から声が降ってきた。
私が呼び出した人物だ。
「ううん、今来たところ。ごめんね、田中君。急に呼び出して」
夕と一番仲が良くて、清水先輩の彼氏でもある田中龍之介。
隣にドカッと腰を下ろした田中君は、いつものように気合の入った坊主頭を撫でて笑った。
その屈託のなさが、今は少しだけ眩しい。
「それで、相談ってのは……やっぱり、ノヤさんのことか?」
「……うん」
私は昨日あったことを話した。
夕から告げられた旅人になる進路のこと。
「行かないで」と言っていいのか迷っていること。
遠距離恋愛になること。
それから、本当に私のことが好きなのか不安に思っていること。
ひとしきり話し終わると、静かに聞いていた田中君が急に腹を抱えて笑いだした。
「ガハハッ!ノヤさんらしいな!」
「笑い事じゃないよ、田中君!」
「いや、わりぃ!でもよ、あまりにノヤさんらしいっつーか、予想通りすぎてよ!」
田中君は笑ったせいで目尻に溜まった涙を拭いながら、続きを話し始めた。
「いいか、●●さん。ノヤさんは自由な男なんだ。それを止めることなんて誰にもできやしねぇ」
「でも……」
それなら、行かないでなんて言わず、快く送り出せばよいのか。
「まあ、止めることはできなくても、付いて行くことはできるだろ?」
「付いて行ってもいいの?でも、私だって大学で学びたいことがあるし……」
「別に直ぐにとは言わねぇよ。●●さんだってやりたいことやってから行けばいい。なにも自由なのはノヤさんだけとは限らねぇしな!」
「そもそもだけど、付いて行って迷惑にならない?だって夕、私のこと好きだって言ってくれないし……」
そんな相手に旅先に付いて来られたら、重荷になるに決まっている。
すると田中君は、腕を組みながらウンウンと納得するように言った。
「俺はノヤさんと違うけど、アイツの気持ちは分かるなー」
「分かるって、どう分かるの?」
身を乗り出す私に、田中君は首を横に振るだけだった。
「それは俺の口から軽々しく言えることじゃねぇ。アイツ本人の口から聞くのが一番だ。……ただ、これだけは言える。ノヤさんは、興味ねぇヤツと一緒にいる男じゃねぇ」
「……えっ」
「あとは本人にぶつかってこい!●●さんなら大丈夫だ!」
力強く背中を叩かれ、その熱さに少しだけ勇気が湧いてくる。
田中君の言う通りだ。
夕はいつだって本気で、嘘を吐けない男。
「……うん。分かった。夕に、ちゃんと聞いてみる」
「おう! 応援してるぜ!」
ニカッと歯を見せて笑う田中君。
こんな友達思いで、男気溢れる彼にきっと清水先輩は惚れたのだと思った。
