幸せの重み
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翌日の朝。
「ふはぁ〜」
大あくびをしながらの登校。
昨晩考え事をしていて中々寝付けなかった。
だけど、寝付けなかった割に答えは出ない。
1人で考えても堂々巡りをするばかりだ。
こんなときは信頼できる人に相談するのが一番。
夕のことを相談するには、あの男以外いない。
その人物に、
“相談したいことがあるから、お昼に中庭のベンチに来てくれないかな?”
メッセージを送信してお昼の時間になるまで適当に授業をやり過ごした。
ーーーー
やってきたお昼休み。
呼び出しておいて待たせるのは良くないと思い、教材を片付けて足早に待ち合わせ場所へと向かった。
……。
…………。
彼は……まだ来ていないようだ。
誰もいないベンチに腰掛け、乱れた息を整えた。
春休みは部活が少なくて、すっかり運動不足みたい。
「ふー……」
「どうしたよ、●●さん」
「!?」
すっかり落ち着いた頃、急に頭上から声が降ってきた。
私が呼び出した人物だ。
「ごめんね、田中君。急に連絡して」
夕と一番仲が良くて、想い人である清水先輩の彼氏でもある田中龍之介。
彼女なのに夕の想い人って言って、少し悲しくなった。
「それで、相談したいことって?」
田中君は適度な間隔を空けて、私の隣にドカッと腰掛けた。
「夕のことなんだけどね……」
私は昨日あったことを話した。
夕に将来は旅人になると言われたこと。
行かないで、と言っていいのか迷っていること。
遠距離恋愛になること。
それから、本当に私のことが好きなのか不安に思っていること。
ひと通り話し終わると、静かに聞いていた田中君が急に笑いだした。
「ガハハッ!ノヤさんらしいな!」
「笑い事じゃないって」
もしかして、田中君も夕と同じ考えの持ち主だった?
そう思うと急に心配になった。
田中君は笑ったせいで目尻に溜まった涙を拭いながら、続きを話し始めた。
「ノヤさんは自由な男なんだ。それを止めることなんて誰にもできやしねぇ」
「でも……」
それなら行かないでなんて言わず、快く送り出せって言うこと?
「まあ、止めることはできなくても、付いて行くことはできるだろ?」
「付いて行ってもいいの?でも、私だって大学で学びたいことがあるし……」
「別に直ぐにとは言わねぇよ。●●さんだってやりたいことやってから行けばいい。なにも自由なのはノヤさんだけとは限らねぇしな!」
「そもそもだけど、付いて行って迷惑にならない?だって夕、私のこと好きだって言ってくれないし……」
そんな相手に旅先に付いて来られたら、重荷になるに決まっている。
すると田中君は、
「俺はノヤさんと違うけど、アイツの気持ちは分かるなー」
腕を組みながらウンウンと納得するように言った。
「分かるってどう分かるの?」
「それは俺の口から軽々しく言えないから、本人に聞いてくれ」
結局革新的な答えは得られなかっただけれど、話すことによって夕に直接聞く勇気は貰えた。
お礼に今度坂ノ下商店の肉まんでも奢ろうかな。
「分かった。夕に聞いてみる」
「おう!●●さんなら大丈夫だから!」
ニカッと歯を見せて笑う田中君。
こんな友達思いで、男気溢れる彼にきっと清水先輩は惚れたんだと思った。
「ふはぁ〜」
大あくびをしながらの登校。
昨晩考え事をしていて中々寝付けなかった。
だけど、寝付けなかった割に答えは出ない。
1人で考えても堂々巡りをするばかりだ。
こんなときは信頼できる人に相談するのが一番。
夕のことを相談するには、あの男以外いない。
その人物に、
“相談したいことがあるから、お昼に中庭のベンチに来てくれないかな?”
メッセージを送信してお昼の時間になるまで適当に授業をやり過ごした。
ーーーー
やってきたお昼休み。
呼び出しておいて待たせるのは良くないと思い、教材を片付けて足早に待ち合わせ場所へと向かった。
……。
…………。
彼は……まだ来ていないようだ。
誰もいないベンチに腰掛け、乱れた息を整えた。
春休みは部活が少なくて、すっかり運動不足みたい。
「ふー……」
「どうしたよ、●●さん」
「!?」
すっかり落ち着いた頃、急に頭上から声が降ってきた。
私が呼び出した人物だ。
「ごめんね、田中君。急に連絡して」
夕と一番仲が良くて、想い人である清水先輩の彼氏でもある田中龍之介。
彼女なのに夕の想い人って言って、少し悲しくなった。
「それで、相談したいことって?」
田中君は適度な間隔を空けて、私の隣にドカッと腰掛けた。
「夕のことなんだけどね……」
私は昨日あったことを話した。
夕に将来は旅人になると言われたこと。
行かないで、と言っていいのか迷っていること。
遠距離恋愛になること。
それから、本当に私のことが好きなのか不安に思っていること。
ひと通り話し終わると、静かに聞いていた田中君が急に笑いだした。
「ガハハッ!ノヤさんらしいな!」
「笑い事じゃないって」
もしかして、田中君も夕と同じ考えの持ち主だった?
そう思うと急に心配になった。
田中君は笑ったせいで目尻に溜まった涙を拭いながら、続きを話し始めた。
「ノヤさんは自由な男なんだ。それを止めることなんて誰にもできやしねぇ」
「でも……」
それなら行かないでなんて言わず、快く送り出せって言うこと?
「まあ、止めることはできなくても、付いて行くことはできるだろ?」
「付いて行ってもいいの?でも、私だって大学で学びたいことがあるし……」
「別に直ぐにとは言わねぇよ。●●さんだってやりたいことやってから行けばいい。なにも自由なのはノヤさんだけとは限らねぇしな!」
「そもそもだけど、付いて行って迷惑にならない?だって夕、私のこと好きだって言ってくれないし……」
そんな相手に旅先に付いて来られたら、重荷になるに決まっている。
すると田中君は、
「俺はノヤさんと違うけど、アイツの気持ちは分かるなー」
腕を組みながらウンウンと納得するように言った。
「分かるってどう分かるの?」
「それは俺の口から軽々しく言えないから、本人に聞いてくれ」
結局革新的な答えは得られなかっただけれど、話すことによって夕に直接聞く勇気は貰えた。
お礼に今度坂ノ下商店の肉まんでも奢ろうかな。
「分かった。夕に聞いてみる」
「おう!●●さんなら大丈夫だから!」
ニカッと歯を見せて笑う田中君。
こんな友達思いで、男気溢れる彼にきっと清水先輩は惚れたんだと思った。