幸せの重み
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜幸せの重み〜
私の想い人、西谷夕には好きな人がいた。
一つ上の学年の清水潔子さん。
同じ学年の田中龍之介と彼女を追いかけ回す様を何度見てきたことか。
そんな夕が私と付き合うことになるとは今でも信じられない。
ーーーー
「本当によかったの?」
春休み中、私の家に遊びに来た夕に唐突に投げ掛けた質問。
「何がだ?」
持参したバレーボールを磨きながら、視線はそのままで返事だけする。
「清水先輩のこと」
「ああ、そんなこと。前も言ったけど確かに潔子さんは素敵な人だ。だがな、俺が認めた龍と付き合うことになったんだ。何の文句もねぇよ」
そう、清水先輩は卒業する少し前に田中君と付き合い始めた。
だから私にもチャンスがあると思ってダメ元で夕に告白したら、結果は意外にもオッケー。
付き合ってくれるってことは夕も少なからず私に好意を持っていると言うことになる。
だけど、一度も好きだとは言われていない。
清水先輩にはあんなに好意を示していたから、照れているとかではないと思うんだけど……。
口では問題ないと言いつつ、やっぱりまだ先輩のことが好きなのかな。
私とは同情で付き合ってくれているのかな。
寂しさを紛らわすためかな。
そもそも私のことを恋人だと認識しているのかすら怪しくなってくる。
そんな私の気持ちなんて知りもせず、
「そんなことより、公園かどっかでバレーしようぜ!」
今日も今日とて夕はバレーのことばかり。
うじうじしていても夕に愛想つかされるかもしれないから、私は夕のやりたいことに付き合う。
「私、バレー下手だよ」
「その方が練習になるからいいんだよ」
磨き終わったバレーボールを片手に夕は、
「行くぞ」
と、立ち上がる。
本当に清水先輩以外には恋愛の“れ”の字もないんだから。
そんなバレー一筋自由人な彼のことが好きでもあるけど。
「着替えるから玄関で待ってて」
「おう、急げよ!」
夕は勢いよく部屋を出ていった。
「……」
姿見に映る自分の姿を見る。
今日のためにせっかく可愛い服を買ったのに……。
私は少しだけ悲しい気持ちになりながらも、動きやすい格好に着替えて、彼の待つ玄関へ向かった。
1/6ページ