スマホの休日
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〜スマホの休日〜
朝、教室に入ると違和感を覚えた。
その正体を探るべく、自分の席に荷物を置くと、いつものように花瓶の水を替えながら室内を見渡す。
教卓近くの棚に花瓶をそっと置いたそのとき、窓際の席に座る角名倫太郎君が、ぼんやりと窓の外を眺めていることに気が付いた。
いつもなら外の景色よりもスマホに夢中なはずなのに。
そのときは朝練で疲れてぼんやりしているのだと思った。
だけど、次の休み時間にも、お昼の時間になっても、彼は一度もスマホを取り出す素振りを見せなかった。
たまたま私が見ていないだけか、それとも寮に忘れてきちゃったのかな?
特に気にもとめていなければ、取り分け話すこともないクラスメイトの1人。
それなのに、なぜスマホを弄っていないだけで、彼のことがこんなにも気になるのか。
理由が分からないうちに、その日の授業は終わった。
……。
…………。
翌日、登校すると、昨日同様角名君はスマホに触れず、今度は教室をぼんやりと眺めていた。
それは次の日も、その次の日も、角名君はスマホを一度も手にしなかった。
やっぱり、おかしい……。
そう思いながらも、私はいつものように過ごしていた。
朝は花瓶の水を替えて、日直がうっかり消し忘れていた黒板をさりげなく綺麗に消す。
仕上げに黒板消しをクリーナーで綺麗に……。
「ん……?」
電源を入れてもクリーナーが動かない。
コンセントを確認するも、ちゃんとささっている。
と、なるとどうやら故障しているようだ。
仕方がない……。
私はベランダへと向かった。
そこで、両手に持った黒板消しをパンパンと叩くと、白い粉が舞い上がる。
後でクリーナーが壊れていることを先生に報告しないと。
そんな事を考えていると、うっかりチョークの粉を吸い込んでしまった。
「っ……ゲホッ……ゥッ……ン゛」
咳き込みながら顔を上げると、窓越しに窓際の席に座る角名君と目が合ってしまった。
「ぁ……」
声にならない声を発すると、彼はふいっと私から顔を背けた。
その背中が微かに震えている。
絶対に笑っている。
それが分かった瞬間、恥ずかしいやら腹立たしいやら、よく分からない感情が湧き上がった。
早く終わらせて教室に入ろう。
私は今度こそ粉を吸い込まないように、作業を再開させた。
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