持つべきものは
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逃げ出した後、無意識に体育館裏に来ていた。
いつもお昼を1人で食べていた場所。
そこでしゃがみ込み、うずくまる。
「うっ……」
涙が、頬を伝う。
教室から出るとき必死だったため、机や椅子にぶつかった箇所が痛い。
だけど、この涙は決して痛みのせいではない。
叶わないかもしれないけれど、家に帰ったら両親に愛知に帰りたいことを伝えよう。
ダメなら最悪不登校に。
だけど、それはそれで両親を悲しませることになる……。
「はぁ……」
本当に高校生は無力で嫌になる。
しばらく放心状態でいると、急に周りの音が静かになった。
体育館で部活をしていた生徒たちが休憩に入ったのだろう。
鉢合わせしないうちに帰らないと。
そう思うが先か、後ろの扉がガラガラ音を立てて勢いよく開いた。
「!?」
私は慌てて涙を拭いて立ち上がると、ドアを開けたであろう人物に腕を掴まれた。
「待って」
引き止める声の持ち主を私は知っている。
そこには……。
「角名君……」
振り向いて彼の顔を見るや否や、角名君は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにいつもの表情に戻った。
「泣いてたの?」
私の涙を指摘した角名君に直ぐ様否定した。
「花粉かな?あはは……」
だって、泣いている姿を見られて恥ずかしかったから。
早くこの場所から逃げたいのに、角名君は掴んだ腕を離してくれない。
それどころか、先程よりも力がこもって痛いくらいだ。
「離して?」
角名君の顔を見上げて懇願するけど、彼は相変わらず無表情。
その上、手を離してくれる様子もない。
私は観念して、角名君の次の言葉を待つと、彼はようやく口を開いた。
「クラスのヤツに何か言われたのか?」
「……」
同じクラスなんだし、やっぱりバレちゃうよね。
私は無言で頷いた。
すると、角名君は体育館の扉をピシャリと閉めた後、コンクリートの階段に腰掛けた。
そして、握っていた腕を引っ張られ、無理やり隣に座らされる形になる。
「話して」
「でも……」
「話して」
「……」
どうやら白状するまでこの腕を離してくれない模様。
観念するしかないか。
私は転校してからのことを話した。
緊張してクラスメイトと話せなかったこと。
話したとしても、方言が出るのが恥ずかしくて標準語で素っ気なく対応していたこと。
そのせいで陰口を言われたこと。
さすがに角名君と宮兄弟に媚を売っていることは話さなかったけれど。
一通り話し終えた後、静かに聞いていた角名君は私を見て言った。
「逆に◯◯さんの地元に侑や治みたいなのが転校してきたら、関西弁バカにする?仲良くなりたいって寄ってきたヤツを無下にする?」
「しない……」
「なら、答えは出ているよ」
私はハッとした。
色々と理由を付けて壁を作っていたのは私の方だったんだ。
「明日、みんなにちゃんと話してみる」
「うん、頑張って」
掴まれていた腕がようやく解放され、その手は私の頭をポンポンと優しく叩いた。
そのタイミングで体育館の中から休憩の終わりを知らせるブザーが鳴った。
「じゃあ俺、戻るから。もしダメでも俺は◯◯さんの味方だよ」
体育館の中へと戻って行く角名君を見て、やっぱり持つべきものは初めての友だと思った。
いつもお昼を1人で食べていた場所。
そこでしゃがみ込み、うずくまる。
「うっ……」
涙が、頬を伝う。
教室から出るとき必死だったため、机や椅子にぶつかった箇所が痛い。
だけど、この涙は決して痛みのせいではない。
叶わないかもしれないけれど、家に帰ったら両親に愛知に帰りたいことを伝えよう。
ダメなら最悪不登校に。
だけど、それはそれで両親を悲しませることになる……。
「はぁ……」
本当に高校生は無力で嫌になる。
しばらく放心状態でいると、急に周りの音が静かになった。
体育館で部活をしていた生徒たちが休憩に入ったのだろう。
鉢合わせしないうちに帰らないと。
そう思うが先か、後ろの扉がガラガラ音を立てて勢いよく開いた。
「!?」
私は慌てて涙を拭いて立ち上がると、ドアを開けたであろう人物に腕を掴まれた。
「待って」
引き止める声の持ち主を私は知っている。
そこには……。
「角名君……」
振り向いて彼の顔を見るや否や、角名君は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにいつもの表情に戻った。
「泣いてたの?」
私の涙を指摘した角名君に直ぐ様否定した。
「花粉かな?あはは……」
だって、泣いている姿を見られて恥ずかしかったから。
早くこの場所から逃げたいのに、角名君は掴んだ腕を離してくれない。
それどころか、先程よりも力がこもって痛いくらいだ。
「離して?」
角名君の顔を見上げて懇願するけど、彼は相変わらず無表情。
その上、手を離してくれる様子もない。
私は観念して、角名君の次の言葉を待つと、彼はようやく口を開いた。
「クラスのヤツに何か言われたのか?」
「……」
同じクラスなんだし、やっぱりバレちゃうよね。
私は無言で頷いた。
すると、角名君は体育館の扉をピシャリと閉めた後、コンクリートの階段に腰掛けた。
そして、握っていた腕を引っ張られ、無理やり隣に座らされる形になる。
「話して」
「でも……」
「話して」
「……」
どうやら白状するまでこの腕を離してくれない模様。
観念するしかないか。
私は転校してからのことを話した。
緊張してクラスメイトと話せなかったこと。
話したとしても、方言が出るのが恥ずかしくて標準語で素っ気なく対応していたこと。
そのせいで陰口を言われたこと。
さすがに角名君と宮兄弟に媚を売っていることは話さなかったけれど。
一通り話し終えた後、静かに聞いていた角名君は私を見て言った。
「逆に◯◯さんの地元に侑や治みたいなのが転校してきたら、関西弁バカにする?仲良くなりたいって寄ってきたヤツを無下にする?」
「しない……」
「なら、答えは出ているよ」
私はハッとした。
色々と理由を付けて壁を作っていたのは私の方だったんだ。
「明日、みんなにちゃんと話してみる」
「うん、頑張って」
掴まれていた腕がようやく解放され、その手は私の頭をポンポンと優しく叩いた。
そのタイミングで体育館の中から休憩の終わりを知らせるブザーが鳴った。
「じゃあ俺、戻るから。もしダメでも俺は◯◯さんの味方だよ」
体育館の中へと戻って行く角名君を見て、やっぱり持つべきものは初めての友だと思った。
