私を見て
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〜私を見て〜
角名倫太郎と付き合い始めて半年。
告白したときは汗ばむ時期だったのが、肌寒い季節に移り変わろうとしていた。
私は制服のカーディガンの袖口をぎゅっと握りしめる。
だけど、全然暖かくならない。
この寒さは季節のせいだけじゃないのかもしれない。
最近、倫太郎がいつもスマホを弄っているのが気になる。
そのくせ連絡しても返事が遅い。
通知が鳴る度に心が踊るのに、ウェブ広告だったときの落胆っぷりときたら。
そのせいで、先日はなかなか予定を合わせられなくて、デートは延期になった。
付き合う前の片思い期間のときは、返信が遅くても待っている間すらも楽しかったのに。
今ではイライラに変わりつつある。
自分勝手なのは分かっている。
でも、少しくらい言ってもいいよね?
だって彼女だもん。
ーーーー
昼休み。
私は倫太郎のクラスの扉の前で、一呼吸してから教室の中に入った。
彼は自分の席で相変わらずスマホを弄っている。
画面に夢中だ。
だから、私が教室に入ってきたことすら気付いていない様子。
「ねぇ、倫太郎。言いたいことがあるんだけど」
「ん?●●か」
思い切って声をかけると、倫太郎はスマホに視線を落としたまま、気怠げに返事をした。
「あのね、もうちょっと早く返信できないかな?」
「返信してる間に、シャッターチャンス逃すかもしれないじゃん」
「シャッターチャンスって……」
「ほら、現にこの間見せた写真、●●だって笑ってたよね」
「ぐっ……」
思い出す。
先日、侑と治が部活中に喧嘩をして、それを制した部長さんが2人を正座させる、と言う写真を見せてもらった。
静まり返った体育館の隅、反省する2人を淡々と写すその1枚。
普段やかましい宮ンズの反省写真は、確かにいい気味だと思ったし、スカッとした。
「だとしても、納得いかない」
気持ちが抑えきれず、呟きが溢れる。
「私の連絡を後回しにしてまで撮る写真って、そんなに大事?」
倫太郎はゆっくりと顔を上げ、眠たげないつもの表情で私を見た。
「大事だよ。●●が笑うなら、なおさら」
「……ズルいよ、それ」
こういうときだけ、私が喜ぶことを言うなんて。
なんだか上手く丸め込まれた気がして、その日はそれ以上何も言えなかった。
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