「レーヴォチカと何かあった？あの子、最近元気がないから」


そう言って紅茶をすするアリサ。

今日は久しぶりに休みが重なったためカフェでお茶をすることになった。


「何もないよ」


そう、何もない。
リエーフが突然家に来てから一度も会っていないし、もちろん連絡も取っていない。


「そっかー、何もないのか。でも心配だな～」


まるで、リエーフの気持ちを知っているかのような口振り。
姉弟なんだから、そう言う話をしている可能性もあるけど、今はリエーフの話しはしたくない。
私は話題を変えた。


「それより撮影の話を聞かせてよ！」

「しょうがないな～」


と、言いつつも満更でもないアリサ。


「発表前だから詳しくは話せないんだけど、今回は海での撮影でね、本当に綺麗だった！」

「いいね」


海か。久しく行っていないな。


「そこでね、ビーチバレーやっている人もいてね、レーヴォチカがいたら絶対に無双するのにって思ったわ」

「そ、そうなんだ」


結局リエーフの話しになるのか。
本当にブラコンなんだから。

そもそも、リエーフがバレーの強豪校にいたのは知っているけど、ビーチバレーとは別物なのでは？


「それからこれ、撮影先のお土産！よかったら食べてね。あと、レーヴォチカの分もあるから、●●ちゃん渡してくれないかな？」

「え……」

「お菓子だから賞味期限の心配もあるし………そうだ！今日レーヴォチカも休みだって言っていたから、届けてきてよ」


自分の手で渡せばいいのに……。
嫌そうな顔をしているのがバレたのか、


「私、このあと予定があってまた直ぐに新幹線に乗らないといけないから……」


とチラッと私を見てくる。
会ったときに今日一日オフだから、と言っていたのはなんだったのか。

でも、そんな顔をされたら断れない。


「分かったわよ」


本当にリエーフと言いアリサといい、自分の武器を最大限に活用している。


「ありがとう、●●ちゃん！大好き！」


だけど、そんなアリサが私も好きだから憎めない。