〜第二章〜 ゲオスミン
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ーーおまけ(月島side)ーー
体育館が使えないから、いつもより遅く登校。
教室に入るとスマホとにらめっこしている◯◯さんの姿が。
「何見てるの?」
気になって声を掛けると、どうやら洋菓子店のSNSを見ていたようだ。
「雨の日DAYでケーキが10%オフ………」
とても魅力的な内容。行きたい。
「一緒に行く?」
考えていたことが口から出てしまっていたのか、はたまた僕の心を読んだのかと思うくらい、今まさに求めていたことを聞いてくれた◯◯さん。
答えは当然、
「行く」
誘ってくれたのに、意外だと思ったのか何故か驚かれた。
でも、約束したから。
「それじゃあ、忘れないでね」
念押しをしてから自分の席へ戻った。
ーーーー
授業が終わると真っ先に◯◯さんの席へ向かった。
勝手に行くとは思っていけど、念のために。
「ほら、行くよ」
昇降口に向かい、靴を履き替えると◯◯さんの持っている傘に目が行った。
「新しい傘買ったんだね」
中心部の青色が外側になるにつれて紫色にグラデーションになっている紫陽花をイメージした傘。
「いい色だね。◯◯さんらしい」
だけど僕はそっちの紫陽花の色より………。
そんなことより、
「お店の場所分かる?」
そう言って◯◯さんのスマホを覗き込んだ。
ああ、ここか。僕も気になっていたところ。
◯◯さんは気を遣って地図を送ってくれようとしたけど、問題ない。
「さっきので場所分かったから送らなくてもいいよ」
………あれ、もしかして今、連絡先を交換するチャンスを逃した?
◯◯さんの顔を見ると、悲しそうな表情をしていた。
完全に僕のせいだ。
訂正をするように、
「だから後で教えて」
と言うと、先程と打って変わって満面の笑みを浮かべて返事をしてくれた。
ーーーー
お店に着き扉を開けると、ふわっと甘い匂いと乳製品の匂いが漂ってきた。
店内にはイートインスペースが。
せっかくだから、と食べていくことにした。
僕はもちろん一番好きないちごのショートケーキを選んだ。
案内された席から見える中庭にも紫陽花が咲いていた。
「最近、よく紫陽花を見る気がする」
「よかったじゃん。この間は結局公園の紫陽花鑑賞はしなかった訳だし」
先日一緒に帰ったときに寄った公園。
残念ながらベンチは水浸しで座れる状態ではなかった。
「紫陽花って赤色とか青色があるけど、なんでだろう」
そう聞いてきた◯◯さん。
僕はあの日、帰宅してから紫陽花のことを調べた。
花なんて興味ないけど、◯◯さんが紫陽花を好きだって言うから。
話すきっかけが作れると思って。
調べてみると意外と面白いことが書いてあった。
土壌によって花の色が変わること、その色によって花言葉が変わること………。
僕は知識をひけらかすように語ったけど、◯◯さんは物知りだと純粋に褒めてくれた。
本当に◯◯さんは純粋だ。
だって推理小説の話を鵜呑みにするんだから。
ーーーー
洋菓子店を出る頃には雨はすっかり上がっていた。
雨上がりの空に現れた虹。
虹なんて珍しくないのに、はしゃぐ姿の◯◯さんは本当に元気だ。
そして、僕の虹に対する原理に対抗するように雨上がりに強まる匂いの話をしだした◯◯さん。
でも、言わせない。
「あーゲオスミンね。ギリシャ語で“大地の匂い”って言われている」
「………」
だって、そのふて腐れた顔が見たかったから。
「あ、見てあそこのお庭にはピンク色の紫陽花が咲いているよ!」
ふて腐れたと思ったら、今度は紫陽花の話に戻った。
本当にコロコロと表情が変わるな。
見ていて飽きない。
だから僕は言った。
「◯◯さんみたいだね」
意味が分からない、と言わんばかりの◯◯さん。
ピンクの紫陽花の花言葉はね“元気な女性”
ぴったりだと思わない?
うーん、と意味を考えて唸っている◯◯さんを他所に、
「ほら、帰るよ」
と僕は◯◯さんの腕を引いた。
体育館が使えないから、いつもより遅く登校。
教室に入るとスマホとにらめっこしている◯◯さんの姿が。
「何見てるの?」
気になって声を掛けると、どうやら洋菓子店のSNSを見ていたようだ。
「雨の日DAYでケーキが10%オフ………」
とても魅力的な内容。行きたい。
「一緒に行く?」
考えていたことが口から出てしまっていたのか、はたまた僕の心を読んだのかと思うくらい、今まさに求めていたことを聞いてくれた◯◯さん。
答えは当然、
「行く」
誘ってくれたのに、意外だと思ったのか何故か驚かれた。
でも、約束したから。
「それじゃあ、忘れないでね」
念押しをしてから自分の席へ戻った。
ーーーー
授業が終わると真っ先に◯◯さんの席へ向かった。
勝手に行くとは思っていけど、念のために。
「ほら、行くよ」
昇降口に向かい、靴を履き替えると◯◯さんの持っている傘に目が行った。
「新しい傘買ったんだね」
中心部の青色が外側になるにつれて紫色にグラデーションになっている紫陽花をイメージした傘。
「いい色だね。◯◯さんらしい」
だけど僕はそっちの紫陽花の色より………。
そんなことより、
「お店の場所分かる?」
そう言って◯◯さんのスマホを覗き込んだ。
ああ、ここか。僕も気になっていたところ。
◯◯さんは気を遣って地図を送ってくれようとしたけど、問題ない。
「さっきので場所分かったから送らなくてもいいよ」
………あれ、もしかして今、連絡先を交換するチャンスを逃した?
◯◯さんの顔を見ると、悲しそうな表情をしていた。
完全に僕のせいだ。
訂正をするように、
「だから後で教えて」
と言うと、先程と打って変わって満面の笑みを浮かべて返事をしてくれた。
ーーーー
お店に着き扉を開けると、ふわっと甘い匂いと乳製品の匂いが漂ってきた。
店内にはイートインスペースが。
せっかくだから、と食べていくことにした。
僕はもちろん一番好きないちごのショートケーキを選んだ。
案内された席から見える中庭にも紫陽花が咲いていた。
「最近、よく紫陽花を見る気がする」
「よかったじゃん。この間は結局公園の紫陽花鑑賞はしなかった訳だし」
先日一緒に帰ったときに寄った公園。
残念ながらベンチは水浸しで座れる状態ではなかった。
「紫陽花って赤色とか青色があるけど、なんでだろう」
そう聞いてきた◯◯さん。
僕はあの日、帰宅してから紫陽花のことを調べた。
花なんて興味ないけど、◯◯さんが紫陽花を好きだって言うから。
話すきっかけが作れると思って。
調べてみると意外と面白いことが書いてあった。
土壌によって花の色が変わること、その色によって花言葉が変わること………。
僕は知識をひけらかすように語ったけど、◯◯さんは物知りだと純粋に褒めてくれた。
本当に◯◯さんは純粋だ。
だって推理小説の話を鵜呑みにするんだから。
ーーーー
洋菓子店を出る頃には雨はすっかり上がっていた。
雨上がりの空に現れた虹。
虹なんて珍しくないのに、はしゃぐ姿の◯◯さんは本当に元気だ。
そして、僕の虹に対する原理に対抗するように雨上がりに強まる匂いの話をしだした◯◯さん。
でも、言わせない。
「あーゲオスミンね。ギリシャ語で“大地の匂い”って言われている」
「………」
だって、そのふて腐れた顔が見たかったから。
「あ、見てあそこのお庭にはピンク色の紫陽花が咲いているよ!」
ふて腐れたと思ったら、今度は紫陽花の話に戻った。
本当にコロコロと表情が変わるな。
見ていて飽きない。
だから僕は言った。
「◯◯さんみたいだね」
意味が分からない、と言わんばかりの◯◯さん。
ピンクの紫陽花の花言葉はね“元気な女性”
ぴったりだと思わない?
うーん、と意味を考えて唸っている◯◯さんを他所に、
「ほら、帰るよ」
と僕は◯◯さんの腕を引いた。
