〜第二章〜 ゲオスミン
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ケーキ屋さんを出る頃には雨はすっかり上がっていた。
久しぶりに青空を見たかもしれない。
「見てみて!虹が出てるよ!」
「虹なんてただの光の反射なのに、なんでこうも喜べるかな」
月島君は本当にロマンがない。
メカニズムだとか、原理だとか。そんなことは二の次にして、今目の前に見えているものに感動すればいいだけなのに。
でも、そんな月島君に私からも一つ教えてあげよう。
先日図書室で学んだ知識を。
「ねえ、知ってる?降り始めに感じられる匂いを“ペトリコール”、雨上がりに強まる匂いを“ゲオ……」
「あーゲオスミンね。ギリシャ語で“大地の匂い”って言われている」
「………」
つまならい。
知っているとは思っていたけど、こうも食い気味に私の言葉を遮られると、やるせなくなる。
やるせなくはなるけど、青空に向かって思いっきり息を吸い込むと、本当に大地の匂いがした気がする。
じめじめ沈んだ気分にさせる梅雨時でも、雨の匂いを感じながら、その語源となった言葉を思い浮かべると、いつもと違って感じられるかもしれない。
「あ、見てあそこのお庭にはピンク色の紫陽花が咲いているよ!」
日本は酸性の土壌が多いって言っていたけど、あのおうちの人は土を入れ換えたのかな?
「◯◯さんみたいだね」
「え?ピンクの紫陽花が?」
どちらかと言えば傘の色は青だから、青い紫陽花だと思うんだけど。
「女の子って花に詳しい訳じゃないんだ」
そう言って鼻で笑ってきた月島君。
悔しくて考え込んだけど、やっぱり分からない。
考え込みすぎたせいで月島君に、
「ほら、帰るよ」
なんて、腕を引かれてしまった。
腕から伝わる体温。
そんなことされると、本当に期待しちゃうよ?
家に帰った後、紫陽花について調べた。
男性が花に興味がないなんて、本当に偏見だ。
ピンクの紫陽花の花言葉は────。
ーーFinーー
久しぶりに青空を見たかもしれない。
「見てみて!虹が出てるよ!」
「虹なんてただの光の反射なのに、なんでこうも喜べるかな」
月島君は本当にロマンがない。
メカニズムだとか、原理だとか。そんなことは二の次にして、今目の前に見えているものに感動すればいいだけなのに。
でも、そんな月島君に私からも一つ教えてあげよう。
先日図書室で学んだ知識を。
「ねえ、知ってる?降り始めに感じられる匂いを“ペトリコール”、雨上がりに強まる匂いを“ゲオ……」
「あーゲオスミンね。ギリシャ語で“大地の匂い”って言われている」
「………」
つまならい。
知っているとは思っていたけど、こうも食い気味に私の言葉を遮られると、やるせなくなる。
やるせなくはなるけど、青空に向かって思いっきり息を吸い込むと、本当に大地の匂いがした気がする。
じめじめ沈んだ気分にさせる梅雨時でも、雨の匂いを感じながら、その語源となった言葉を思い浮かべると、いつもと違って感じられるかもしれない。
「あ、見てあそこのお庭にはピンク色の紫陽花が咲いているよ!」
日本は酸性の土壌が多いって言っていたけど、あのおうちの人は土を入れ換えたのかな?
「◯◯さんみたいだね」
「え?ピンクの紫陽花が?」
どちらかと言えば傘の色は青だから、青い紫陽花だと思うんだけど。
「女の子って花に詳しい訳じゃないんだ」
そう言って鼻で笑ってきた月島君。
悔しくて考え込んだけど、やっぱり分からない。
考え込みすぎたせいで月島君に、
「ほら、帰るよ」
なんて、腕を引かれてしまった。
腕から伝わる体温。
そんなことされると、本当に期待しちゃうよ?
家に帰った後、紫陽花について調べた。
男性が花に興味がないなんて、本当に偏見だ。
ピンクの紫陽花の花言葉は────。
ーーFinーー
