〜第三章〜 エルマン
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~第三章〜 エルマン
一緒にケーキ屋さんに行ってから月島君と特に距離が縮まったわけでもなく、体育館の修理も無事に終わって一緒に帰ることもなくなった。
もっと月島君と仲良くなりたい、彼のことを知りたいと思う気持ちを嘲笑うかのごとく、今日も雨の中、学校へ向かう。
「あ、ここ………」
月島君が紫陽花が咲いていると教えてくれた公園。
きっと今もベンチはべちゃべちゃに濡れているんだろうな。
晴れた日にあそこで月島君と一緒に紫陽花観賞出来る日が来るのだろうか。
勝手に私が思っているだけで、約束をしたわけじゃないけど。
そもそも月島君は花に興味ないって言っていたし、万が一観賞したくても私と一緒は嫌だと思っている可能性もあるし。
朝からネガティブになってしまった。
そこへトドメを刺すように大型トラックが猛スピードで横を通り抜けた。
ビシャッ!
「ひゃっ!」
派手に水をかけられてしまった。
冷たい……。
泥水じゃなかったのが不幸中の幸いかもしれないけど、こんな格好で学校に行かないといけないなんて……。
学校に着いてから、昇降口で制服を絞ったけど気休めにしかならなかった。
このままだと風邪引くかも。
体操服置いてあったっけ。
廊下に設置されているロッカーを確認したけど、置き勉用の教材と重たい辞書しか入っていなかった。
運悪すぎ……。
ため息を吐いていると、
「◯◯さん、おはよう」
「あ、月島君おはよう」
朝練終わりの月島君が挨拶をしてくれた。
「ずぶ濡れだね」
「来る途中、車に水かけられちゃって……アハハ」
恥ずかしい姿を見られてしまった。
「着替えは?」
「体操服なくて、隣のクラスの友達に借りようかと」
うちのクラスは今日体育の授業がないから持っている人が少ない可能性がある。
「それなら僕の使いなよ」
「え、でも……」
「◯◯さんが友達の体操服借りたら、その子が授業受けられないデショ」
「あ」
言われてハッとした。確かにそうだ。
「それに引き換え、僕なら部活用のジャージもあるし問題ない」
「それなら、借りようかな……ありがとう」
「はい、どうぞ」
月島君から体操服を受け取り、急いで空き教室で着替えた。
サイズ大きい。半袖短パンでよかった。
そうでなけれはダボダボ過ぎて着れたものじゃなかった。
それと……………月島君の匂いだ。
傘に入れてもらったときや、スマホの地図を見せたときに近づいた月島君からふわっと香ってきたあの匂い。
って、何言っているのよ私!これじゃあ変態みたいじゃない!
着替えを済ませると、慌てて教室へと戻った。
