〜第一章〜 ペトリコール
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ーーおまけ(月島side)ーー
日直の最後の仕事、日誌。
自分の分は書き終わった、後は一緒に日直をやった◯◯さんが書き終わるのを待つのみ。
彼女はうーん、と唸りながら悩んでいて、中々ペンが動かない。
こんなの適当に書けば良いものを……。
それを見兼ねて、
「あとどのくらいで書き終わる?」
と、余計焦らせるようなことを言ってしまった。
そのせいか、まだかかるから部活に行ってきていいと言う◯◯さん。
日誌は二人で提出しに行くなんてルール、あってないようなもの。
どうでもいいと思っている人ならとっくに部活に行っている。
だけど、そんなことは口にできるはずもなく、
「そう言うわけにはいかないデショ」
なんて、冷たくあしらった。
怒っていると思ったのか、◯◯さんは僕に話題を振ってきた。
当たり障りのない天気の話。
「月島君って雨好き?」
「………嫌い。髪が跳ねるから」
もっともらしい理由を述べたけど、正直どっちでもよかった。
部活は室内競技だから天気に影響されないし。
その後も色々と話をし、◯◯さんは紫陽花と雨の匂いが好きだと言うことが分かった。
だけど僕は天の邪鬼。
◯◯さんの好きな雨の匂いの正体を説明して悪いイメージを植え付けた。
それなのに、そんなことよりもペトリコールという響きが気に入ったようで、嬉しそうにする◯◯さんを少しだけ可愛らしいと思った。
思わず頬が緩みそうになる。それを隠すために、
「ねえ、話すのもいいけど、日誌書けたの?」
と、また急かした。
ーーーー
日誌を提出した後、流れで一緒に下駄箱まで歩いた。
すると、
「あれ……」
と、困ったような声を出した◯◯さん。
どうやら傘を盗られたらしい。
折り畳み傘を貸そうかと思ったけど、一緒に帰れるチャンスかと思って、咄嗟に鞄に押し込んで隠した。
「終わるまで待っててくれれば入れてくけど」
一か八かで聞いてみると、申し訳なさそうにお願いされた。
そんな顔をさせるくらいなら折り畳み傘を貸した方がよかった。
だけど今更、やっぱり折り畳み傘ありました、と言って出すのも格好悪い。
そのまま約束をして僕たちは別れた。
ーーーー
インターハイが近いからか、皆たかが部活に必死になっていた。
ありがたいことに僕もスタメンに選ばれている。
だけど今日は◯◯さんを待たせているから速やかに終わりたい。
その思いが伝わったのか、館内にいるのにも関わらず、ポタポタと雨が降ってきた。水漏れだ。
「雑巾とバケツ用意しろ!」
「コーチ!あっちも水漏れしてる!」
「今日はもう練習になりませんね」
バタバタとしている中、おそらく僕だけが早く帰れることに喜んでいるだろう。
「それじゃあ、僕、帰りますので。お疲れさまでした」
応急処置を終えた後、涼しい顔をして体育館を出た。
ーーーー
図書室まで◯◯さんを迎えに行った後、本日二度目の昇降口。
僕は◯◯さんに向かって傘を傾けた。
「お、お邪魔します」
「はは、何それ」
妙によそよそしい◯◯さんの反応に思わず笑ってしまった。
駅まで送る途中、通りかかった公園に咲いている紫陽花に目が行った。
普段ならスルーしていただろう。
◯◯さんが好きと言っていなければ。
「どうかしたの?」
気が付けば足が止まっていたようだ。
◯◯さんの登下校の道だから今更だと思ったけど、僕は彼女に紫陽花が咲いていることを教えた。
すると、◯◯さんは園内にあるポツンと設置されているベンチ、あそこで観賞できたら素敵だろうな、と言った。
「行けばいいじゃん。それとも一緒に行ってほしいの?今なら貸し切り状態だよ」
公園も、僕も。
日直の最後の仕事、日誌。
自分の分は書き終わった、後は一緒に日直をやった◯◯さんが書き終わるのを待つのみ。
彼女はうーん、と唸りながら悩んでいて、中々ペンが動かない。
こんなの適当に書けば良いものを……。
それを見兼ねて、
「あとどのくらいで書き終わる?」
と、余計焦らせるようなことを言ってしまった。
そのせいか、まだかかるから部活に行ってきていいと言う◯◯さん。
日誌は二人で提出しに行くなんてルール、あってないようなもの。
どうでもいいと思っている人ならとっくに部活に行っている。
だけど、そんなことは口にできるはずもなく、
「そう言うわけにはいかないデショ」
なんて、冷たくあしらった。
怒っていると思ったのか、◯◯さんは僕に話題を振ってきた。
当たり障りのない天気の話。
「月島君って雨好き?」
「………嫌い。髪が跳ねるから」
もっともらしい理由を述べたけど、正直どっちでもよかった。
部活は室内競技だから天気に影響されないし。
その後も色々と話をし、◯◯さんは紫陽花と雨の匂いが好きだと言うことが分かった。
だけど僕は天の邪鬼。
◯◯さんの好きな雨の匂いの正体を説明して悪いイメージを植え付けた。
それなのに、そんなことよりもペトリコールという響きが気に入ったようで、嬉しそうにする◯◯さんを少しだけ可愛らしいと思った。
思わず頬が緩みそうになる。それを隠すために、
「ねえ、話すのもいいけど、日誌書けたの?」
と、また急かした。
ーーーー
日誌を提出した後、流れで一緒に下駄箱まで歩いた。
すると、
「あれ……」
と、困ったような声を出した◯◯さん。
どうやら傘を盗られたらしい。
折り畳み傘を貸そうかと思ったけど、一緒に帰れるチャンスかと思って、咄嗟に鞄に押し込んで隠した。
「終わるまで待っててくれれば入れてくけど」
一か八かで聞いてみると、申し訳なさそうにお願いされた。
そんな顔をさせるくらいなら折り畳み傘を貸した方がよかった。
だけど今更、やっぱり折り畳み傘ありました、と言って出すのも格好悪い。
そのまま約束をして僕たちは別れた。
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インターハイが近いからか、皆たかが部活に必死になっていた。
ありがたいことに僕もスタメンに選ばれている。
だけど今日は◯◯さんを待たせているから速やかに終わりたい。
その思いが伝わったのか、館内にいるのにも関わらず、ポタポタと雨が降ってきた。水漏れだ。
「雑巾とバケツ用意しろ!」
「コーチ!あっちも水漏れしてる!」
「今日はもう練習になりませんね」
バタバタとしている中、おそらく僕だけが早く帰れることに喜んでいるだろう。
「それじゃあ、僕、帰りますので。お疲れさまでした」
応急処置を終えた後、涼しい顔をして体育館を出た。
ーーーー
図書室まで◯◯さんを迎えに行った後、本日二度目の昇降口。
僕は◯◯さんに向かって傘を傾けた。
「お、お邪魔します」
「はは、何それ」
妙によそよそしい◯◯さんの反応に思わず笑ってしまった。
駅まで送る途中、通りかかった公園に咲いている紫陽花に目が行った。
普段ならスルーしていただろう。
◯◯さんが好きと言っていなければ。
「どうかしたの?」
気が付けば足が止まっていたようだ。
◯◯さんの登下校の道だから今更だと思ったけど、僕は彼女に紫陽花が咲いていることを教えた。
すると、◯◯さんは園内にあるポツンと設置されているベンチ、あそこで観賞できたら素敵だろうな、と言った。
「行けばいいじゃん。それとも一緒に行ってほしいの?今なら貸し切り状態だよ」
公園も、僕も。