プリンの理由
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ーーおまけ(孤爪side)ーー
1年生の夏。
終業式は嫌いだ。
蒸し暑い体育館に集められたあげく、誰も聞いていないような話をつらつらと聞かされる。
大半の生徒はこの後に待ち構えている夏休みのことで頭が一杯だろうけれど、俺は目先のこと、早く涼しいところに行ってゲームをしたい、そんなことばかり。
だけど、式が終わった後は午後の授業がないし、部活もないから早く帰れて嬉しい。
教室に戻った後、クロに連絡した。
“昼、どこか食べてから帰らない?”
返事はすぐに返ってきた。
“この後、主将の集まりがあるから先に行ってて”
今年は大会の成績が思うように奮わなくて、早々に3年生は引退した。
代わりに2年のクロが新主将となった。
主将って大変なんだな。
俺は絶対になりたくない。
クロの言う通り、店の地図を送ってから先に行って待っていることにした。
ーーーー
学校から一番近いファストフード店。
アップルパイとシェイクを注文して、席に着く。
テーブルに置かれた商品を見ると、これじゃあまるでおやつだな、と思いながらも好きなメニューがあれば頼まずにはいられない。
それを頬張りながら鞄から取り出したゲームをする。
アップルパイ旨……。
そんなとき、
「ここ空いてるよ!」
向かいの席に音駒の制服を着た生徒が座るのが見えた。
あれは……◯◯さん?
もう1人の女子生徒の名前は知らないけれど、よく彼女といるところを見るから、おそらく部活か何かが同じなんだろう。
彼女たちは荷物を置いてから注文のために席を立った。
◯◯さんとは同じクラスだけれど、特に親しげに話す仲ではない。
たまにゲームをしていると、何のソフトか聞いてくるけど、本当にそれだけ。
彼女自身がゲームをしないからか、当たり障りのない感想を言って終わり。
やるわけでもあるまいし、興味がないなら聞かなければいいのに。
「あ、死んだ……」
考え事をしながらゲームをしていたため、画面にはGAME OVERの文字が映し出された。
一息つくためにシェイクを飲んでいると、トレーにバーガーとドリンクを乗せた◯◯さんたちが戻ってきた。
「●●、いつもテリヤキだよね」
「これが一番美味しいんだって」
席に着くと◯◯さんは大口を開けてバーガーに齧り付いた。
だけど、嬉しそうにしていた◯◯さんの様子が急におかしくなった。
「これ、テリヤキじゃなくてフィレオフィッシュだ」
「え、変えてもらいなよ」
「うーん、別にいいかな」
あんなにもテリヤキが一番美味しいと言っておきながら諦めるなんて。
交換しに行くのが面倒なのか、それともクレームを言えないタイプなのか。
どちらにしろ損な性格だ。
そう思っていると、意外な言葉が出てきた。
「だって、案外フィレオフィッシュも悪くないって分かったから。新発見だよ!」
「ポジティブだね」
友達の意見に同意。
本当にそう思う。
俺もアップルパイを頼んだらチョコパイが来たことがある。
面倒だったから交換はしなかったけれど、そのときは文句を言いながら食べた。
それをポジティブに美味しいと言いながら食べられるなんて……。
◯◯さんのこと、少し見直した。
シェイクが飲み終わる頃。
「研磨ー!悪い待たせた!」
クロがやってきた。
「遅い」
「その割には機嫌良さそうだな」
自分でも知らず知らずに口角が上がっていたようだ。
「良いことでもあった?」
「あったかもね」
だけど、クロには教えてあげない。
それからと言うもの、俺は◯◯さんのことをよく目で追うようになった。
1年生の夏。
終業式は嫌いだ。
蒸し暑い体育館に集められたあげく、誰も聞いていないような話をつらつらと聞かされる。
大半の生徒はこの後に待ち構えている夏休みのことで頭が一杯だろうけれど、俺は目先のこと、早く涼しいところに行ってゲームをしたい、そんなことばかり。
だけど、式が終わった後は午後の授業がないし、部活もないから早く帰れて嬉しい。
教室に戻った後、クロに連絡した。
“昼、どこか食べてから帰らない?”
返事はすぐに返ってきた。
“この後、主将の集まりがあるから先に行ってて”
今年は大会の成績が思うように奮わなくて、早々に3年生は引退した。
代わりに2年のクロが新主将となった。
主将って大変なんだな。
俺は絶対になりたくない。
クロの言う通り、店の地図を送ってから先に行って待っていることにした。
ーーーー
学校から一番近いファストフード店。
アップルパイとシェイクを注文して、席に着く。
テーブルに置かれた商品を見ると、これじゃあまるでおやつだな、と思いながらも好きなメニューがあれば頼まずにはいられない。
それを頬張りながら鞄から取り出したゲームをする。
アップルパイ旨……。
そんなとき、
「ここ空いてるよ!」
向かいの席に音駒の制服を着た生徒が座るのが見えた。
あれは……◯◯さん?
もう1人の女子生徒の名前は知らないけれど、よく彼女といるところを見るから、おそらく部活か何かが同じなんだろう。
彼女たちは荷物を置いてから注文のために席を立った。
◯◯さんとは同じクラスだけれど、特に親しげに話す仲ではない。
たまにゲームをしていると、何のソフトか聞いてくるけど、本当にそれだけ。
彼女自身がゲームをしないからか、当たり障りのない感想を言って終わり。
やるわけでもあるまいし、興味がないなら聞かなければいいのに。
「あ、死んだ……」
考え事をしながらゲームをしていたため、画面にはGAME OVERの文字が映し出された。
一息つくためにシェイクを飲んでいると、トレーにバーガーとドリンクを乗せた◯◯さんたちが戻ってきた。
「●●、いつもテリヤキだよね」
「これが一番美味しいんだって」
席に着くと◯◯さんは大口を開けてバーガーに齧り付いた。
だけど、嬉しそうにしていた◯◯さんの様子が急におかしくなった。
「これ、テリヤキじゃなくてフィレオフィッシュだ」
「え、変えてもらいなよ」
「うーん、別にいいかな」
あんなにもテリヤキが一番美味しいと言っておきながら諦めるなんて。
交換しに行くのが面倒なのか、それともクレームを言えないタイプなのか。
どちらにしろ損な性格だ。
そう思っていると、意外な言葉が出てきた。
「だって、案外フィレオフィッシュも悪くないって分かったから。新発見だよ!」
「ポジティブだね」
友達の意見に同意。
本当にそう思う。
俺もアップルパイを頼んだらチョコパイが来たことがある。
面倒だったから交換はしなかったけれど、そのときは文句を言いながら食べた。
それをポジティブに美味しいと言いながら食べられるなんて……。
◯◯さんのこと、少し見直した。
シェイクが飲み終わる頃。
「研磨ー!悪い待たせた!」
クロがやってきた。
「遅い」
「その割には機嫌良さそうだな」
自分でも知らず知らずに口角が上がっていたようだ。
「良いことでもあった?」
「あったかもね」
だけど、クロには教えてあげない。
それからと言うもの、俺は◯◯さんのことをよく目で追うようになった。
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