猫のような君
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昇降口で靴を履き替えていると、待ち伏せしていたのか中島君が話しかけてきた。
「◯◯先輩、一緒に帰りませんか!」
「……いいよ」
言いたいことは分かる。
先日の返事を聞きたいのだろう。
あのときから答えは変わっていないのに、嬉しそうに笑う中島君。
こんなふうに好意を向けられるのは正直嬉しい。
「いやー、連日◯◯先輩と会えるなんて、ツイているな!」
喜んでいるところ申し訳ないけれど、私は今から酷なことを中島君に伝える。
「ねぇ、私がアナタを助けたのは好きだからじゃないよ」
「それなら、これから好きになってください!」
立ち止まって私の方へと向き直す中島君。
そんな眩しい瞳で私を見ないで。
振ることが間違いのように感じるから。
「俺と一緒なら退屈させませんから」
退屈させませんから、か。
一生懸命で頼もしく感じた言葉。
だけど、それよりも私は孤爪君が言っていた、
“◯◯さんと一緒なら退屈しないと思ったから”
こんな受け身で他力本願な言葉の方が心にきた。
ああ、私は最低だな。
中島君のセリフと孤爪君のセリフを重ねてしまうなんて。
もうこれは言葉の内容ではなく、誰が言ったかが大きく影響をしている。
ーーーー
結局、中島君とは一緒に帰らなかった。
一人で帰るにしても、なんとなく真っ直ぐ帰ることができなくて、私は誰もいない教室へと戻った。
一番後ろの窓際の席の隣。
この席が好きだったはずなのに。
「早く席替えしないかな」
「そうなの?」
「えっ……」
誰もいないのかと思って呟いたのに。
誰に聞かれた?
振り向くと、そこには孤爪君がいた。
「告白の返事はした?」
「帰ったんじゃないの?」
いるはずないと思っていたから。
そればかりが気になって、孤爪君の質問を無視してしまった。
「居残り練習。疲れたから少しだけ逃げてきた」
「ふーん」
確かに、男子バレー部はいつも遅くまで部活をしていた。
「それで、返事したの?」
「した。他に好きな人がいるからって」
「そっか」
聞いてきたくせに、やっぱり興味のない返事をする孤爪君。
それなら私だって、
「孤爪君は好きな人いるの?」
「なに、急に」
「別に、なんとなく気になって」
「いるよ」
すんなり答えちゃって。
でも……そっか、いるんだ。
「今、目の前で元気のない子」
「え?」
孤爪君の顔を見ると、冗談を言っているようには見えなかった。
「だから、告白の返事が気になるし、俺のことをどう思っているのかも気になる」
そんな言い方ズルい。
今まで興味ないみたいな態度しか取ってこなかったくせに。
「ゲーム、俺と一緒に買いに行くよね?」
それは、私の返事を分かっているような聞き方だった。
返事は決まっている。
「行く」
ーーFinーー
「◯◯先輩、一緒に帰りませんか!」
「……いいよ」
言いたいことは分かる。
先日の返事を聞きたいのだろう。
あのときから答えは変わっていないのに、嬉しそうに笑う中島君。
こんなふうに好意を向けられるのは正直嬉しい。
「いやー、連日◯◯先輩と会えるなんて、ツイているな!」
喜んでいるところ申し訳ないけれど、私は今から酷なことを中島君に伝える。
「ねぇ、私がアナタを助けたのは好きだからじゃないよ」
「それなら、これから好きになってください!」
立ち止まって私の方へと向き直す中島君。
そんな眩しい瞳で私を見ないで。
振ることが間違いのように感じるから。
「俺と一緒なら退屈させませんから」
退屈させませんから、か。
一生懸命で頼もしく感じた言葉。
だけど、それよりも私は孤爪君が言っていた、
“◯◯さんと一緒なら退屈しないと思ったから”
こんな受け身で他力本願な言葉の方が心にきた。
ああ、私は最低だな。
中島君のセリフと孤爪君のセリフを重ねてしまうなんて。
もうこれは言葉の内容ではなく、誰が言ったかが大きく影響をしている。
ーーーー
結局、中島君とは一緒に帰らなかった。
一人で帰るにしても、なんとなく真っ直ぐ帰ることができなくて、私は誰もいない教室へと戻った。
一番後ろの窓際の席の隣。
この席が好きだったはずなのに。
「早く席替えしないかな」
「そうなの?」
「えっ……」
誰もいないのかと思って呟いたのに。
誰に聞かれた?
振り向くと、そこには孤爪君がいた。
「告白の返事はした?」
「帰ったんじゃないの?」
いるはずないと思っていたから。
そればかりが気になって、孤爪君の質問を無視してしまった。
「居残り練習。疲れたから少しだけ逃げてきた」
「ふーん」
確かに、男子バレー部はいつも遅くまで部活をしていた。
「それで、返事したの?」
「した。他に好きな人がいるからって」
「そっか」
聞いてきたくせに、やっぱり興味のない返事をする孤爪君。
それなら私だって、
「孤爪君は好きな人いるの?」
「なに、急に」
「別に、なんとなく気になって」
「いるよ」
すんなり答えちゃって。
でも……そっか、いるんだ。
「今、目の前で元気のない子」
「え?」
孤爪君の顔を見ると、冗談を言っているようには見えなかった。
「だから、告白の返事が気になるし、俺のことをどう思っているのかも気になる」
そんな言い方ズルい。
今まで興味ないみたいな態度しか取ってこなかったくせに。
「ゲーム、俺と一緒に買いに行くよね?」
それは、私の返事を分かっているような聞き方だった。
返事は決まっている。
「行く」
ーーFinーー
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