寝不足のせいか、孤爪君はお昼時間に壁にもたれかかって爆睡していた。
まるで日向ぼっこをしている猫のようにスヤスヤ。

それを見た孤爪君といつもお昼ご飯を食べているクラスメイトは、


「あれ、研磨寝てるじゃん」


なんて言うから、


「新作ゲームを徹夜でやっていて寝不足だったみたい」


と、代わりに説明しておいた。


「研磨らしいな。それじゃあ、俺らだけで食べるか。もし研磨が起きたら伝えといて」

「分かった」


再度孤爪君を見たけど起きる気配がない。

すぐに起こした方がいいかな。

いつもお昼は携帯ゲームのデイリーミッションをやっていたり、スタミナ消費をしていたりと忙しそうにしていたのに。

だけど、もう少しだけこの寝顔を見たいと思った。


ーーーー


「孤爪君、そろそろ起きた方がいいよ」

「ん………っ！」


結局起こしたのはお昼時間が終わる10分前。


「え、今何時？！なんでもっと早く起こしてくれなかったの！」


なんて、上目遣いでキッと睨まれたけど、全く怖くない。
むしろ可愛い猫みたい。


「ごめんね、寝不足かと思って起こせなかった」


なんてもっともらしい理由を並べた。


「ゲーム……ミッション……昼ご飯……」


お経のように呟いた孤爪君。

そうか、お昼ご飯を食べずに寝ちゃったんだっけ。
それならもう少し早く起こせばよかった。

さすがの孤爪君でも残り10分ならお弁当優先だよね。

そう思っていたのに、おもむろに鞄からゼリーの入ったアルミパウチと携帯ゲーム器を取り出した。

え、まさか……。

孤爪君はアルミパウチを口に加えながら携帯ゲームを起動させた。

同時にこなすとは。
ゲームへの執念が凄い。


「そんなにそのゲーム面白いの？」

「まー、そうだね」

「私もやってみようかな」

「いいんじゃない？」

「ゲームソフト買いに行くの付き合ってよ」

「ん」


聞いているのかどうか分からない返事をされた。

まあ、聞いていないなら、それはそれでいいけどね。