猫のような君
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〜猫のような君〜
一番後ろの窓際の席、その隣が私の席。
私はこの席が好きだ。
目立たないからって理由もあるけれど、一番は隣の席の彼のことが少し気になっているから。
別に好きとかそんなのではない。
ただ、面白いから見ていたい。
だけど、朝のホームルームが始まっても私の隣の席は空っぽのまま。
遅刻か、欠席か。
先生の話を聞きつつも、なんとなく後ろの扉を見つめていると、その扉が静かに開いた。
そして、背中を猫の様に丸めてそろりそろりと入ってきた孤爪研磨君。
空っぽの席の主。
「!」
「っ……!」
不意に孤爪君と目が合った。
声を上げそうになった私を見て、人差し指を口元に近付けてシーッとするジェスチャーをした孤爪君。
咄嗟に手で口を押さえた。
それを確認すると、またそろりと孤爪君は移動を始めた。
その姿が可笑しくて、思わず笑いそうになる。
一番後ろの席だから先生にはバレていないかもしれないけど、私の方がうっかり声を出してバレたらごめんね。
そうこうしているうちに自分の席へと無事に到達した孤爪君。
笑いを堪らえることができてよかった。
「おはよ、孤爪君」
先生に聞こえない声で挨拶をした。
「おはよ、◯◯さん。先生にバレてないかな」
「多分大丈夫。朝練が長引いたの?」
「あ、いや、今日は朝練ない日なんだけど、新作ゲームを徹夜してやっていたら寝坊した」
ははは、孤爪君らしいや。
本当に朝から楽しませてくれる。
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