猫の名前
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~猫の名前~
最近、学校の周辺に街猫が増えた。
街猫とは地域で管理されている野良猫のこと。
地域住民の人たちの合意のもと、特定のエサ場やトイレを設置し皆で適切に面倒を見ている。
そして、今、私の足元でゴロゴロしているのは三毛猫のツメマル。
名前は好きな人の苗字を勝手に借りて名付けた。
「ツメマル~。今日も可愛いね」
登校途中に必ずと言っていいほど近寄ってくれるから、挨拶するのが日課になっている。
そう言えばさっきツメマルと遊ぼうと思って猫じゃらしを摘んだんだった。
「ほらほらツメマル~」
鞄のポケットに挿しておいた猫じゃらしを取り出してツメマルの前でフリフリと動かした。
必死に短い両腕で猫パンチをかますツメマル。
可愛い。
「何してるの?」
「ぅえっ!」
夢中になっていて背後に人がいることに気が付かなかった。
振り向くと同じクラスの孤爪研磨君がいた。
何を隠そう、彼こそが私の好きな人で、ツメマルの名前の由来である。
「孤爪君……おはよう」
「おはよう、◯◯さん」
制服ではなくジャージを着ている孤爪君。
ロードワーク中かな?
「朝練?」
「うん」
回りには男子バレー部らしい人はいない。
置いていかれたのか、サボりなのか……迷子ってことはないよね?
「……可愛いね」
「か、か、可愛い?!」
「うん、猫が」
「あ、あーそうだね、可愛いよね」
びっくりした。
一瞬私のことを言っているのかと思った。
変な勘違いをするところだった。危ない、危ない。
「名前あるの?」
「ツメマルって言うの。私が勝手に付けたんだけどね」
「ふーん、じゃあ俺もそう呼ぼうかな」
そう言って柔らかく笑った孤爪君の顔に釘付けになっていると、
「おーい!研磨!何サボってんだよ!」
「クロ……」
孤爪君と同じジャージを着た長身ツンツン頭の人が遠くからこちらに向かって呼び掛けてきた。
同級生にあんな人いないし、口調的に先輩かな?
孤爪君はため息一つ吐き、私に
「もう行くね。また後で」
と言うと先程の先輩の元へ気だるげに走っていった。
朝から孤爪君とたくさん話しちゃった。
今日は良い一日になりそう。
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