長い眠り
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~長い眠り~
7年くらい前だろうか。
私が高校生のときにやっていた携帯ゲーム機のソフトが、最新機種に移植されて発売された。
今さら新しくゲームを買うのも、と思い、埃を被っていた昔のゲーム機をタンスから引っ張り出した。
「あった、あった。これだ」
電源ボタンを入れると、案の定点かなかった。
充電切れだ。
確か充電器も捨てずに取っておいたはず。
「これかな……?」
ぐるぐる巻きのコード。
お目当てのコード以外の物も一緒に絡まっている。
なんとかほどき、充電を試みる。
すると、充電中のランプが点灯した。
「よかったー、まだ使えそう」
しばらく充電してから改めて電源ボタンを押すと、しっかりとゲームのロゴが表示された。
「懐かしい」
この時代のハードはソフトが入っていなくても、ちょっとしたゲームが本体に内蔵されている。
画質の悪い写真を撮って落書きできたり、音を録音して編集したり、自分のアバターを使ったロールプレイングゲームができたり。
リメイク前のゲームをやろうと起動させたのに、懐かしさのあまり内蔵されたゲームを始めた。
映し出されたアバターは、昔の私の面影をどこか残していた。
少ない素材で頑張った形跡がある。
このハードにはすれ違い通信機能が付いており、スリープモードにしているハード同士が一定距離近付くと、お互いのアバターが遊びに来るという機能がある。
その遊びに来たアバターには次回すれ違ったとき用に一言メッセージを交換できたり、内蔵ゲームのRPGへ連れていくことができる。
私は最後にすれ違ったアバターを確認した。
そこにはコヅケンと言う名前の猫っぽいアバターが
“よくすれ違うね”
とメッセージを呟いていた。
当時は電車通学のときによくスリープモードで持ち歩いていた。
案外やっている人が多く、たくさんの人とすれ違い、アバターが遊びに来ていた。
その中でも、このコヅケンさんのアバターは毎日のように来ていた。
時間的に同じ路線の学生か社会人。
コヅケンさんを特定しようと必死になっていたこともあった。
でも、鞄にいれている状態でもすれ違えるため、堂々とゲームをしていなければ探すのは難しかった。
彼か彼女か分からないけど、コヅケンさんは元気にしているのだろうか。
あの時のメッセージが、7年の時を超えて、静かに心に響いた。
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