ーー孤爪sideーー


テスト期間が終わったから、恐らく●●ちゃんは俺の配信を見てくれている。

そう思って先日ストラップが戻ってきた話をした。

戻って来ようが来なかろうが画面の向こうの人たちには証明ができないのに。
そして、それを話すことで君がネットの人たちにどう思われるかなんて、きっと考えていないのだろう。

純粋でどこか抜けてて、面白い子。


「今から視聴者参加型マルチやっていくよ。条件ないから早い者勝ち」


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「次が最後のクエストね。リンゴさん、半ズボンさん、mimiさん、よろしく。
一番ランクの低いリンゴさんがクエスト貼って」


コメント欄が荒れ始めた。
低ランカーの狩猟笛を担いだだけなのに、このプレイヤーさんも不憫だ。

それにしても、冒頭の件といい、このクエストといい、今日はコメントが荒れるな。
それだけ見てくれる人がいると同時に、立ち回りには気を付けないと。


「新人さん育てるのもゲームの楽しいところ。みんなリンゴさんをキャリーするよ」


いざクエストが始まると、リンゴさんは初心者の動きではなかった。
しっかりモンスターの頭をキープ、スタン。
引くところは引く。演奏も途切れさせない。
サブ垢か、復帰勢か。


「はい、お疲れ様さまでした。また告知するので次回も来てね」


配信を終えると、1通のメールが来ていた。
●●ちゃんだ。

え、最後のマルチのリンゴさんって●●ちゃんだったんだ。

やっぱり●●ちゃんは面白い子だな。