アナタのきっかけになりたい
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〜アナタのきっかけになりたい〜
私には年の離れた幼馴染がいる。
昔から頼りになって格好良くて、彼のお嫁さんになりたい、なんて子供ながら本気で思っていた。
いや、正確には今でも思っている。
だけど、彼にとって私は妹のようにしか思われていないのかもしれない。
大学の終わりに坂ノ下商店を覗くと、髪はカチューシャで上げられ、煙草を吸いながらハタキで店内を掃除しているエプロン姿の彼がいた。
扉が開きっぱなしのお店は外からでも彼の鼻歌が聞こえてくる。
「繋心!また煙草吸ってるの?」
説教をしながら入店すると、繋心は掃除の手を止めてこちらに向いた。
「うるせぇ、俺の勝手だろ」
「でもさ、吸いながら店番は商品に臭いが付くでしょ」
「ドア全開で換気してるからいいんだよ!」
いや、ダメでしょ。
そう思いながら煙草の煙を手で払い除けながら店内の奥へと進む。
「今日は何の用だ」
「小腹が空いたから寄ってみた」
そう言ってホットスナックの入っているホットショーケースを覗こうとすると、繋心が先手を打ってきた。
「中華まんならねぇぞー」
「えー!今から温めてよ!」
個人店が閉店間際にそんなことしてくれないのは分かっている。
だけど、少しでも繋心と一緒にいたくて駄々をこねた。
すると、予想外のことを言われてしまった。
「なら、晩飯うちで食ってくか」
「え……」
繋心の家は別にあるけれど、夜ご飯だけは母方の実家であるこのお店で食べてから帰宅している。
たまにお呼ばれもされたことあるけれど、さすがに今日の今日では急な気が……。
返事に戸惑っていると、
「んじゃ、決まりな」
なんて、勝手に決めつけてきた。
繋心は住居スペースへと繋がる扉を開けて、大声でおばさんを呼んだ。
「かーちゃん!●●もうちで晩飯食ってくことになったから!」
奥からはおばさんの慌てる声が聞こえてきた。
「これでよしっ」
と繋心は言うけれど、心配しかない。
「私、やっぱり帰った方が……」
「なに水臭いこと言ってんだ。遠慮せず食ってけ」
「うん……」
それは料理をしない人だからそんなことが言える。
私だって急に料理をもてなさないといけなくなったら困るもの。
渋っていても事は勝手に進んでいくわけで、
「店閉め作業手伝えよな」
繋心は持っていたハタキを私に渡してきて、お店の入口のシャッターを下ろし始めた。
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