アナタのきっかけになりたい
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その日の学校帰り、足は自然と坂ノ下商店へ向かっていた。
行ったところで繋心はいないのに。
「……」
急に虚しくなり、後数メートルでお店だと言うところで引き返すことにした。
すると、
「●●!」
遠くの方から私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「え?」
思わずその方向に振り向くと、そこには烏の様な真っ黒なジャージを身に纏った繋心の姿が。
彼は手を挙げてこちらに近づいてきた。
「なんでいるの……?おばさんから聞いたよ、烏野高校のコーチをやることになったって」
だから、この時間は部活のはず。
それなのに何故?
「ああ、昨日試合だったから、今日は練習短めにしたんだ」
まあ、あいつらのことだからきっと居残り練習しているだろうけど、なんて楽しそうに付け加える繋心。
その顔はキラキラとしていた。
最初、コーチを引き受けたと聞いたときは想像出来なかった。
だけど、あんな顔を見せられたらバカになんてできない。
なんだかんだ上手くやっているじゃない。
「ところで、寄っていかないのか?中華まんあるぞ」
繋心は店の外から店内を覗き込んだ。
「食べたら夜ご飯食べれなくなるから、今日は帰るね」
本当は嘘だけど。
そう言って横を通り抜けようとすると、あることに気が付いた。
「あれ……煙草の臭いがしない」
いつもはもう少し離れていても彼から煙草の臭いがしていたのに。
今日は仄かに汗のにおいがするだけだ。
「ん、ああ。吸ってたら体力的に部活に付いて行けなくなったからやめた」
「そうなんだ……」
私が何度言ってもやめなかった煙草。
それが烏野高校のコーチを引き受けてからパッタリと吸わなくなっただなんて。
私では辞める理由にならなかったのが悔しい。
見たこともない相手に嫉妬。
惨めだ。
「……ぃ」
「あ?何か言ったか?」
「ズルい!私も繋心に何かきっかけを与える存在になりたかった!」
「いきなりなんだよ」
突然大きな声を出した私に、繋心は驚いた顔をしている。
「いきなりじゃないもん!前から思っていたもん!」
まるで子供の癇癪だ。
「はぁ〜……あのな、そんなの、とっくになってるわ」
「え……?」
繋心は頭をガシガシと掻きながら言った。
「俺、昔は年上のナイスバディな美女が好きだったろ?」
確かに、昔から繋心の部屋に遊びに行くとそう言うグラビアの雑誌が無造作に置いてあって、嫉妬していた。
私も巨乳になりたい、そう思ってマッサージを頑張ったりもしたけれど成果は出ず、悲しい思いをした。
「それが何」
「いつの間にか年下のちんちくりんでもイケるようになったんだよ」
その話ときっかけを与えたいの話とどう繋がるのだろうか。
私の頭の中にははてなが浮かぶ。
それを見かねた繋心は言葉を続けた。
「つまり、●●がいいんだよ」
「え……私?」
「そう!だから、●●はとっくに俺にきっかけを与えてるんだよ」
彼は少し照れ臭そうに、そして優しく私を見つめた。
その眼差しに胸がキュッと締め付けられる。
だって、ずっと片思いしていた相手のきっかけを与えていただけでなく、告白もされたんだから。
今なら幸せだと笑ったハナエの気持ちが分かる気がする。
何か言わなければと口を開こうとした時、繋心はそれを遮って更に言葉を続けた。
「まあ、でも、こんなオッサンが年下のことが好きだなんて、キモいよな」
ははっと乾いた笑いをこぼしながら、繋心は目線を落とした。
その姿は何だか寂しそうで、先ほどとは違う意味で胸がキュッと締め付けられる。
私は思わず繋心に抱きついた。
彼のジャージから香ってくる汗のにおい。
その臭いさえも今は愛おしい。
「全然キモくない!」
「●●……」
「だって……だって、私も繋心が好きだから!」
ずっと言えなかった想いをようやく言えた。
それに答えるよう、繋心は私の背中に手を回し抱きしめ返すと、そのまま私の肩に顔を埋めた。
首元にかかる彼の息がくすぐったい。
しばらくそのままの状態でいると繋心が口を開いた。
その声色はどこか緊張しているようだった。
「俺、お前より6つも上だぞ」
「大差ないよ」
「加齢臭とか気になんねぇの?」
「全部引っくるめて好き」
「本当に俺でいいのか?」
「繋心がいい」
1つ1つ心配事を消すように強く答えた。
「まだ何かある?」
「いや、大丈夫」
そう言うと彼は私の両肩を掴んで体を離すと、私の目を真っ直ぐ見つめる。
その瞳にはもう迷いはなかった。
ゆっくりと顔が近づいてくるとそのまま唇を奪われる。
「……っ」
最初は軽く触れるだけのキスだったが徐々に深くなっていく。
舌を絡ませる大人のキスだ。
私はそれを受け入れるように必死に応えようとした。
しかし、上手く息ができず酸欠になりそうになる。
そんな私を見て、彼は一度口を離すと優しく頭を撫でた。
「顔真っ赤だな」
「ゆ、夕焼けのせいだって!」
恥ずかしさを誤魔化すように顔を背けると、繋心はククッと笑った。
「帰るか。送ってくから機嫌直せよ」
「機嫌悪くないし!」
「はいはい、そういう事にしといてやるよ」
「む〜っ!!」
付き合えても、まだまだ子供扱いする癖は抜けないよう。
だけど、軽口を叩きつつも2人仲良く手を繋いで帰った。
ーーFinーー
行ったところで繋心はいないのに。
「……」
急に虚しくなり、後数メートルでお店だと言うところで引き返すことにした。
すると、
「●●!」
遠くの方から私を呼ぶ声が聞こえてきた。
「え?」
思わずその方向に振り向くと、そこには烏の様な真っ黒なジャージを身に纏った繋心の姿が。
彼は手を挙げてこちらに近づいてきた。
「なんでいるの……?おばさんから聞いたよ、烏野高校のコーチをやることになったって」
だから、この時間は部活のはず。
それなのに何故?
「ああ、昨日試合だったから、今日は練習短めにしたんだ」
まあ、あいつらのことだからきっと居残り練習しているだろうけど、なんて楽しそうに付け加える繋心。
その顔はキラキラとしていた。
最初、コーチを引き受けたと聞いたときは想像出来なかった。
だけど、あんな顔を見せられたらバカになんてできない。
なんだかんだ上手くやっているじゃない。
「ところで、寄っていかないのか?中華まんあるぞ」
繋心は店の外から店内を覗き込んだ。
「食べたら夜ご飯食べれなくなるから、今日は帰るね」
本当は嘘だけど。
そう言って横を通り抜けようとすると、あることに気が付いた。
「あれ……煙草の臭いがしない」
いつもはもう少し離れていても彼から煙草の臭いがしていたのに。
今日は仄かに汗のにおいがするだけだ。
「ん、ああ。吸ってたら体力的に部活に付いて行けなくなったからやめた」
「そうなんだ……」
私が何度言ってもやめなかった煙草。
それが烏野高校のコーチを引き受けてからパッタリと吸わなくなっただなんて。
私では辞める理由にならなかったのが悔しい。
見たこともない相手に嫉妬。
惨めだ。
「……ぃ」
「あ?何か言ったか?」
「ズルい!私も繋心に何かきっかけを与える存在になりたかった!」
「いきなりなんだよ」
突然大きな声を出した私に、繋心は驚いた顔をしている。
「いきなりじゃないもん!前から思っていたもん!」
まるで子供の癇癪だ。
「はぁ〜……あのな、そんなの、とっくになってるわ」
「え……?」
繋心は頭をガシガシと掻きながら言った。
「俺、昔は年上のナイスバディな美女が好きだったろ?」
確かに、昔から繋心の部屋に遊びに行くとそう言うグラビアの雑誌が無造作に置いてあって、嫉妬していた。
私も巨乳になりたい、そう思ってマッサージを頑張ったりもしたけれど成果は出ず、悲しい思いをした。
「それが何」
「いつの間にか年下のちんちくりんでもイケるようになったんだよ」
その話ときっかけを与えたいの話とどう繋がるのだろうか。
私の頭の中にははてなが浮かぶ。
それを見かねた繋心は言葉を続けた。
「つまり、●●がいいんだよ」
「え……私?」
「そう!だから、●●はとっくに俺にきっかけを与えてるんだよ」
彼は少し照れ臭そうに、そして優しく私を見つめた。
その眼差しに胸がキュッと締め付けられる。
だって、ずっと片思いしていた相手のきっかけを与えていただけでなく、告白もされたんだから。
今なら幸せだと笑ったハナエの気持ちが分かる気がする。
何か言わなければと口を開こうとした時、繋心はそれを遮って更に言葉を続けた。
「まあ、でも、こんなオッサンが年下のことが好きだなんて、キモいよな」
ははっと乾いた笑いをこぼしながら、繋心は目線を落とした。
その姿は何だか寂しそうで、先ほどとは違う意味で胸がキュッと締め付けられる。
私は思わず繋心に抱きついた。
彼のジャージから香ってくる汗のにおい。
その臭いさえも今は愛おしい。
「全然キモくない!」
「●●……」
「だって……だって、私も繋心が好きだから!」
ずっと言えなかった想いをようやく言えた。
それに答えるよう、繋心は私の背中に手を回し抱きしめ返すと、そのまま私の肩に顔を埋めた。
首元にかかる彼の息がくすぐったい。
しばらくそのままの状態でいると繋心が口を開いた。
その声色はどこか緊張しているようだった。
「俺、お前より6つも上だぞ」
「大差ないよ」
「加齢臭とか気になんねぇの?」
「全部引っくるめて好き」
「本当に俺でいいのか?」
「繋心がいい」
1つ1つ心配事を消すように強く答えた。
「まだ何かある?」
「いや、大丈夫」
そう言うと彼は私の両肩を掴んで体を離すと、私の目を真っ直ぐ見つめる。
その瞳にはもう迷いはなかった。
ゆっくりと顔が近づいてくるとそのまま唇を奪われる。
「……っ」
最初は軽く触れるだけのキスだったが徐々に深くなっていく。
舌を絡ませる大人のキスだ。
私はそれを受け入れるように必死に応えようとした。
しかし、上手く息ができず酸欠になりそうになる。
そんな私を見て、彼は一度口を離すと優しく頭を撫でた。
「顔真っ赤だな」
「ゆ、夕焼けのせいだって!」
恥ずかしさを誤魔化すように顔を背けると、繋心はククッと笑った。
「帰るか。送ってくから機嫌直せよ」
「機嫌悪くないし!」
「はいはい、そういう事にしといてやるよ」
「む〜っ!!」
付き合えても、まだまだ子供扱いする癖は抜けないよう。
だけど、軽口を叩きつつも2人仲良く手を繋いで帰った。
ーーFinーー
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