着いた、と黄金川から連絡があり家を出ると、私の顔を見るや否や飼い主を見つけたときの犬のような笑顔で挨拶をしてきた。


「おっす！」

「おはよ…」


いつも家を出る時間より1時間以上も早くて、こっちは眠たいのに、本当に元気だな。

文句は言いつつも、お迎え事態はありがたいんだけどね。


「あれから大丈夫だったか？」


昨日と同様に荷台に乗り、揺られながら学校へ向かう。


「病院行ったけど、たんこぶが出来てる以外は問題なかったよ」

「そっか」


学校へ着くと黄金川は部活へ、私は何か忘れている気がしたけど思い出せず、取り敢えず教室に行くことにした。

勉強する気は起きないし、朝早かったから少し寝ようかな。

机に突っ伏して睡眠体勢に入る。


ーーーー


どれくらい経ったか、教室には次々とクラスメイトたちが登校していた。


「おーい、席に着け」


担任の先生と目があった。


「◯◯、昨日は雑用ちゃんとやったか？」


そうだ、雑用を終えた報告をしていなかったんだ。


「先生、実はかくかくしかじかなことがありまして」

「そうか、それは災難だったな。仮にも女なんだからケガには気を付けろよ」

「先生それセクハラ」

「なんでもセクハラって教師は肩身が狭いな」


なんて言いながらも気にしていない様子で出席を取り出した。

自分の名前が呼ばれるまで、隣の黄金川にコソコソ声で話しかけた。


「黄金川はどう思う？」

「………え？」

「だから、先生の発言」

「お、おう……そ、そ、そうだな」


なんでこんなに動揺しているんだろう。

私の気のせいでなければ、このやり取り以降黄金川と全く目が合わなくなった。
朝までは全然普通だったのに。