……──ちゃん！ ……──ちゃん！ ●●ちゃん！

遠いところで私の名前を呼ぶ声が聞こえる。


「●●ちゃん！」


目を開けると心配そうな顔をした黄金川がいた。


「んっ……」

「よ、よかったー！！」

「痛っ」

「あ、まだ起きない方がいい」


起き上がろうとしたら黄金川に軽く押されて寝かされた。
どうやら私は膝枕をされているみたい。
それにしても硬い枕だな。


「悪かった、押し潰して……」

「いや、大丈夫だよ。私が脚立を揺らしたせいだし。それより黄金川は部活大丈夫なの？」

「このまま●●ちゃんを放置するわけにはいかないから」

「それなら保健室に連れてってくれないかな？」

「分かった！」


本日二度目の保健室になっちゃうな。
………ってなんで、


「お姫様抱っこ？！」


普通は肩を貸してくれるだけだと思うじゃん。


「体勢変えない方がいいと思って」


不幸中の幸い、部活時間のため他の生徒にはすれ違わなかったけれど、見られたらと思うとヒヤヒヤしてしまった。


「あれ？先生不在だね」

「一人で大丈夫か？」

「少し休んだら一人で帰れると思うから、黄金川は気にせず部活行っていいよ」


最後まで心配そうな顔をして黄金川は保健室から出ていった。

あ、教室に荷物置きっぱなしだ。
あと担任に雑用終わった報告もしないと。
黄金川に頼めばよかった。

だけど今は少しだけ寝かせて。

私は直ぐに意識を飛ばした。