彼氏彼女役
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ーー青根sideーー
夏目の元カレと一悶着があってから数日。
体育館のメンテナンスが終わり、ようやく部活が再開した。
久しぶりにするバレーはやはり楽しい。
それから夢中になって体を動かしていると、いつの間にか終わりの時間になっていた。
物足りなさを覚えつつ、掃除を済ませて体育館を出る。
すると、部室の前で夏目が待っていた。
「あ、青根君!」
彼女の明るい声が、静かな夕暮れの校庭に響く。
今日は部活もあったし、一緒に帰る約束はしていないはずだが……。
彼女の意図が分からず、ただ黙って見つめていると、
「一緒に帰りたくて、勝手に待ってた」
夏目が少しはにかみながらそう言った。
元カレに付きまとわれる問題は解決したが、こんな時間に一人で帰すワケにはいかない。
現に、彼女はまだ少し不安そうな表情が浮かべている。
「すぐ着替える」
それだけ言って、俺は部室に入った。
中に入ると、二口は既に着替えを済ませていた。
着替え終わったのであれば、帰ればいいものを、二口は俺に話しかけてきた。
「お前ら、本当に付き合っているんだな」
どうやら、先ほどのやり取りが聞こえていたらしい。
二口の言葉に、俺は何も言えなかった。
「俺的には青根は◯◯に気があると思っていたからさ」
二口は俺の様子を伺うように、静かに続けた。
俺は◯◯のことを思い出す。
二口と一緒に帰る姿、元気がなくて心配になるほど目元が腫れていた日、あの泣きそうな顔。
あのとき、俺の胸を締め付けた感情は、ただの心配だけではなかったのかもしれない。
「付き合ってないなら、俺狙っちゃおうかな〜」
俺は◯◯と付き合っているワケではない。
だから、二口を止める権利なんてない。
なのに、なぜこんなにもモヤモヤするんだ。
「……」
「何か言えよ!」
俯いていた俺に、二口が苛立ったように胸ぐらを掴んできた。
その瞳は、いつになく真剣だ。
「好きなヤツを悲しませることはするな。アイツ、お前が夏目と一緒に帰った日、泣いてたんだぞ!」
二口の言葉が、脳内で何度も繰り返される。
◯◯が、俺が夏目と帰った日に泣いていた?
その事実が、俺の胸に鋭く突き刺さった。
そのとき、先日夏目の元カレに言った言葉が頭をよぎった。
“それが想い人へ取る行動か”
どの口が言ったんだ。
困っている夏目を助けるためとはいえ、想い人がいる俺が取るべき行動ではなかった。
俺が言っていい言葉ではなかった。
「ありがとう、二口」
二口の言葉で、俺の中で何かが吹っ切れた。
俺が、これから何をすべきか、分かった気がした。
「おう、けじめ付けてこい」
二口に背中を強く叩かれ、俺は部室を後にした。
「もー、青根君遅いよ〜!」
部室の外には、無邪気に笑う夏目がいた。
彼女は俺の腕を掴み、嬉しそうに引っ張る。
「すまない」
俺はただ一言そう返した。
これから俺が彼女に何を言うのかを知らずに、夏目はただ笑っている。
俺は、もうこれ以上、誰かを悲しませる行動はしたくない。
それが、俺の出した答えだった。
夏目の元カレと一悶着があってから数日。
体育館のメンテナンスが終わり、ようやく部活が再開した。
久しぶりにするバレーはやはり楽しい。
それから夢中になって体を動かしていると、いつの間にか終わりの時間になっていた。
物足りなさを覚えつつ、掃除を済ませて体育館を出る。
すると、部室の前で夏目が待っていた。
「あ、青根君!」
彼女の明るい声が、静かな夕暮れの校庭に響く。
今日は部活もあったし、一緒に帰る約束はしていないはずだが……。
彼女の意図が分からず、ただ黙って見つめていると、
「一緒に帰りたくて、勝手に待ってた」
夏目が少しはにかみながらそう言った。
元カレに付きまとわれる問題は解決したが、こんな時間に一人で帰すワケにはいかない。
現に、彼女はまだ少し不安そうな表情が浮かべている。
「すぐ着替える」
それだけ言って、俺は部室に入った。
中に入ると、二口は既に着替えを済ませていた。
着替え終わったのであれば、帰ればいいものを、二口は俺に話しかけてきた。
「お前ら、本当に付き合っているんだな」
どうやら、先ほどのやり取りが聞こえていたらしい。
二口の言葉に、俺は何も言えなかった。
「俺的には青根は◯◯に気があると思っていたからさ」
二口は俺の様子を伺うように、静かに続けた。
俺は◯◯のことを思い出す。
二口と一緒に帰る姿、元気がなくて心配になるほど目元が腫れていた日、あの泣きそうな顔。
あのとき、俺の胸を締め付けた感情は、ただの心配だけではなかったのかもしれない。
「付き合ってないなら、俺狙っちゃおうかな〜」
俺は◯◯と付き合っているワケではない。
だから、二口を止める権利なんてない。
なのに、なぜこんなにもモヤモヤするんだ。
「……」
「何か言えよ!」
俯いていた俺に、二口が苛立ったように胸ぐらを掴んできた。
その瞳は、いつになく真剣だ。
「好きなヤツを悲しませることはするな。アイツ、お前が夏目と一緒に帰った日、泣いてたんだぞ!」
二口の言葉が、脳内で何度も繰り返される。
◯◯が、俺が夏目と帰った日に泣いていた?
その事実が、俺の胸に鋭く突き刺さった。
そのとき、先日夏目の元カレに言った言葉が頭をよぎった。
“それが想い人へ取る行動か”
どの口が言ったんだ。
困っている夏目を助けるためとはいえ、想い人がいる俺が取るべき行動ではなかった。
俺が言っていい言葉ではなかった。
「ありがとう、二口」
二口の言葉で、俺の中で何かが吹っ切れた。
俺が、これから何をすべきか、分かった気がした。
「おう、けじめ付けてこい」
二口に背中を強く叩かれ、俺は部室を後にした。
「もー、青根君遅いよ〜!」
部室の外には、無邪気に笑う夏目がいた。
彼女は俺の腕を掴み、嬉しそうに引っ張る。
「すまない」
俺はただ一言そう返した。
これから俺が彼女に何を言うのかを知らずに、夏目はただ笑っている。
俺は、もうこれ以上、誰かを悲しませる行動はしたくない。
それが、俺の出した答えだった。
