彼氏彼女役
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後日、夏目さんが青根君にボディガードと言う名の彼氏の振りをお願いしたらしい。
ちなみに、振りと言うのは青根君と先日お昼を共にした女子生徒しか知らない。
直ぐに元カレが諦めてくれれば青根君は解放されるのに。
いや、諦めたからって直ぐに別れたら怪しまれるからしばらく付き合う振りを継続するとか。
それで終いには本当に両思いになって付き合う。
こんな展開の漫画を読んだことある。
嫌だ、絶対に嫌だ。
こんなことになるなら早く告白しておけばよかった。
「はぁ~」
ため息しか出ない。
授業はとっくに終わったのに、私は机に突っ伏して動けないでいる。
帰る気が起きない。
「なーに、でけぇため息ついてんだ?」
「二口……」
体勢は変えず、顔だけ二口の方を向けた。
「失恋でもしたか?」
空気が読めない男子はここで生理か、なんて言ってくるけど二口は違った。
あえて空気を読まないことはあっても、読めないわけではない。
失恋って聞いてくるのも大概だが。
「まあ、そんなところ」
実際は告白すらしていないけど。
「男で作った傷を癒すもの男だろ」
「変な言い方しないでよ」
「元気付けてやるって言ってんだよ。この後どうせ暇だろ?」
「暇だけど……二口は部活じゃないの?」
「体育館のメンテで休み」
そうか……青根君も部活ないのか。
今頃夏目さんと帰っているのかな。
することもないし、一人だと悪い考えに陥りそうだったので、二口の案に乗ることにした。
「そうこなくっちゃ。行くぞ」
昇降口に向かうと、今一番会いたくない人が私たちの目の前を歩いていた。
「青根と………夏目じゃん。意外な組み合わせだな」
青根君に楽しそうに話しかけている夏目さん。
付き合っている振りを知っている女子たちは夏目さんの元カレにその話が伝わるようにして、とお願いされている。
「最近付き合い始めたみたいだよ、あの二人」
自分の口から言っておいて複雑な心境。
「へぇ~ふーん………なるほど」
二口は何も言わなかったが、教室でのテンションと今の発言のトーンで察したかのようなリアクションを取った。
「ま、俺らは俺らで楽しもうぜ」
そう言われて連れていかれた場所はカラオケだった。
「ほら、スカッとさせようぜ」
そう言われても久しぶりだし、歌いたい曲もないし、最近の曲も知らない。
「二口先に歌って」
「俺の美声に惚れるなよ?」
「はいはい」
普段は面倒くさいけど、今日はその冗談がありがたかった。
二口が入れた失恋ソング。
私への当て付けだろうか。
二口は想像以上に歌が上手かった。
そのせいもあってか、
“この声が枯れるくらいに、君に好きと言えばよかった”
のフレーズに心を打たれて、気付いたときには一筋の涙が流れていた。
大して思い入れもない曲なのに。
だけど本当にその曲の通りだ、私は好きだって言えなかった。
どうせなら声が枯れるくらい言えばよかった。
その後も二口は失恋ソングを熱唱した。
ちなみに、振りと言うのは青根君と先日お昼を共にした女子生徒しか知らない。
直ぐに元カレが諦めてくれれば青根君は解放されるのに。
いや、諦めたからって直ぐに別れたら怪しまれるからしばらく付き合う振りを継続するとか。
それで終いには本当に両思いになって付き合う。
こんな展開の漫画を読んだことある。
嫌だ、絶対に嫌だ。
こんなことになるなら早く告白しておけばよかった。
「はぁ~」
ため息しか出ない。
授業はとっくに終わったのに、私は机に突っ伏して動けないでいる。
帰る気が起きない。
「なーに、でけぇため息ついてんだ?」
「二口……」
体勢は変えず、顔だけ二口の方を向けた。
「失恋でもしたか?」
空気が読めない男子はここで生理か、なんて言ってくるけど二口は違った。
あえて空気を読まないことはあっても、読めないわけではない。
失恋って聞いてくるのも大概だが。
「まあ、そんなところ」
実際は告白すらしていないけど。
「男で作った傷を癒すもの男だろ」
「変な言い方しないでよ」
「元気付けてやるって言ってんだよ。この後どうせ暇だろ?」
「暇だけど……二口は部活じゃないの?」
「体育館のメンテで休み」
そうか……青根君も部活ないのか。
今頃夏目さんと帰っているのかな。
することもないし、一人だと悪い考えに陥りそうだったので、二口の案に乗ることにした。
「そうこなくっちゃ。行くぞ」
昇降口に向かうと、今一番会いたくない人が私たちの目の前を歩いていた。
「青根と………夏目じゃん。意外な組み合わせだな」
青根君に楽しそうに話しかけている夏目さん。
付き合っている振りを知っている女子たちは夏目さんの元カレにその話が伝わるようにして、とお願いされている。
「最近付き合い始めたみたいだよ、あの二人」
自分の口から言っておいて複雑な心境。
「へぇ~ふーん………なるほど」
二口は何も言わなかったが、教室でのテンションと今の発言のトーンで察したかのようなリアクションを取った。
「ま、俺らは俺らで楽しもうぜ」
そう言われて連れていかれた場所はカラオケだった。
「ほら、スカッとさせようぜ」
そう言われても久しぶりだし、歌いたい曲もないし、最近の曲も知らない。
「二口先に歌って」
「俺の美声に惚れるなよ?」
「はいはい」
普段は面倒くさいけど、今日はその冗談がありがたかった。
二口が入れた失恋ソング。
私への当て付けだろうか。
二口は想像以上に歌が上手かった。
そのせいもあってか、
“この声が枯れるくらいに、君に好きと言えばよかった”
のフレーズに心を打たれて、気付いたときには一筋の涙が流れていた。
大して思い入れもない曲なのに。
だけど本当にその曲の通りだ、私は好きだって言えなかった。
どうせなら声が枯れるくらい言えばよかった。
その後も二口は失恋ソングを熱唱した。