初恋は実らない
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~初恋は実らない~
小学生の頃、山口忠君と言う男の子がクラスにいた。
第一印象は月島君に付いている金魚のフン。自分の意思を持たなくて、なよなよして情けない。
そんな彼を見ているだけでイライラした。
ある日、休み時間に友達のみっちゃんが、
「私、月島君のことが気になってるんだけど、好きな人とかいるのかな?どう思う、●●ちゃん?」
と、聞いてきた。
「どうだろうね」
月島君は小学生にしては背が高くて、落ち着いた雰囲気の男の子。
女子からの人気があるのは知っているけど、まともに話をしたことがない私は月島君に興味がなかった。
「そっかー。忠君に聞いてみようかな」
みっちゃんが言うように、月島君のことを聞かれる忠君をよく見かける。
本人に聞けないのに好きなの?
話せない相手のことが好きなの?
恋愛に疎い私にはよく分からなかった。
「あ、忠君一人になった。●●ちゃんも付いてきて」
「うん」
そうは言うけど、ちょっとノリ気ではなかった。
だって、絶対にイライラしちゃうから。
「忠君!ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
一人になった忠君にみっちゃんが先程の質問を投げ掛けた。
「さ、さあ。いないと思うけど」
困ったように答える忠君。
「なんだー、忠君もはっきりとは知らないのね」
「力になれなくてごめんね」
そんなやり取りを見てやっぱりイライラした。
なんで忠君が謝るの?
放課後になって、生徒たちが教室から出て行く中、私は忠君を引き留めていた。
「何?●●ちゃん」
「えっと……」
私が言葉に詰まっていると、月島君が忠君に帰るよ、と催促してきた。
「用がないなら帰るけど」
「ある!……用事ある」
だけど、月島君がいるところで言ってもいいものなのか。
私はチラッと月島君を見た。
すると月島君は気を遣ってくれたのか、昇降口で待ってる、と一言残してから教室を出ていった。
「……●●ちゃん?」
「今日の休み時間にみっちゃんから月島君のこと聞かれたよね?」
「あ、………うん」
「今日だけじゃない。この間も、その前も他の女子から……。嫌なら本人に聞いてって言えばいいのに。へらへらしてるからいいように利用されるんだよ」
「うん………そうだよね。ごめんね」
みっちゃんの質問のとき同様、忠君はすぐ謝ってきた。
私だってみっちゃんに月島君のことを聞かれたときに、本人に聞いたらって言えばいいものを。
「言いたかったのそれだけだから!またね!」
自分のことは棚に上げて、忠君から逃げるように教室から出た。
途中で昇降口で忠君を待っていた月島君とすれ違った。
なんで月島君は忠君と仲が良いのよ。
なんで月島君はモテるのよ。
なんで……。
それ以降、私は度々忠君に強く当たるようになった。
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