伝染
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帰宅してすぐにダウンロードした曲に、私はあっという間に夢中になった。
軽快なメロディと切ない歌詞が、私の心の奥の臆病な感情を揺さぶる。
山口君と話すためのきっかけにするつもりだった当初の目的は、いつの間にか忘れ去られ、私はすっかりそのアーティストにハマっていった。
ーーーー
ある日のお昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、残り時間を次の授業の小テストの勉強に充てていた。
シャーペンを走らせながら、脳内で延々に繰り返されているお気に入りの曲を口ずさむ。
「ふんふん〜♪ん〜♪」
ごく小さな、自分だけに聞こえるほどの音量。
その時、隣の席から、微かな、しかし聞き覚えのあるメロディーが聞こえてきた。
「ふんふん〜♪ん〜♪」
それは、私の鼻歌と全く同じ曲。
驚きと喜び、そして恥ずかしさが入り混じった感情を覚えながら、そっと横を向いた。
視線の先には、スマホの画面を眺めていた山口君が、何食わぬ顔で鼻歌を歌っていた。
まるで私の鼻歌につられたかのように。
彼の声は私より少しだけ低く、くぐもっていたけれど、心地よい響きだった。
スマホの画面に釘付けだった山口君は、ふと何かを感じ取ったように顔を上げ、私の視線とぶつかった。
一瞬、彼の目が丸くなり、すぐにその意味を悟ったようだ。
「ん?……ああ」
山口君は小さく笑い、まるで悪戯が見つかった子供のように、人差し指の腹でくしゃっと愛らしく鼻の頭をこすった。
「へへ、◯◯さんの鼻歌、うつっちゃった」
「……っ!」
その屈託のない輝くような笑顔と、初めて教室で話せた喜びに、胸が大きく跳ねた。
そこで、ようやく曲を聴き始めた目的を思い出した。
ただのきっかけ作りで始めたことが、こんな風に予期せぬ形で叶うなんて。
顔がカッと熱くなるのを感じ、私は慌てて視線を教科書に戻す。
そこに書かれている、読んでもいない文字の羅列を必死に目で追った。
私の彼を好きだと思う気持ちも、鼻歌みたいに伝染してうつればいいのに。
教科書に目を落としたまま、そう心の中で強く願った。
ーーFinーー
軽快なメロディと切ない歌詞が、私の心の奥の臆病な感情を揺さぶる。
山口君と話すためのきっかけにするつもりだった当初の目的は、いつの間にか忘れ去られ、私はすっかりそのアーティストにハマっていった。
ーーーー
ある日のお昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、残り時間を次の授業の小テストの勉強に充てていた。
シャーペンを走らせながら、脳内で延々に繰り返されているお気に入りの曲を口ずさむ。
「ふんふん〜♪ん〜♪」
ごく小さな、自分だけに聞こえるほどの音量。
その時、隣の席から、微かな、しかし聞き覚えのあるメロディーが聞こえてきた。
「ふんふん〜♪ん〜♪」
それは、私の鼻歌と全く同じ曲。
驚きと喜び、そして恥ずかしさが入り混じった感情を覚えながら、そっと横を向いた。
視線の先には、スマホの画面を眺めていた山口君が、何食わぬ顔で鼻歌を歌っていた。
まるで私の鼻歌につられたかのように。
彼の声は私より少しだけ低く、くぐもっていたけれど、心地よい響きだった。
スマホの画面に釘付けだった山口君は、ふと何かを感じ取ったように顔を上げ、私の視線とぶつかった。
一瞬、彼の目が丸くなり、すぐにその意味を悟ったようだ。
「ん?……ああ」
山口君は小さく笑い、まるで悪戯が見つかった子供のように、人差し指の腹でくしゃっと愛らしく鼻の頭をこすった。
「へへ、◯◯さんの鼻歌、うつっちゃった」
「……っ!」
その屈託のない輝くような笑顔と、初めて教室で話せた喜びに、胸が大きく跳ねた。
そこで、ようやく曲を聴き始めた目的を思い出した。
ただのきっかけ作りで始めたことが、こんな風に予期せぬ形で叶うなんて。
顔がカッと熱くなるのを感じ、私は慌てて視線を教科書に戻す。
そこに書かれている、読んでもいない文字の羅列を必死に目で追った。
私の彼を好きだと思う気持ちも、鼻歌みたいに伝染してうつればいいのに。
教科書に目を落としたまま、そう心の中で強く願った。
ーーFinーー
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