キミのつむじを見たい
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ーーおまけ(山口side)ーー
お昼休み、教室でツッキーと一緒に弁当を食べていると、教室の端でこれまたお昼を食べている女子グループからツッキーの話題が聞こえてきた。
「ねえ、入学して直ぐに思っていたんだけど、月島君格好良くない?」
「分かる!背が高いし大人びて見えるって言うか……。他の男子にないものがあるよね!」
とうの本人は気にしていない様子だから、あえて俺からも突っ込んだことは話さない。
だけど、どうせ高校でもツッキーについて色々と聞かれる日々を送ることになるんだろう。
そんなことを思っていると、ふと視線を感じた。
例の女子グループの方からだ。
反射的にその方向を向くと、◯◯さんと目が合ってしまった。
「!?」
慌てて視線を逸らす。
「山口、どうした」
そんな俺の様子がおかしかったからか、ツッキーに指摘されてしまった。
「あ、うん、何でもない」
……そうだよツッキーだよ。
目が合ったと思ったけど、彼女は俺なんかじゃなくてツッキーを見ていたんだ。
そうだ、そう考える方が自然だ。
一瞬でも思い上がってしまったことに恥ずかしさを覚えた。
ーーーー
帰りのホームルームが終わり、集めた数学のノートの数を数えると、1冊足りなかった。
別にこのまま先生のところへ持っていっても構わない。
だけど、忘れた子が可哀相だと思い、ノートを名簿順に並び替え、未提出の人物を割り出す。
すると、◯◯さんのノートだけがなかった。
目が合ったことが気まずかったけれど、未提出者が分かった上で無視をするほど薄情じゃない。
俺は帰り支度をしている彼女に話しかけた。
「◯◯さん」
「何?」
「数学のノート出していないの、あと◯◯さんだけだよ」
「あ、ごめんね」
◯◯さんは慌てて机からノートを出したけれど、渋って中々渡してくれない。
どうかしたのだろうか。
すると、意図の分からない質問をされた。
「山口君……急いでいるよね?」
「まあ、この後部活だから」
「迷惑承知で聞くけど……。そのノート、私が先生のところに持っていくから、この問題だけ教えてもらえないかな?」
「えっ?!」
◯◯さんは両手を合わせて頼み込んできた。
もしかして、課題が終わっていなかったから出すのを渋っていたのか。
◯◯さんって頭が良さそうに見えて、実は勉強が苦手?
いやいや、数学だけの可能性があるから、決めつけは失礼だ。
ただ、教えてって言われても、俺よりツッキーの方がいいんじゃ……。
だってお昼の時間に見ていた訳だし。
そう思い探すと、教室を出ようとしているツッキーと奇跡的に目が合った。
だから、代わりに教えてあげて欲しいと言おうとしたのに、無視をするかのように視線を逸らし、そのまま教室から出ていってしまった。
「参ったな……」
このまま自力でやって、なんて冷たいことも言えるはずもなく、
「どの問題?」
俺は◯◯さんのノートを覗き込んだ。
「ありがとう、これなんだけど」
あー、この問題か。
俺は◯◯さんのシャーペンを借りて説明をした。
ほどなくして、
「あ、ここまで来たら解けそう」
◯◯さんは理解したのか式の続きを書きだした。
「できた!」
「うん、正解」
「やったー、ありがとう!」
嬉しそうに喜ぶ◯◯さんに、可愛いと思ってしまった。
その笑顔に見とれていると、
「いえーい!」
「?」
いきなり両手を前に出す◯◯さん。
意味が分からず戸惑っていると、再度声を掛けられた。
「いえーい!」
ああ、ハイタッチか。
「あ……い、いえーい」
申し訳程度に出した手に◯◯さんの手が勢いよくパチンと叩きつけられた。
「さて、と。じゃあ約束通りノートは私が持っていくから、山口君は部活に行っていいよ」
満足した彼女はノートを持ち上げて教室を後にした。
約束とは言え、やっぱり数学係りの自分が持っていかないのはマズい。
慌てて彼女の後を追いかけ、ノートを奪う形で取り上げた。
「そんなことされたら、悪いよ」
「これくらい大したことないよ。それに女の子にノートを持たせる方が悪いから」
不服そうにしながらも俺の横に並んで歩く彼女はとても小さく感じた。
それから他愛のない話をしていると、あっという間に職員室前へと着いた。
「俺、先生に提出してくるから。またね、◯◯さん」
女の子と並んで歩くなんて経験がほとんどなく、少し名残惜しい気持ちになりながらも◯◯さんと別れた。
大げさかもしれないけれど俺にとって特別な体験。
だけど、彼女はツッキーのことが気になっている。
だからこの気持ちはひっそりと心に留めておくんだ。
ーーーー
翌日の休み時間、1人になったときに◯◯さんに話しかけられた。
「山口君!」
「◯◯さん、どうしたの?」
相変わらず背の低い彼女。
俺は目線を合わせるために少し屈んだ。
「昨日はありがとうね。助かっちゃった。だから、山口君の苦手な教科があれば、今度は私が教えるから言ってね」
「えっと……」
言い方は悪いけれど、俺を利用してツッキーに良い印象を与えようと話しかけてくる女の子はいた。
だけど、俺しかいない時にそんな事を言ってくると言うとは、少しは俺に好意があるってこと……?
いやいや、自惚れるな。
◯◯さんがただ単に律儀なだけかもしれない。
もしくは俺がツッキーに◯◯さんの良いところを伝えるのを期待しているとか。
返事に戸惑っていると、
「あ、ないならいいんだけど、中間テストも近いし、一緒に勉強できたら楽しいかなー……なんて」
少し照れながら言うもんだから、
「実は英語が苦手なんだよね」
昨日、心に留めておこうと誓ったばかりなのに……。
もうこの際、利用されようがなんだろうが、彼女と仲良くなりたいと思った。
英語が苦手なのは本当だしね。
こうして彼女と勉強会をする約束をした。
ーーーー
勉強会の場所は教室でも図書室でもなく某ファストフード店になった。
どうやら◯◯さんは良くここで勉強をしているらしい。
次から俺も利用してみようかな。
そんなことを考えながら席を探す。
「席ここでいいかな」
2階のテーブル席。
荷物を置いて小腹を満たすために注文しに行くことにした。
だけど、いざ注文すると思ったよりお腹が空いていたせいで、ガッツリ頼んでしまった。
席に戻ると◯◯さんに、
「凄い食べるね」
なんて言われる始末。
「あはは、お腹空いちゃって」
食べ過ぎだって引かれたかな?
そう思っていたら、
「私のポテトも食べる?」
まさか◯◯さんの方から食べるよう促してくるとは。
彼女は紙ナプキンにポテトを出して2つに分け、片方をくれた。
「はい、半分こ」
「ありがとう」
「そっちカリカリ多めだから」
何故か嬉しそうに渡す◯◯さん。
「え、なんで?」
いつもツッキーとファストフード店へ行くと、必ずと言うほどほどふにゃふにゃになったポテトを渡される。
ツッキーはカリカリポテトが好きなんだ。
俺はどちらかと言わずふにゃふにゃポテトが好きだからいいんだけど。
もしかして、彼女もふにゃふにゃが好きなのかな?
そう思っていたら、
「何でって言われても……。そんなの、カリカリの方が美味しいからに決まってるじゃん」
ツッキーとは反対だった。
好きだからこそカリカリを譲ってくれたんだ。
それなら、
「別に俺は気にしないよ。むしろふにゃふにゃ派だし」
「そうなの?じゃあ、私がカリカリ食べるよ?」
「いいよ」
「やったあー」
先程よりも嬉しそうに2つのポテトを入れ替える。
そんなにカリカリポテトが好きなんだ。
たかがポテトと言ったら申し訳ないけど、こんなにも喜べることになんだか可愛く感じた。
ある程度完食したところで、勉強を始めた。
……。
…………。
目の前に気になる人がいるといつも以上にペンが進まない。
普段ならスラスラ解けるはずの問題も頭が真っ白になる。
ふと◯◯さんからの視線を感じた。
「何?」
「あ、いや……分からないところでもあるかなと思って」
ちょうど良かった。
「えーっと……じゃあこことか。文法の並べ替えに自信がなくて」
「どれどれ」
待っていましたと言わんばかりに俺のノートを覗き込む◯◯さん。
なんだかこの間とは逆だな、と思った。
「これはね、この単語とこの単語を繋げると熟語になるから────」
「あーなるほど、ありがとう」
◯◯さんの教え方はとても上手だった。
本当に俺のために勉強してきてくれたことがうかがえる。
いや、俺のためじゃなくてテストのため、か。
こんな感じで、度々◯◯さんに分からない箇所を教えてもらいながら勉強会は終わった。
ーーーー
中間テストが終わって数日。
「ツッキーどこ行くの?次移動教室だけど」
「委員会の呼び出し」
「そっか……俺、待ってようか」
「別にどっちでも」
それだけ言うとツッキーは教室を出ていってしまった。
廊下で待っていようと思い、教材を持って教室の外へ出ると、ヒラヒラと1枚のプリントが落ちてきた。
◯◯さんのだ。
「待って、◯◯さん」
咄嗟に引き留めて、急いでプリントを拾い上げる。
「はい、これ。落としたよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「月島君は?」
この間は楽しく勉強会をしたと思ったのに、何でツッキーのことを気に掛けるの?
「委員会の呼び出しっぽい」
答えてはみたものの面白くない。
本当はツッキーのことを待っていようと思っていたけど止めた。
「だから俺も一緒に行ってもいいかな?」
ツッキーだってどっちでもって言っていたし。
「うん、いいよ」
向かう途中、他愛のない話をした。
「この間のテストどうだった?」
「ぼちぼちかな。◯◯さんは?」
「英語は良かったんだけど、後は……ね」
その口ぶりから良くなかったことがうかがえる。
それなら、このチャンスを逃したくない。
「あはは、じゃあまた一緒に勉強しないとね」
俺は◯◯さんに視線を合わせて言った。
すると、彼女は小さく声を漏らした。
「……ぁっ」
教室に忘れ物でもしたのだろうか。
だけど、今戻るとツッキーと鉢合わせしてしまうかもしれない。
なんか嫌だな。
違うことを願いながら彼女に尋ねた。
「ぼーっとして、どうかした?」
「ううん、何でもない」
結局理由は分からないけれど、忘れ物じゃないみたいで一安心。
俺が醜い嫉妬をしながら隣を歩いているだなんて、キミは想像もしていないだろう。
お昼休み、教室でツッキーと一緒に弁当を食べていると、教室の端でこれまたお昼を食べている女子グループからツッキーの話題が聞こえてきた。
「ねえ、入学して直ぐに思っていたんだけど、月島君格好良くない?」
「分かる!背が高いし大人びて見えるって言うか……。他の男子にないものがあるよね!」
とうの本人は気にしていない様子だから、あえて俺からも突っ込んだことは話さない。
だけど、どうせ高校でもツッキーについて色々と聞かれる日々を送ることになるんだろう。
そんなことを思っていると、ふと視線を感じた。
例の女子グループの方からだ。
反射的にその方向を向くと、◯◯さんと目が合ってしまった。
「!?」
慌てて視線を逸らす。
「山口、どうした」
そんな俺の様子がおかしかったからか、ツッキーに指摘されてしまった。
「あ、うん、何でもない」
……そうだよツッキーだよ。
目が合ったと思ったけど、彼女は俺なんかじゃなくてツッキーを見ていたんだ。
そうだ、そう考える方が自然だ。
一瞬でも思い上がってしまったことに恥ずかしさを覚えた。
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帰りのホームルームが終わり、集めた数学のノートの数を数えると、1冊足りなかった。
別にこのまま先生のところへ持っていっても構わない。
だけど、忘れた子が可哀相だと思い、ノートを名簿順に並び替え、未提出の人物を割り出す。
すると、◯◯さんのノートだけがなかった。
目が合ったことが気まずかったけれど、未提出者が分かった上で無視をするほど薄情じゃない。
俺は帰り支度をしている彼女に話しかけた。
「◯◯さん」
「何?」
「数学のノート出していないの、あと◯◯さんだけだよ」
「あ、ごめんね」
◯◯さんは慌てて机からノートを出したけれど、渋って中々渡してくれない。
どうかしたのだろうか。
すると、意図の分からない質問をされた。
「山口君……急いでいるよね?」
「まあ、この後部活だから」
「迷惑承知で聞くけど……。そのノート、私が先生のところに持っていくから、この問題だけ教えてもらえないかな?」
「えっ?!」
◯◯さんは両手を合わせて頼み込んできた。
もしかして、課題が終わっていなかったから出すのを渋っていたのか。
◯◯さんって頭が良さそうに見えて、実は勉強が苦手?
いやいや、数学だけの可能性があるから、決めつけは失礼だ。
ただ、教えてって言われても、俺よりツッキーの方がいいんじゃ……。
だってお昼の時間に見ていた訳だし。
そう思い探すと、教室を出ようとしているツッキーと奇跡的に目が合った。
だから、代わりに教えてあげて欲しいと言おうとしたのに、無視をするかのように視線を逸らし、そのまま教室から出ていってしまった。
「参ったな……」
このまま自力でやって、なんて冷たいことも言えるはずもなく、
「どの問題?」
俺は◯◯さんのノートを覗き込んだ。
「ありがとう、これなんだけど」
あー、この問題か。
俺は◯◯さんのシャーペンを借りて説明をした。
ほどなくして、
「あ、ここまで来たら解けそう」
◯◯さんは理解したのか式の続きを書きだした。
「できた!」
「うん、正解」
「やったー、ありがとう!」
嬉しそうに喜ぶ◯◯さんに、可愛いと思ってしまった。
その笑顔に見とれていると、
「いえーい!」
「?」
いきなり両手を前に出す◯◯さん。
意味が分からず戸惑っていると、再度声を掛けられた。
「いえーい!」
ああ、ハイタッチか。
「あ……い、いえーい」
申し訳程度に出した手に◯◯さんの手が勢いよくパチンと叩きつけられた。
「さて、と。じゃあ約束通りノートは私が持っていくから、山口君は部活に行っていいよ」
満足した彼女はノートを持ち上げて教室を後にした。
約束とは言え、やっぱり数学係りの自分が持っていかないのはマズい。
慌てて彼女の後を追いかけ、ノートを奪う形で取り上げた。
「そんなことされたら、悪いよ」
「これくらい大したことないよ。それに女の子にノートを持たせる方が悪いから」
不服そうにしながらも俺の横に並んで歩く彼女はとても小さく感じた。
それから他愛のない話をしていると、あっという間に職員室前へと着いた。
「俺、先生に提出してくるから。またね、◯◯さん」
女の子と並んで歩くなんて経験がほとんどなく、少し名残惜しい気持ちになりながらも◯◯さんと別れた。
大げさかもしれないけれど俺にとって特別な体験。
だけど、彼女はツッキーのことが気になっている。
だからこの気持ちはひっそりと心に留めておくんだ。
ーーーー
翌日の休み時間、1人になったときに◯◯さんに話しかけられた。
「山口君!」
「◯◯さん、どうしたの?」
相変わらず背の低い彼女。
俺は目線を合わせるために少し屈んだ。
「昨日はありがとうね。助かっちゃった。だから、山口君の苦手な教科があれば、今度は私が教えるから言ってね」
「えっと……」
言い方は悪いけれど、俺を利用してツッキーに良い印象を与えようと話しかけてくる女の子はいた。
だけど、俺しかいない時にそんな事を言ってくると言うとは、少しは俺に好意があるってこと……?
いやいや、自惚れるな。
◯◯さんがただ単に律儀なだけかもしれない。
もしくは俺がツッキーに◯◯さんの良いところを伝えるのを期待しているとか。
返事に戸惑っていると、
「あ、ないならいいんだけど、中間テストも近いし、一緒に勉強できたら楽しいかなー……なんて」
少し照れながら言うもんだから、
「実は英語が苦手なんだよね」
昨日、心に留めておこうと誓ったばかりなのに……。
もうこの際、利用されようがなんだろうが、彼女と仲良くなりたいと思った。
英語が苦手なのは本当だしね。
こうして彼女と勉強会をする約束をした。
ーーーー
勉強会の場所は教室でも図書室でもなく某ファストフード店になった。
どうやら◯◯さんは良くここで勉強をしているらしい。
次から俺も利用してみようかな。
そんなことを考えながら席を探す。
「席ここでいいかな」
2階のテーブル席。
荷物を置いて小腹を満たすために注文しに行くことにした。
だけど、いざ注文すると思ったよりお腹が空いていたせいで、ガッツリ頼んでしまった。
席に戻ると◯◯さんに、
「凄い食べるね」
なんて言われる始末。
「あはは、お腹空いちゃって」
食べ過ぎだって引かれたかな?
そう思っていたら、
「私のポテトも食べる?」
まさか◯◯さんの方から食べるよう促してくるとは。
彼女は紙ナプキンにポテトを出して2つに分け、片方をくれた。
「はい、半分こ」
「ありがとう」
「そっちカリカリ多めだから」
何故か嬉しそうに渡す◯◯さん。
「え、なんで?」
いつもツッキーとファストフード店へ行くと、必ずと言うほどほどふにゃふにゃになったポテトを渡される。
ツッキーはカリカリポテトが好きなんだ。
俺はどちらかと言わずふにゃふにゃポテトが好きだからいいんだけど。
もしかして、彼女もふにゃふにゃが好きなのかな?
そう思っていたら、
「何でって言われても……。そんなの、カリカリの方が美味しいからに決まってるじゃん」
ツッキーとは反対だった。
好きだからこそカリカリを譲ってくれたんだ。
それなら、
「別に俺は気にしないよ。むしろふにゃふにゃ派だし」
「そうなの?じゃあ、私がカリカリ食べるよ?」
「いいよ」
「やったあー」
先程よりも嬉しそうに2つのポテトを入れ替える。
そんなにカリカリポテトが好きなんだ。
たかがポテトと言ったら申し訳ないけど、こんなにも喜べることになんだか可愛く感じた。
ある程度完食したところで、勉強を始めた。
……。
…………。
目の前に気になる人がいるといつも以上にペンが進まない。
普段ならスラスラ解けるはずの問題も頭が真っ白になる。
ふと◯◯さんからの視線を感じた。
「何?」
「あ、いや……分からないところでもあるかなと思って」
ちょうど良かった。
「えーっと……じゃあこことか。文法の並べ替えに自信がなくて」
「どれどれ」
待っていましたと言わんばかりに俺のノートを覗き込む◯◯さん。
なんだかこの間とは逆だな、と思った。
「これはね、この単語とこの単語を繋げると熟語になるから────」
「あーなるほど、ありがとう」
◯◯さんの教え方はとても上手だった。
本当に俺のために勉強してきてくれたことがうかがえる。
いや、俺のためじゃなくてテストのため、か。
こんな感じで、度々◯◯さんに分からない箇所を教えてもらいながら勉強会は終わった。
ーーーー
中間テストが終わって数日。
「ツッキーどこ行くの?次移動教室だけど」
「委員会の呼び出し」
「そっか……俺、待ってようか」
「別にどっちでも」
それだけ言うとツッキーは教室を出ていってしまった。
廊下で待っていようと思い、教材を持って教室の外へ出ると、ヒラヒラと1枚のプリントが落ちてきた。
◯◯さんのだ。
「待って、◯◯さん」
咄嗟に引き留めて、急いでプリントを拾い上げる。
「はい、これ。落としたよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「月島君は?」
この間は楽しく勉強会をしたと思ったのに、何でツッキーのことを気に掛けるの?
「委員会の呼び出しっぽい」
答えてはみたものの面白くない。
本当はツッキーのことを待っていようと思っていたけど止めた。
「だから俺も一緒に行ってもいいかな?」
ツッキーだってどっちでもって言っていたし。
「うん、いいよ」
向かう途中、他愛のない話をした。
「この間のテストどうだった?」
「ぼちぼちかな。◯◯さんは?」
「英語は良かったんだけど、後は……ね」
その口ぶりから良くなかったことがうかがえる。
それなら、このチャンスを逃したくない。
「あはは、じゃあまた一緒に勉強しないとね」
俺は◯◯さんに視線を合わせて言った。
すると、彼女は小さく声を漏らした。
「……ぁっ」
教室に忘れ物でもしたのだろうか。
だけど、今戻るとツッキーと鉢合わせしてしまうかもしれない。
なんか嫌だな。
違うことを願いながら彼女に尋ねた。
「ぼーっとして、どうかした?」
「ううん、何でもない」
結局理由は分からないけれど、忘れ物じゃないみたいで一安心。
俺が醜い嫉妬をしながら隣を歩いているだなんて、キミは想像もしていないだろう。
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