キミのつむじを見たい
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中間テストが終わって数日。
テスト期間特有のピリピリした空気がなくなり、通常の日常に戻った。
休み時間に次の授業の教室へ向かっていると、名前を呼ばれた。
「待って、◯◯さん」
振り向くと、何やらしゃがみ込んでプリントを拾い上げる山口君の姿が。
あ、つむじ……。
先日発見した山口君のつむじを見る方法。
段差を利用すれば良いと思っていたけれど、そんなことをしなくても今みたいに目にする機会が増えた気がする。
「はい、これ。落としたよ」
どうやら教科書に挟んでいたプリントが落ちて、拾ってくれたようだ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
受け取ってから気が付いた。
「月島君は?」
よっぽどのことがない限り、移動教室のときは彼と一緒なのに。
「委員会の呼び出しっぽい」
「ふーん」
「だから俺も一緒に行ってもいいかな?」
山口君の手にも私の持っている教科と同じ教科書とノートが握られていた。
「うん、いいよ」
目的地が同じなのに断る理由なんてない。
むしろ、断って無言で後ろを付いて来られる方が気まずい。
向かう途中、他愛のない話をした。
「この間のテストどうだった?」
「ぼちぼちかな。◯◯さんは?」
「英語は良かったんだけど、後は……ね」
赤点こそなかったけれど、いくつか平均以下の教科があった。
「あはは、じゃあまた一緒に勉強しないとね」
山口君は私の視線に合わせて柔らかく微笑んだ。
「……ぁっ」
そのとき分かった。
山口君が背が高いのに威圧的に感じない理由が。
上から見下ろすのではなく、いちいち屈んで目線を合わせてくれるからだ。
どうりで彼のつむじを拝む訳だ。
他の人にも同じことをしているのか、それとも私だけにしていることなのか。
他の人との対応を意識して見ていないから分からないけれど、私だけならいいのに。
私だけに山口君のつむじを見せてくれたらいいのに。
「ぼーっとして、どうかした?」
「ううん、何でもない」
だけど、本人には絶対に言えない。
こんな変なことを考えながら隣を歩いているだなんて、アナタは想像もしていないでしょう。
ーーFinーー
テスト期間特有のピリピリした空気がなくなり、通常の日常に戻った。
休み時間に次の授業の教室へ向かっていると、名前を呼ばれた。
「待って、◯◯さん」
振り向くと、何やらしゃがみ込んでプリントを拾い上げる山口君の姿が。
あ、つむじ……。
先日発見した山口君のつむじを見る方法。
段差を利用すれば良いと思っていたけれど、そんなことをしなくても今みたいに目にする機会が増えた気がする。
「はい、これ。落としたよ」
どうやら教科書に挟んでいたプリントが落ちて、拾ってくれたようだ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
受け取ってから気が付いた。
「月島君は?」
よっぽどのことがない限り、移動教室のときは彼と一緒なのに。
「委員会の呼び出しっぽい」
「ふーん」
「だから俺も一緒に行ってもいいかな?」
山口君の手にも私の持っている教科と同じ教科書とノートが握られていた。
「うん、いいよ」
目的地が同じなのに断る理由なんてない。
むしろ、断って無言で後ろを付いて来られる方が気まずい。
向かう途中、他愛のない話をした。
「この間のテストどうだった?」
「ぼちぼちかな。◯◯さんは?」
「英語は良かったんだけど、後は……ね」
赤点こそなかったけれど、いくつか平均以下の教科があった。
「あはは、じゃあまた一緒に勉強しないとね」
山口君は私の視線に合わせて柔らかく微笑んだ。
「……ぁっ」
そのとき分かった。
山口君が背が高いのに威圧的に感じない理由が。
上から見下ろすのではなく、いちいち屈んで目線を合わせてくれるからだ。
どうりで彼のつむじを拝む訳だ。
他の人にも同じことをしているのか、それとも私だけにしていることなのか。
他の人との対応を意識して見ていないから分からないけれど、私だけならいいのに。
私だけに山口君のつむじを見せてくれたらいいのに。
「ぼーっとして、どうかした?」
「ううん、何でもない」
だけど、本人には絶対に言えない。
こんな変なことを考えながら隣を歩いているだなんて、アナタは想像もしていないでしょう。
ーーFinーー