初恋は実らない
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それから早3年経ち私は烏野高校へ入学。
そのころには彼の事もとっくに忘れて新しい恋をしようと意気込んでいた。
そして入学してから2ヶ月ほど経ったある日。
忘れ物をしていることに気付き教室に戻ると私の席に男子生徒がいた。
スリッパの色からして同じ1年生なんだろうけど、まだ同学年の人の顔と名前まで覚えていない。
そう言えば、この教室、委員会で使うって言ってたっけ。
だとしても、他の人は見当たらないからもう終わっているはずなんだけど、なんで彼だけ?
近づくと彼は私の忘れ物の教科書を見ていた。
どこの誰か知らないけど、それがないと課題が出来ない。
私は勇気を振り絞って声をかけた。
「あの………それ、私の」
ゆっくりとこちらを向く男子生徒に見覚えがあった。
顔のそばかす、なよなよとした雰囲気。
「山口君……」
「●●ちゃん…?●●ちゃんだよね?」
彼も私のことを覚えていたのか、下の名前を連呼してきた。
小学校の卒業式以来。
山口君も烏野高校に来ていたんだ。
当時は私の方が少しだけ背が高かったのに、スラっとした高身長に変わっていたせいで遠目からでは直ぐに気が付かなかった。
「ところでなんで苗字?昔は名前で呼んでくれてたのに」
にへらっと笑う山口君。
異性を名前で呼ぶなんて小学生までだよ。
山口君の方がいつまでも私を名前で呼ぶのが可笑しい。
そうじゃなくて、昔のことを謝るチャンスなのでは?
「ねぇ、山口君」
「何?●●ちゃん」
「小学生のとき、意地悪なことばかり言ってごめんね」
「あー、うん。確かに言葉はキツかったけど、本当のことだから気にしないで」
だからって簡単に許せるの?
「だって、●●ちゃんが色々言ってくれたから勉強だって頑張ったし、運動もずっと続けているよ」
「……山口君って何組?」
「4組だよ」
進学クラスだ。
散々山口君に勉強しないの、頭悪いって言っておいて、私は普通クラス。
普通ならバカにしたくせにお前は普通クラスなのかよって言い返すはずなのに。
「あ、教科書取りに来たんだよね?」
はいっと渡してきた教科書を手に取るが、後ろめたくてまともに山口君の顔が見れない。
それを察したのか、
「ねぇ、●●ちゃん。昔の俺は情けなかったかもしれないけど、今度は頑張る俺を見てくれない?」
「……変わってなかったらまた怒っちゃうかもしれないよ?」
違う、そんなことを言いたいんじゃないのに。
だけど山口君は、
「それでいいよ。だから、ちゃんと成長できたって認めてくれたら、また名前で呼んでくれる?」
なんて笑うから、こっちまで気が緩んでしまう。
「あ、俺、部活があるから。それじゃあ、また明日ね」
「うん、明日」
私の返事を聞く前に教室を去っていった山口君。
私の初恋が再熱しそう。
初恋は実らないって言うけど、この気持ちを大切にしたい。
私は受け取った教科書をぎゅっと抱き抱えながらそう思った。
そのころには彼の事もとっくに忘れて新しい恋をしようと意気込んでいた。
そして入学してから2ヶ月ほど経ったある日。
忘れ物をしていることに気付き教室に戻ると私の席に男子生徒がいた。
スリッパの色からして同じ1年生なんだろうけど、まだ同学年の人の顔と名前まで覚えていない。
そう言えば、この教室、委員会で使うって言ってたっけ。
だとしても、他の人は見当たらないからもう終わっているはずなんだけど、なんで彼だけ?
近づくと彼は私の忘れ物の教科書を見ていた。
どこの誰か知らないけど、それがないと課題が出来ない。
私は勇気を振り絞って声をかけた。
「あの………それ、私の」
ゆっくりとこちらを向く男子生徒に見覚えがあった。
顔のそばかす、なよなよとした雰囲気。
「山口君……」
「●●ちゃん…?●●ちゃんだよね?」
彼も私のことを覚えていたのか、下の名前を連呼してきた。
小学校の卒業式以来。
山口君も烏野高校に来ていたんだ。
当時は私の方が少しだけ背が高かったのに、スラっとした高身長に変わっていたせいで遠目からでは直ぐに気が付かなかった。
「ところでなんで苗字?昔は名前で呼んでくれてたのに」
にへらっと笑う山口君。
異性を名前で呼ぶなんて小学生までだよ。
山口君の方がいつまでも私を名前で呼ぶのが可笑しい。
そうじゃなくて、昔のことを謝るチャンスなのでは?
「ねぇ、山口君」
「何?●●ちゃん」
「小学生のとき、意地悪なことばかり言ってごめんね」
「あー、うん。確かに言葉はキツかったけど、本当のことだから気にしないで」
だからって簡単に許せるの?
「だって、●●ちゃんが色々言ってくれたから勉強だって頑張ったし、運動もずっと続けているよ」
「……山口君って何組?」
「4組だよ」
進学クラスだ。
散々山口君に勉強しないの、頭悪いって言っておいて、私は普通クラス。
普通ならバカにしたくせにお前は普通クラスなのかよって言い返すはずなのに。
「あ、教科書取りに来たんだよね?」
はいっと渡してきた教科書を手に取るが、後ろめたくてまともに山口君の顔が見れない。
それを察したのか、
「ねぇ、●●ちゃん。昔の俺は情けなかったかもしれないけど、今度は頑張る俺を見てくれない?」
「……変わってなかったらまた怒っちゃうかもしれないよ?」
違う、そんなことを言いたいんじゃないのに。
だけど山口君は、
「それでいいよ。だから、ちゃんと成長できたって認めてくれたら、また名前で呼んでくれる?」
なんて笑うから、こっちまで気が緩んでしまう。
「あ、俺、部活があるから。それじゃあ、また明日ね」
「うん、明日」
私の返事を聞く前に教室を去っていった山口君。
私の初恋が再熱しそう。
初恋は実らないって言うけど、この気持ちを大切にしたい。
私は受け取った教科書をぎゅっと抱き抱えながらそう思った。