はいチーズ
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〜はいチーズ〜
桜咲く季節。
パリッとした新しい制服に手を通した。
私はこの春から青葉城西高校の1年生になる。
「●●、同じクラスだよ!やったね」
「本当だ!」
昇降口に貼られた名簿表を見て喜んでいる彼女は中学が同じだったチヨリ。
ちなみに、チヨリには2つ上のお兄さんがいて、彼も青葉城西に通っている。
ーーー
入学式が終わると各教室に戻り、ホームルームが行われた。
提出物の回収、担任からの激励の言葉、生徒の自己紹介。
それらが終わればようやく下校。
やっと帰れる、とウキウキしながら立ち上がろうとしたら、
「あ、そうそう最後に言い忘れていた」
担任のこの言葉で、動きを止めた。
「1階の購買部で物品の購入をしておくこと。以上」
すっかり忘れていた。
教材を買わないといけないことを。
他の生徒たちの波に流されるように、私もチヨリと購買部へと向かった。
「購買部ってここかな」
購買部の机にズラリと並んだ教材の多さに愕然としながらも、何とか購入完了。
「教科書重たっ!」
「ロッカーに全部置いていこうよ」
「そうしよっか」
フラフラしながら教室に向かう途中、
「うわあっ!」
曲がり角で走ってきたジャージ姿の男子生徒とぶつかってしまった。
抱えていた教材は見事に床に散らばる。
「ごめんね〜」
謝りながら急いで掻き集めている彼のつむじが視界に入る。
ピンク色がかった茶色の髪の毛……?
って、見ている場合じゃない。
私も拾わないと。
「えっと、すみません」
だけど、しゃがみ込む頃にはほとんどの教材は彼の手の中にあった。
「はい、これで全部かな?」
「あ、ありが……」
「じゃっ、急いでるから、本当にごめんね〜!」
「あっ……!」
お礼を言うまもなく、颯爽と彼は去っていってしまった。
無意識に伸ばした手が虚しく行き場を失う。
しゃがんでいたときは気が付かなかったけれど、背が高い人だったな……。
「……」
「●●、大丈夫?」
去っていく彼の後ろ姿をぼーっと眺めている私に、チヨリは心配そうに顔を覗き込んできた。
「ねえ、チヨリ……」
「ん?」
「あの人、先輩かな?」
「ジャージ着てたしそうじゃない?午後から部活があるってお兄ちゃん言ってたから、あの人もきっとそうだよ」
「そっか、先輩か」
2年生かな?
それとも3年生かな?
どちらにせよ、同じ学校だからそのうち会えるよね。
もう一度彼に会えば、この鼓動がうるさい理由が分かるかな。
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