猛暑とエアコン
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貴大からの連絡を待ちわび、絶望的な検索履歴を眺めていたその時、ついにインターホンが鳴った。
ピンポーン
私は弾かれたように立ち上がり、扉へ向かう。
時間にして電話を切ってから1時間以上。
勢いよく扉を開けると、そこに立っていたのは、見慣れた顔。
「貴大!遅い!」
私は溜め込んでいた感情をぶつけるように叫んだ。
「わりぃ。中々開いてる店がなくて」
貴大は、怒っている私を前にしても、どこか落ち着いた様子で頭を掻いた。
その手には、見慣れないケーキ屋のロゴが入った箱が提げられている。
「なにその箱」
「まあまあ、ひとまず上がるな」
貴大はそのままリビングに入り、私の向かいに座った。
私の心配などどこ吹く風。
この間、一体どこをうろついていたのだろうか。
貴大は咳払いをして、姿勢を正した。
「●●さん」
「は、はい」
急にさん付けで呼ばれ、私も反射的に姿勢を正してしまう。
貴大がこんなに改まるなんて、大学時代から初めてのことだった。
「まずはごめんなさい」
「!!」
私の心臓がドキンと鳴る。
ごめんなさい。
この一言が全てを物語っている気がした。
やっぱり、責任は取れないと言うのだろうか。
「待て待て、最後まで話しを聞けって」
貴大は、さらに深く息を吸い込んだ。
「次会うときまでにホワイト勤めって言ったけど、あれは実現していません。ごめんなさい」
それは、なんとなく察していた。
プー太郎期間が長引いていることも、電話口のテレビの音で分かっていた。
そして、貴大は箱を机に置き、真っ直ぐに私の目を見た。
「だけど俺……●●とお腹の子のために、ちゃんと仕事を見つけるから。だから、俺と結婚してくれませんか」
予想していた「堕ろせ」「責任は取れない」という言葉とは、真逆のプロポーズ。
私は目を丸くしたまま、声が裏返る。
「結婚、してくれるの……?」
貴大は呆れたような、でも優しい笑顔を浮かべた。
「え、むしろ土下座してもお願いしたいくらいなんですけど」
当然だろ、と無言で語る貴大の目に、嘘偽りはないように見えた。
「私も……私も貴大と結婚したい!」
涙声で答えると、貴大の顔がパッと明るくなった。
「ありがとう!絶対に幸せにするからな!そうだ、これ。食おうぜ」
貴大が箱から取り出したのは、「祝☆プロポーズ大成功」と書かれたチョコプレートが乗った、4号サイズのデコレーションケーキだった。
貴大は、昔、スポンジよりシュークリームの方が好きだって言っていたのに。
多分、チョコプレートが乗せられなかったから、デコレーションケーキにしたのだろう。
この不器用さが貴大らしい。
それにしても、もし断られてたら、このケーキどうするつもりだったんだろう。
そんなことを考えながら、私はキッチンからフォークを持ってきて、ケーキを取り分けた。
「美味しいね」
「おう」
夏の猛暑と、壊れたエアコンが、私の運命を変えた。
そして、その運命の先に、今の貴大がいる。
知り合ってから7年、居候期間3週間、付き合った日数0日。
私は今、最高に幸せです。
ーーFinーー
ピンポーン
私は弾かれたように立ち上がり、扉へ向かう。
時間にして電話を切ってから1時間以上。
勢いよく扉を開けると、そこに立っていたのは、見慣れた顔。
「貴大!遅い!」
私は溜め込んでいた感情をぶつけるように叫んだ。
「わりぃ。中々開いてる店がなくて」
貴大は、怒っている私を前にしても、どこか落ち着いた様子で頭を掻いた。
その手には、見慣れないケーキ屋のロゴが入った箱が提げられている。
「なにその箱」
「まあまあ、ひとまず上がるな」
貴大はそのままリビングに入り、私の向かいに座った。
私の心配などどこ吹く風。
この間、一体どこをうろついていたのだろうか。
貴大は咳払いをして、姿勢を正した。
「●●さん」
「は、はい」
急にさん付けで呼ばれ、私も反射的に姿勢を正してしまう。
貴大がこんなに改まるなんて、大学時代から初めてのことだった。
「まずはごめんなさい」
「!!」
私の心臓がドキンと鳴る。
ごめんなさい。
この一言が全てを物語っている気がした。
やっぱり、責任は取れないと言うのだろうか。
「待て待て、最後まで話しを聞けって」
貴大は、さらに深く息を吸い込んだ。
「次会うときまでにホワイト勤めって言ったけど、あれは実現していません。ごめんなさい」
それは、なんとなく察していた。
プー太郎期間が長引いていることも、電話口のテレビの音で分かっていた。
そして、貴大は箱を机に置き、真っ直ぐに私の目を見た。
「だけど俺……●●とお腹の子のために、ちゃんと仕事を見つけるから。だから、俺と結婚してくれませんか」
予想していた「堕ろせ」「責任は取れない」という言葉とは、真逆のプロポーズ。
私は目を丸くしたまま、声が裏返る。
「結婚、してくれるの……?」
貴大は呆れたような、でも優しい笑顔を浮かべた。
「え、むしろ土下座してもお願いしたいくらいなんですけど」
当然だろ、と無言で語る貴大の目に、嘘偽りはないように見えた。
「私も……私も貴大と結婚したい!」
涙声で答えると、貴大の顔がパッと明るくなった。
「ありがとう!絶対に幸せにするからな!そうだ、これ。食おうぜ」
貴大が箱から取り出したのは、「祝☆プロポーズ大成功」と書かれたチョコプレートが乗った、4号サイズのデコレーションケーキだった。
貴大は、昔、スポンジよりシュークリームの方が好きだって言っていたのに。
多分、チョコプレートが乗せられなかったから、デコレーションケーキにしたのだろう。
この不器用さが貴大らしい。
それにしても、もし断られてたら、このケーキどうするつもりだったんだろう。
そんなことを考えながら、私はキッチンからフォークを持ってきて、ケーキを取り分けた。
「美味しいね」
「おう」
夏の猛暑と、壊れたエアコンが、私の運命を変えた。
そして、その運命の先に、今の貴大がいる。
知り合ってから7年、居候期間3週間、付き合った日数0日。
私は今、最高に幸せです。
ーーFinーー
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