「ごちそうさん」

「お粗末様でした」


私が作ったご飯を貴大は完食してくれた。


「旨かったわ。●●はいい奥さんになるな」

「またまたそんなこと言って」

「いや、まじまじ。俺一瞬●●と結婚したっけ？って錯覚したもん」

「バカじゃないの」


本当にバカなことを言う。


「バカついでに変なこと言っていいか？」

「え、嫌だけど」

「まあまあ、そう言うなって」


許可を求めてきた癖に、結局拒否権などなく勝手に話し始めた貴大。


「帰ってきてから●●のエプロン姿にムラムラしています」

「はあ？」


別に普通に服の上から普通のエプロンを着けているだけなのに、これのどこにムラムラ要素があるのか。
男の……いや、主語が大きすぎた。貴大の性欲はどうなっているんだ。


「ちょ、ちょ、ちょっと待って！」

「待てねぇ」


座った状態で後退りする私を四つんばいでジリジリと迫ってくる貴大。

キスしようとしてくる貴大の口を手で押さえる。


「ほら、貴大彼女は？いたでしょ？」

「とっくに別れたわ。そもそもいたら●●を泊めてない」

「じゃあ、私に彼氏いるかもしれないじゃん」

「だから、いないから俺のところに来たんだろ」


そりゃそうだ。動揺しすぎて変な言い訳をしてしまった。
その隙を見て貴大は私の腕を掴み、口を押さえていた手を剥がす。
いつになく真剣な目をする貴大。もう逃げられない。

ちゅっ

しかし、意外にも優しいキス。


「なんだ、物足りなさそうな顔をして」

「え、え」


私、そんな顔をしていた？
でも、だって貴大だよ？もっと強引で荒っぽいキスをすると思うじゃん。なんでそんなに優しいのよ。


「それならお望み通りに」


私の心の声が聞こえたかのように熱くて、そして貪るようなキスをされた。