はいチーズ
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季節は巡る。
この桜も私たち新1年生を迎えるために咲いていたと思っていたのに、今は3年生を見送るために咲いている。
順番に卒業証を受け取る先輩たち。
うろ覚えの“旅立ちの日に”を歌う。
『白い光の中に────』
この1年間色んなことがあったな。
『山なみは萌えて────』
チヨリと同じクラスになって、
『遥かな空の果てまでも────』
貴大先輩とぶつかって、
『君は飛び立つ────』
男子バレー部のマネージャーを諦めて、
『限りなく青い空に────』
だけど先輩自身を諦めることはできなくて、
『心ふるわせ────』
時には避けられているのかと思う時もあったけど、
『自由を駆ける鳥よ────』
それでも写真をいっぱい撮ったね。
……おかしいな、なんで涙が出るんだろう。
小学校から中学校まで、今まで何度も上級生を送り出したのに。
そのときは一度だって泣かなかったのに。
歌を歌い終わる頃には、私の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「っ……ぅ……」
鼻をすすっている人はいるけれど、ここまで泣いている人はいないようで、私の嗚咽だけが響いていた。
退場していく3年生を見送った後、教室でホームルームが行われた。
「卒業生に別れをしたいやつがいるかもしれないから、今日は短めに話をするな」
担任の先生のナイスな計らいにより、ホームルームが終わると直ぐに教室を出た。
幸いにも大半の卒業生たちは校門で写真を撮っていたり、アルバムに寄せ書きをしていたりとワイワイしながら残っている。
もちろん、その中には貴大先輩の姿も。
同じ部活の人たちだろうか。
楽しそうにじゃれ合っている。
私なんかがその空間に入っていいものなのか。
迷いながらも、後悔はしたくなかった。
やっぱり私と言えば、写真を撮ろう。
「貴大先輩!」
いつもと変わりない1枚を。
「おう、●●ちゃん。待っていたよ。写真、撮るんだろ?」
「もちろんです!」
桜の木を背景に、同じようにピンクがかった茶色の髪の毛のアナタ。
相変わらずニカッと素敵な笑顔。
そんな先輩を見て私もつられて笑顔になる。
「はいチーズ!」
ーーFinーー
※『』内は合唱曲より旅立ちの日に、を引用しました
この桜も私たち新1年生を迎えるために咲いていたと思っていたのに、今は3年生を見送るために咲いている。
順番に卒業証を受け取る先輩たち。
うろ覚えの“旅立ちの日に”を歌う。
『白い光の中に────』
この1年間色んなことがあったな。
『山なみは萌えて────』
チヨリと同じクラスになって、
『遥かな空の果てまでも────』
貴大先輩とぶつかって、
『君は飛び立つ────』
男子バレー部のマネージャーを諦めて、
『限りなく青い空に────』
だけど先輩自身を諦めることはできなくて、
『心ふるわせ────』
時には避けられているのかと思う時もあったけど、
『自由を駆ける鳥よ────』
それでも写真をいっぱい撮ったね。
……おかしいな、なんで涙が出るんだろう。
小学校から中学校まで、今まで何度も上級生を送り出したのに。
そのときは一度だって泣かなかったのに。
歌を歌い終わる頃には、私の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「っ……ぅ……」
鼻をすすっている人はいるけれど、ここまで泣いている人はいないようで、私の嗚咽だけが響いていた。
退場していく3年生を見送った後、教室でホームルームが行われた。
「卒業生に別れをしたいやつがいるかもしれないから、今日は短めに話をするな」
担任の先生のナイスな計らいにより、ホームルームが終わると直ぐに教室を出た。
幸いにも大半の卒業生たちは校門で写真を撮っていたり、アルバムに寄せ書きをしていたりとワイワイしながら残っている。
もちろん、その中には貴大先輩の姿も。
同じ部活の人たちだろうか。
楽しそうにじゃれ合っている。
私なんかがその空間に入っていいものなのか。
迷いながらも、後悔はしたくなかった。
やっぱり私と言えば、写真を撮ろう。
「貴大先輩!」
いつもと変わりない1枚を。
「おう、●●ちゃん。待っていたよ。写真、撮るんだろ?」
「もちろんです!」
桜の木を背景に、同じようにピンクがかった茶色の髪の毛のアナタ。
相変わらずニカッと素敵な笑顔。
そんな先輩を見て私もつられて笑顔になる。
「はいチーズ!」
ーーFinーー
※『』内は合唱曲より旅立ちの日に、を引用しました