はいチーズ
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頑張ると言いつつも、何をどう頑張れば良いのか分からず、早数日。
悶々とした気持ちのまま部活に参加した。
「今日はシュークリームを作ります」
顧問の先生がシュークリームのレシピを配る。
「シュークリームか……」
そのレシピを見ると難しそうだった。
生地だけでなく、カスタードクリームも1から作るようだ。
「何々、不安そうな顔だね」
「だって……」
同じ班のチヨリがからかうように言ってきた。
チヨリは元々料理部に入ろうと思っていたくらい料理が好きだからいいかもしれないけれど、そうではない私にとっては不安しかない。
「じゃあさ、出来たシュークリームを貴大先輩にあげようよ。そしたら頑張れるんじゃない?」
「確かに……」
一里あると同時に失敗した時のプレッシャーも倍増。
気合を入れて真面目に取り掛かったけれど、それだけでは補えないのが私の鈍くささ。
それでもチヨリのフォローもあり、なんとか形にすることができた。
「膨らまなかったのもあるけど、こっちのは良い形じゃない?」
「チヨリのおかげだよ、ありがとう!」
「お礼はまだ早いよ。ほら、クリーム詰めて」
「うん!」
出来上がったシュークリームをワックスペーパーで包み、上部をラッピングタイで留める。
自分で言うのもなんだけど、可愛くラッピングできた。
「私はここで食べていくけど、●●はどうする?先に貴大先輩のところへ持っていく?」
「そうしたいけど……」
洗い物や調理室の掃除が諸々残っている。
特に一番汚したであろう私が抜けるのは申し訳なかった。
そんなとき、チヨリがはっきりしない私を察してか、
「片付けならやっておくから行っといで」
「チヨリ……」
背中を押してくれた。
「ありがとう!」
本当に良い友達を持った。
チヨリにお礼を言った後、着替える間もなく体育館へ向かった。
ーーーー
おかしい。
体育館の電気は点いているのに、ボールの音が聞こえてこない。
中を確認しようと重い扉を少し開けると、部員たちが壁際で休憩していた。
なんだ、帰ったわけじゃなかったんだね。
よかった。
それなら、貴大先輩は……。
キョロキョロと中を見渡すと、思わぬ方向から名前を呼ばれた。
「●●ちゃんじゃん」
「えっ?!」
振り向くと、そこには貴大先輩がいた。
「なんで外に?」
「涼んでた。それより、手に持ってるソレなに?めっちゃ良い匂いする」
「あ、これ!部活で作ったシュークリームです!初めて作ったので形は悪いですけど……。良かったら貰って下さい!」
「マジ、嬉しい」
思いのほか喜んでくれている。
もしかして先輩も私のこと……。
「俺、シュークリーム好きなんだよね」
そんな都合の良いことはなかった。
なんだ、私が作ったからじゃなくて、シュークリームが好きなだけか。
いや、受け取ってもらえただけ良かったと思わないと。
「今食べていい?」
「今ですか?!い、いいですけど……」
目の前で食べられるのってなんだか恥ずかしい。
先輩はラッピングタイを外して、ワックスペーパーから顔を出したシュークリームに齧り付いた。
「んっ!……うまいよ、これ」
「本当ですか?!良かった〜」
止まることなくパクパクとあっという間に平らげた。
「ご馳走さん」
「あ、貴大先輩……」
「ん?」
先輩の口元にクリームが付いている。
だけど、急いで体育館に向かった私はティッシュを持っていない。
そうだ、エプロンで!
そう思ってエプロンを掴むと、ポケットにスマホを入れていたことに気が付いた。
……拭く前に、クリームを付けた無邪気な顔を写真に収めたい。
そう思うより先に、私は貴大先輩を撮っていた。
カシャッ
「ちょ、いきなり何?!」
「す、すみません。口元にクリーム付いていたのが可愛くてつい……」
だとしても気持ち悪いことをしてしまった、と今更ながら後悔した。
それなのに、
「ちょっと貸して?」
先輩は私のスマホをひょいと取り上げてインカメにした。
「あ、本当だ。付いてる」
スマホを鏡代わりにして拭うのかと思いきや、
カシャッ
「え?」
先輩はシャッターを押していた。
「ほい」
返してもらったスマホの写真フォルダーを確認すると、貴大先輩と間抜けな顔をしている私の2ショット写真が保存されていた。
「せっかくなら一緒に写ろうや」
そう言ってニカッと笑う貴大先輩。
ああ、彼のことが本当に好きだ。
だけど、次はもう少しマシな顔で写りたい。
悶々とした気持ちのまま部活に参加した。
「今日はシュークリームを作ります」
顧問の先生がシュークリームのレシピを配る。
「シュークリームか……」
そのレシピを見ると難しそうだった。
生地だけでなく、カスタードクリームも1から作るようだ。
「何々、不安そうな顔だね」
「だって……」
同じ班のチヨリがからかうように言ってきた。
チヨリは元々料理部に入ろうと思っていたくらい料理が好きだからいいかもしれないけれど、そうではない私にとっては不安しかない。
「じゃあさ、出来たシュークリームを貴大先輩にあげようよ。そしたら頑張れるんじゃない?」
「確かに……」
一里あると同時に失敗した時のプレッシャーも倍増。
気合を入れて真面目に取り掛かったけれど、それだけでは補えないのが私の鈍くささ。
それでもチヨリのフォローもあり、なんとか形にすることができた。
「膨らまなかったのもあるけど、こっちのは良い形じゃない?」
「チヨリのおかげだよ、ありがとう!」
「お礼はまだ早いよ。ほら、クリーム詰めて」
「うん!」
出来上がったシュークリームをワックスペーパーで包み、上部をラッピングタイで留める。
自分で言うのもなんだけど、可愛くラッピングできた。
「私はここで食べていくけど、●●はどうする?先に貴大先輩のところへ持っていく?」
「そうしたいけど……」
洗い物や調理室の掃除が諸々残っている。
特に一番汚したであろう私が抜けるのは申し訳なかった。
そんなとき、チヨリがはっきりしない私を察してか、
「片付けならやっておくから行っといで」
「チヨリ……」
背中を押してくれた。
「ありがとう!」
本当に良い友達を持った。
チヨリにお礼を言った後、着替える間もなく体育館へ向かった。
ーーーー
おかしい。
体育館の電気は点いているのに、ボールの音が聞こえてこない。
中を確認しようと重い扉を少し開けると、部員たちが壁際で休憩していた。
なんだ、帰ったわけじゃなかったんだね。
よかった。
それなら、貴大先輩は……。
キョロキョロと中を見渡すと、思わぬ方向から名前を呼ばれた。
「●●ちゃんじゃん」
「えっ?!」
振り向くと、そこには貴大先輩がいた。
「なんで外に?」
「涼んでた。それより、手に持ってるソレなに?めっちゃ良い匂いする」
「あ、これ!部活で作ったシュークリームです!初めて作ったので形は悪いですけど……。良かったら貰って下さい!」
「マジ、嬉しい」
思いのほか喜んでくれている。
もしかして先輩も私のこと……。
「俺、シュークリーム好きなんだよね」
そんな都合の良いことはなかった。
なんだ、私が作ったからじゃなくて、シュークリームが好きなだけか。
いや、受け取ってもらえただけ良かったと思わないと。
「今食べていい?」
「今ですか?!い、いいですけど……」
目の前で食べられるのってなんだか恥ずかしい。
先輩はラッピングタイを外して、ワックスペーパーから顔を出したシュークリームに齧り付いた。
「んっ!……うまいよ、これ」
「本当ですか?!良かった〜」
止まることなくパクパクとあっという間に平らげた。
「ご馳走さん」
「あ、貴大先輩……」
「ん?」
先輩の口元にクリームが付いている。
だけど、急いで体育館に向かった私はティッシュを持っていない。
そうだ、エプロンで!
そう思ってエプロンを掴むと、ポケットにスマホを入れていたことに気が付いた。
……拭く前に、クリームを付けた無邪気な顔を写真に収めたい。
そう思うより先に、私は貴大先輩を撮っていた。
カシャッ
「ちょ、いきなり何?!」
「す、すみません。口元にクリーム付いていたのが可愛くてつい……」
だとしても気持ち悪いことをしてしまった、と今更ながら後悔した。
それなのに、
「ちょっと貸して?」
先輩は私のスマホをひょいと取り上げてインカメにした。
「あ、本当だ。付いてる」
スマホを鏡代わりにして拭うのかと思いきや、
カシャッ
「え?」
先輩はシャッターを押していた。
「ほい」
返してもらったスマホの写真フォルダーを確認すると、貴大先輩と間抜けな顔をしている私の2ショット写真が保存されていた。
「せっかくなら一緒に写ろうや」
そう言ってニカッと笑う貴大先輩。
ああ、彼のことが本当に好きだ。
だけど、次はもう少しマシな顔で写りたい。