はいチーズ
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ある日のお昼休みの時間。
次の授業が体育のため、早めに移動しようとしたとき。
「うわー、最悪」
「どうしたの?」
チヨリの嘆きに振り向くと、袋から体操服を取り出していた。
「これ、お兄ちゃんのだ」
「あらら」
サイズもさながら、学年が違うため体操服の色も違う。
だから他学年のを着ていたら先生に一発でバレて、確実に指摘される。
「交換しに行かないと」
「私も付き合うよ」
「本当?助かるー!」
チヨリには感謝されたけれど、私は又とない3年生の階に行けるチャンスに心を躍らせていた。
「お兄さん、何組?」
「えーっと、3組だよ」
クラスを聞いておいてなんだけれど、あの先輩のクラスどころか名前だって知らない。
だけど、あわよくばすれ違わないかな、そんな期待を込めて階段を登る。
登りきった先に広がる3年生の教室がある廊下。
1年生の階と同じ構造のはずなのに、何故か緊張した。
「3組、3組……。あ、ここだ」
緊張している私とは違い、チヨリは躊躇なく教室の扉を開けた。
「お兄ちゃーん!」
「おう、びっくりした!チヨリか。どうした?」
緊張はしているけれど、チヨリがお兄さんとやり取りをしている間、私はすかさず彼を探した。
すると、
「……あっ」
教室の隅で男友達とお喋りしている彼。
ピンクがかった茶髪に個性的な前髪。
間違いない、彼だ。
気が付けば彼の席の前まで来ていた。
「あ、あの!」
「あん?」
呼びかけに対して、少し不機嫌そうにこちらへ顔を向ける。
「いきなりすみません!私は1年の●●って言います!入学式のときにぶつかった……」
「……ああ!覚えてる、覚えてる。キミね」
覚えていてくれて嬉しい。
彼は先ほどの不機嫌そうな顔から、パッと笑顔に変わった。
ああ、鼓動がうるさい。
このうるささは、やっぱりそうだ。
「えっと……私、そのときアナタに一目惚れしました!」
「マジかよ……」
先輩の細くて切れ長の目が大きく見開いた。
「良かったらお名前だけでも教えてください」
「花巻……貴大だけど」
「貴大先輩ですね!」
やっと聞けた。
3年3組の花巻貴大先輩。
忘れないように心の中で復唱した。
そんなとき、
「●●ー?」
教室の入り口から用事を済ませたチヨリが私の名前を叫んだ。
「あ、直ぐ行く!」
呼びかけに応えた後、貴大先輩の方に再度向き直り、
「また話しかけますね!」
それだけ伝えると、チヨリと3組の教室を後にした。
更衣室に向かう途中。
教室を出たときからソワソワしていたチヨリが口を開いた。
「●●、あの先輩と何話していたの?」
前は答えられなかったけれど、自分の気持ちに名前を付けられた今なら、ちゃんと話せる。
「私、あの先輩……貴大先輩のことが好きなの」
「えっ!」
「だから、頑張る」
「うん、応援してるよ!」
チヨリは痛いくらい私の背中を叩いた。
次の授業が体育のため、早めに移動しようとしたとき。
「うわー、最悪」
「どうしたの?」
チヨリの嘆きに振り向くと、袋から体操服を取り出していた。
「これ、お兄ちゃんのだ」
「あらら」
サイズもさながら、学年が違うため体操服の色も違う。
だから他学年のを着ていたら先生に一発でバレて、確実に指摘される。
「交換しに行かないと」
「私も付き合うよ」
「本当?助かるー!」
チヨリには感謝されたけれど、私は又とない3年生の階に行けるチャンスに心を躍らせていた。
「お兄さん、何組?」
「えーっと、3組だよ」
クラスを聞いておいてなんだけれど、あの先輩のクラスどころか名前だって知らない。
だけど、あわよくばすれ違わないかな、そんな期待を込めて階段を登る。
登りきった先に広がる3年生の教室がある廊下。
1年生の階と同じ構造のはずなのに、何故か緊張した。
「3組、3組……。あ、ここだ」
緊張している私とは違い、チヨリは躊躇なく教室の扉を開けた。
「お兄ちゃーん!」
「おう、びっくりした!チヨリか。どうした?」
緊張はしているけれど、チヨリがお兄さんとやり取りをしている間、私はすかさず彼を探した。
すると、
「……あっ」
教室の隅で男友達とお喋りしている彼。
ピンクがかった茶髪に個性的な前髪。
間違いない、彼だ。
気が付けば彼の席の前まで来ていた。
「あ、あの!」
「あん?」
呼びかけに対して、少し不機嫌そうにこちらへ顔を向ける。
「いきなりすみません!私は1年の●●って言います!入学式のときにぶつかった……」
「……ああ!覚えてる、覚えてる。キミね」
覚えていてくれて嬉しい。
彼は先ほどの不機嫌そうな顔から、パッと笑顔に変わった。
ああ、鼓動がうるさい。
このうるささは、やっぱりそうだ。
「えっと……私、そのときアナタに一目惚れしました!」
「マジかよ……」
先輩の細くて切れ長の目が大きく見開いた。
「良かったらお名前だけでも教えてください」
「花巻……貴大だけど」
「貴大先輩ですね!」
やっと聞けた。
3年3組の花巻貴大先輩。
忘れないように心の中で復唱した。
そんなとき、
「●●ー?」
教室の入り口から用事を済ませたチヨリが私の名前を叫んだ。
「あ、直ぐ行く!」
呼びかけに応えた後、貴大先輩の方に再度向き直り、
「また話しかけますね!」
それだけ伝えると、チヨリと3組の教室を後にした。
更衣室に向かう途中。
教室を出たときからソワソワしていたチヨリが口を開いた。
「●●、あの先輩と何話していたの?」
前は答えられなかったけれど、自分の気持ちに名前を付けられた今なら、ちゃんと話せる。
「私、あの先輩……貴大先輩のことが好きなの」
「えっ!」
「だから、頑張る」
「うん、応援してるよ!」
チヨリは痛いくらい私の背中を叩いた。
