~第二章~ モリブデンとハロゲン
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一番に森へ入って行くネオンとクロム。
森の中は昼間だと言うのにとても暗かった。
木々が生い茂り、太陽の光を遮っているからだ。
「ところで、ネオン。モリブデンってどんな妖精だ?」
「前回の授業聞いていなかったのか?」
「寝てた」
「はぁ〜」
錬成陣の説明の授業も聞いていなかったし、実技や実践以外は寝ているのか、とネオンは呆れてため息を吐いた。
「モリブデンは白色の中型の鳥類。ジルカロイの森のように暗いところに生息している。またその中でも湖の近くにいる。捕獲自体は容易だが、探すのが至難」
スラスラとモリブデンの説明を仕出したネオンに対してクロムは、
「図鑑暗記してるのかよ。怖っ」
と、驚きが隠せなった。
「クロムが不真面目なだけだろ」
「てか、なんで探すの難しいんだ?湖探せばいるんだろ?」
「その湖が動くから難しいんだよ」
「へ、動く?」
そう、ジルカロイの森の湖は動くのである。
もちろん足が生えて移動したり、湖が空を飛んで移動するわけではない。
ジルカロイの特性上湖が蒸発しやすいのだ。
そのため、直ぐに湖が消えて、また新しいところに湧き出る。
その繰り返しをしているため、湖が動くと言われている。
ただ、ネオンはクロムに説明したところで理解できるか分からなかったため、説明を放棄した。
「……」
「おーい、無視ですかー?せっかく湖らしきものを見つけたのに」
「どこだ!」
「うおぁ、びっくりした!急に大声出すなよ。ほらあそこ」
クロムが指差した方向は霧がかかっており見づらかったが、確かに湖があった。
「あの霧は蒸発して発生したのか……」
「あ?蒸発?何言ってるのか分かんねーけど、モリブデンいるかもしれないし、早く行こうぜ!」
「あ、待て!」
まだ距離があるとは言え、そんなに音を立てて向かったら、仮にモリブデンがいたとしても逃げられてしまう。
しかし、いきなり走り出したかと思えばピタッと足を止めたクロム。
それに追いついたネオンは息を切らしながらクロムの顔を覗いた。
「なあ、ネオン。モリブデンいたよ」
「それなら尚更……」
視線をクロムから湖の方へと変えると、そこには毛むくじゃらの巨体とともにいるモリブデンの姿が。
いや、正確にはモリブデンだった物。
羽はむしられ、白い体も血に染まり、ところどころ骨が剥き出しになっている。
ソイツはモリブデンを喰らっていた。
「ハロゲン……」
ネオンは毛むくじゃらのソイツの名前をハロゲンだと判断した。
ハロゲンとはウルフ族の一種である。
「おい、逃げるぞ」
ネオンはハロゲンに気付かれないよう小声でクロムに言った。
しかし、返事がない。
クロムの方を見ると立ったま気絶していたのだ。
「まじかよ……」
置いていけるはずもなく。
かと言って、ネオンよりも大きいクロムを運ぶのも至難の技。
一先ずクロムを寝かせて、引きずることにした。
クロムの両脇に腕を回し、ハロゲンから目を離さないように、ゆっくりズリズリと最小限の音で一歩ずつ後退していく。
すると、
パキッ
一瞬だけ足元を見ると、どうやら転がっていた枝を踏んづけて音を立ててしまったようだ。
視線をハロゲンに戻すと目があった。
鋭くてギラギラとした瞳と。
「っ!」
「グルルルルッ」
喉を鳴らしたハロゲンは喰い散らかしたモリブデンを投げ捨て、ネオンとクロムの元へと向かってきた。
このままでは2人共喰われてしまう。
ネオンはクロムを急いで茂みに隠し、自分の方へ注目が集まるように揺動した。
「ハロゲン!こっちだ!」
できるだけ遠くへアイツをクロムから引き剥がさないと。
走った。
木の幹やぬかるんだ地面。視界を邪魔する木々。
最悪な環境で、ネオンはとにかく走った。
森の中は昼間だと言うのにとても暗かった。
木々が生い茂り、太陽の光を遮っているからだ。
「ところで、ネオン。モリブデンってどんな妖精だ?」
「前回の授業聞いていなかったのか?」
「寝てた」
「はぁ〜」
錬成陣の説明の授業も聞いていなかったし、実技や実践以外は寝ているのか、とネオンは呆れてため息を吐いた。
「モリブデンは白色の中型の鳥類。ジルカロイの森のように暗いところに生息している。またその中でも湖の近くにいる。捕獲自体は容易だが、探すのが至難」
スラスラとモリブデンの説明を仕出したネオンに対してクロムは、
「図鑑暗記してるのかよ。怖っ」
と、驚きが隠せなった。
「クロムが不真面目なだけだろ」
「てか、なんで探すの難しいんだ?湖探せばいるんだろ?」
「その湖が動くから難しいんだよ」
「へ、動く?」
そう、ジルカロイの森の湖は動くのである。
もちろん足が生えて移動したり、湖が空を飛んで移動するわけではない。
ジルカロイの特性上湖が蒸発しやすいのだ。
そのため、直ぐに湖が消えて、また新しいところに湧き出る。
その繰り返しをしているため、湖が動くと言われている。
ただ、ネオンはクロムに説明したところで理解できるか分からなかったため、説明を放棄した。
「……」
「おーい、無視ですかー?せっかく湖らしきものを見つけたのに」
「どこだ!」
「うおぁ、びっくりした!急に大声出すなよ。ほらあそこ」
クロムが指差した方向は霧がかかっており見づらかったが、確かに湖があった。
「あの霧は蒸発して発生したのか……」
「あ?蒸発?何言ってるのか分かんねーけど、モリブデンいるかもしれないし、早く行こうぜ!」
「あ、待て!」
まだ距離があるとは言え、そんなに音を立てて向かったら、仮にモリブデンがいたとしても逃げられてしまう。
しかし、いきなり走り出したかと思えばピタッと足を止めたクロム。
それに追いついたネオンは息を切らしながらクロムの顔を覗いた。
「なあ、ネオン。モリブデンいたよ」
「それなら尚更……」
視線をクロムから湖の方へと変えると、そこには毛むくじゃらの巨体とともにいるモリブデンの姿が。
いや、正確にはモリブデンだった物。
羽はむしられ、白い体も血に染まり、ところどころ骨が剥き出しになっている。
ソイツはモリブデンを喰らっていた。
「ハロゲン……」
ネオンは毛むくじゃらのソイツの名前をハロゲンだと判断した。
ハロゲンとはウルフ族の一種である。
「おい、逃げるぞ」
ネオンはハロゲンに気付かれないよう小声でクロムに言った。
しかし、返事がない。
クロムの方を見ると立ったま気絶していたのだ。
「まじかよ……」
置いていけるはずもなく。
かと言って、ネオンよりも大きいクロムを運ぶのも至難の技。
一先ずクロムを寝かせて、引きずることにした。
クロムの両脇に腕を回し、ハロゲンから目を離さないように、ゆっくりズリズリと最小限の音で一歩ずつ後退していく。
すると、
パキッ
一瞬だけ足元を見ると、どうやら転がっていた枝を踏んづけて音を立ててしまったようだ。
視線をハロゲンに戻すと目があった。
鋭くてギラギラとした瞳と。
「っ!」
「グルルルルッ」
喉を鳴らしたハロゲンは喰い散らかしたモリブデンを投げ捨て、ネオンとクロムの元へと向かってきた。
このままでは2人共喰われてしまう。
ネオンはクロムを急いで茂みに隠し、自分の方へ注目が集まるように揺動した。
「ハロゲン!こっちだ!」
できるだけ遠くへアイツをクロムから引き剥がさないと。
走った。
木の幹やぬかるんだ地面。視界を邪魔する木々。
最悪な環境で、ネオンはとにかく走った。