~第四章~ ネオンとリン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~第四章~ ネオンとリン
ネオンは目を覚ますと自室にいた。
外を見ると、すっかり暗くなっており、満月の光だけが照らしていた。
「痛っ……」
酷い頭痛だ。
朝起きてから今までの記憶がない。
学校へは行ったのか、それすら思い出せない。
ぐうぅぅぅ
頭は混乱しているが体は正直なわけで、お腹の音が空腹を知らせる。
「何か買いに行くか……」
重い体を起こし、ネオンは家を出た。
家々が深い闇に埋もれている中、誰も立ち入らなさそうな裏路地に、KEEP OUTのテープが張り巡らされていた。
昨日まではなかったはずだが、この先で何かあったのだろうか。
足を止めて考えたが、
「っ……」
思い出そうとすると頭が痛くなる。
それよりも食料を調達せねば、とネオンは再び歩み始めた。
……。
…………。
………………。
誰かに後を付けられている気がする。
こんな時間に、長時間、同じ方向へ歩く。
そんなことがあるだろうか。
いや、なくはないけれど。
一定の距離を保っていた足音の人物は、徐々に距離を縮めてきた。
そしてついに、
「ねえ、あなた」
「!?」
足音の人物に話しかけられた。
振り向くと、ローブで全身をすっぽりと覆っている人物がいた。
声から女性だと分かるけれど、それ以外の情報はない。
雲が満月を隠すと、フードから狼のようか尖った口が現れた。
爪も袖から見えるくらいに伸び、その姿はまるで……。
しかし、やがて雲が通り過ぎて満月が顔を出す。
そうすると、狼のような口も、鋭い爪も縮み、元の女性に戻った。
この症状は……。
ネオンは何かを忘れている気がしてならない。
「くっ……」
まただ。
思い出そうとすると頭が痛くなる。
そんなとき、風で女性のフードがめくれ上がった。
中からは可愛らしい顔の女性が姿を現した。
綺麗なエメラルドグリーンの右目に、潰れた左目。
「お前は!」
女性の顔を見ると、ネオンの脳裏には忘れた記憶の映像が流れ始めた。
“クロム・ビスマスが……亡くなった”
学校でシルバーが言った言葉。
“後は頼んだぞ、ネオン”
クロムが俺に託した言葉。
“彼女が今回の事件のウルフの正体”
店長が親父と会話していた内容。
そして親父が持っていた新聞の切り抜きに写っていた女性、アルゴンの監視カメラに映し出された女性。
そう、その彼女こそが2日前にアルゴンでネオンが接客した女性客であり、目の前にいる女性。
全て思い出した。
「お前、リンだな」