〜第二章〜 近づく距離
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花火大会当日。
“すみません、急遽社会人チームと練習試合をすることになって…。間に合うとは思いますが、遅くなるようならまた連絡します”
その連絡が来たのがお昼頃。
あと少しで約束していた時間なのに、工君からはその後の連絡が来ない。
花火、始まっちゃうよ…。
せっかく浴衣も着てきたのに。
凄い人混み。この中で花火を見ても、誰も私が一人だなんて思わないだろう。
待ち合わせに選んだ場所も人が増えてきて、合流が難しそう。
私は工君に近くの公園で待っている旨を連絡してから移動した。
公園は木々が生い茂っており花火が全く見えず、誰一人としていなかった。
音だけが鳴り響く。花火の打ち上げが始まった。
ーーーー
ドンドンと花火がラストスパートを迎える。
結局工君からの連絡が来ないまま、花火大会は終わった。
辺りは花火観賞を終えた人達がゾロゾロと帰り道を歩いていた。
その中に紛れる勇気もなく、しばらくその場を動けなかった。
落ち着いた頃、
「私も帰ろ」
ベンチから腰を上げると、
「●●さん!」
大量の手持ち花火を持った工君が駆け寄ってきた。
「工君!」
「間に合わなくてごめんなさい!」
息も切れ切れになり、急いできてくれたのが分かる。
「本当だよ」
私、自分が思っていたよりも工君と見る花火を楽しみにしていたんだ。
そのとき初めて気付いた。
「代わりにはならないかもしれませんが、コレ買ってきたので……一緒にやりませんか?」
「やる……」
少し不貞腐れながらも、でもやっぱり嬉しくて、きっと私は何とも言えない変な顔をしている。
バケツに水を入れ、火の用意をした。
「手持ち花火、久しぶりかも」
「俺もです」
パチパチと雪の結晶のような細かい火の粉が飛び散る。
さっきまであんなに大きな花火の音を聞いた私からしたら、とても可愛らしく感じた。
「練習頑張った?」
遅れたんだから、ちゃんと頑張ったんだよね?と言う意味を込めて嫌みっぽく聞いた。
「……はい、本当にすみませんでした。言い訳もありません」
「……」
「……」
「……ふふっ」
自分からしんみりした雰囲気を作ったのに、何故かそれが可笑しくて笑ってしまった。
「ごめん、ごめん。もう怒ってないよ。約束守ってくれてありがとうね」
「遅刻しましたけどね」
「いいよ、お詫びはちゃんと受け取ったから」
そう言って私は軽く花火を振った。
私が帰っていたらこの花火どうしていたんだろう。
チームメイトとやっていたのかな。
そう言えば、
「工君って学生寮でしょ?門限は大丈夫?」
「過ぎてます…」
「あらら、悪い子だ」
「俺が悪い子になるのは●●さんの前だけなんで」
持っている花火の火が消え、次の花火を選ぶ工君。
私は無性に工君に触れたくなった。
よそ見をしている工君の頬にちゅっと軽く触れるだけのキスをした。
「え!!……はっ?!……今…」
キスされた頬に手を当てて驚く工君。
「共犯者だね。……さーて、次はどれやろうかな!」
大きな花火は見られなかったけど、小さな花火も捨てたもんじゃない。
忘れられない思い出となった。
後日聞いた話しによると、帰宅した工君は寮母さんに誤魔化してくれたチームメイトに弄られたらしい。
“すみません、急遽社会人チームと練習試合をすることになって…。間に合うとは思いますが、遅くなるようならまた連絡します”
その連絡が来たのがお昼頃。
あと少しで約束していた時間なのに、工君からはその後の連絡が来ない。
花火、始まっちゃうよ…。
せっかく浴衣も着てきたのに。
凄い人混み。この中で花火を見ても、誰も私が一人だなんて思わないだろう。
待ち合わせに選んだ場所も人が増えてきて、合流が難しそう。
私は工君に近くの公園で待っている旨を連絡してから移動した。
公園は木々が生い茂っており花火が全く見えず、誰一人としていなかった。
音だけが鳴り響く。花火の打ち上げが始まった。
ーーーー
ドンドンと花火がラストスパートを迎える。
結局工君からの連絡が来ないまま、花火大会は終わった。
辺りは花火観賞を終えた人達がゾロゾロと帰り道を歩いていた。
その中に紛れる勇気もなく、しばらくその場を動けなかった。
落ち着いた頃、
「私も帰ろ」
ベンチから腰を上げると、
「●●さん!」
大量の手持ち花火を持った工君が駆け寄ってきた。
「工君!」
「間に合わなくてごめんなさい!」
息も切れ切れになり、急いできてくれたのが分かる。
「本当だよ」
私、自分が思っていたよりも工君と見る花火を楽しみにしていたんだ。
そのとき初めて気付いた。
「代わりにはならないかもしれませんが、コレ買ってきたので……一緒にやりませんか?」
「やる……」
少し不貞腐れながらも、でもやっぱり嬉しくて、きっと私は何とも言えない変な顔をしている。
バケツに水を入れ、火の用意をした。
「手持ち花火、久しぶりかも」
「俺もです」
パチパチと雪の結晶のような細かい火の粉が飛び散る。
さっきまであんなに大きな花火の音を聞いた私からしたら、とても可愛らしく感じた。
「練習頑張った?」
遅れたんだから、ちゃんと頑張ったんだよね?と言う意味を込めて嫌みっぽく聞いた。
「……はい、本当にすみませんでした。言い訳もありません」
「……」
「……」
「……ふふっ」
自分からしんみりした雰囲気を作ったのに、何故かそれが可笑しくて笑ってしまった。
「ごめん、ごめん。もう怒ってないよ。約束守ってくれてありがとうね」
「遅刻しましたけどね」
「いいよ、お詫びはちゃんと受け取ったから」
そう言って私は軽く花火を振った。
私が帰っていたらこの花火どうしていたんだろう。
チームメイトとやっていたのかな。
そう言えば、
「工君って学生寮でしょ?門限は大丈夫?」
「過ぎてます…」
「あらら、悪い子だ」
「俺が悪い子になるのは●●さんの前だけなんで」
持っている花火の火が消え、次の花火を選ぶ工君。
私は無性に工君に触れたくなった。
よそ見をしている工君の頬にちゅっと軽く触れるだけのキスをした。
「え!!……はっ?!……今…」
キスされた頬に手を当てて驚く工君。
「共犯者だね。……さーて、次はどれやろうかな!」
大きな花火は見られなかったけど、小さな花火も捨てたもんじゃない。
忘れられない思い出となった。
後日聞いた話しによると、帰宅した工君は寮母さんに誤魔化してくれたチームメイトに弄られたらしい。