〜第一章〜 酔っぱらい女からアンタ
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「いやー送って貰っちゃってごめんなさいね」
ついつい楽しくて飲み過ぎてしまった。
「そう思うなら酒の量をセーブしろよ」
佐久早聖臣は顔をしかめならがも、律儀に送ってくれる。
自分で歩けるだろ、と肩は貸してくれないが。
「吐いてないだけマシじゃない?」
「ふん」
夜の町は静か。二人の足音が響く。
まるで私たちしかいないみたい、なんてね。
家までの短い距離がより一層短く感じた。
「送ってくれてありがとう。よければ上がってく?」
「……」
やっぱりダメか。潔癖症だもんね。
「早くドアを開けろ。ドアノブは菌が多くて触りたくない」
「はい!ただいま」
ドアを開けると、佐久早聖臣は驚いたのか目を見開いた。
「玄関にあったごみ袋の山がなくなってる」
「ごみ袋の山?……あー元カレ関連の物ね。全部捨ててやった」
そもそもいつの話をしているのか。
あんなん、まとめた次のごみの日に出した。
ひょっとして、ごみを溜め込む汚部屋住民だと思われていた?
一人暮らしを初めて早々に元カレが住み着いたから、最低限の家具家電以外は元カレの趣味で増えていった不要品。
「まあ、立ち話もなんだし、どうぞ」
家に上がった佐久早聖臣は初めて来たとき同様部屋の角にもたれかかる。
「なんでそこなの」
「どこに菌が付いてるか分からないから」
「そうですか……何か飲む?」
「人が作ったものは口にしない」
人がと言うより素人の人がと言う意味か。だって外食はしてたから。
まあ、我が家には缶の飲み物しかないけどね。お茶は淹れないとない。
「缶ビールか酎ハイしかないけど」
「これ以上は体に悪いからお酒もいらない」
そんなことを言われると益々酔っぱらった佐久早聖臣を見たくなった。
そんなことを言うと怒られるので言わないが。
「見ているところで沸かしたお茶なら大丈夫?」
佐久早聖臣は少し悩んだ後、無言で立ち上がった。
了承を得たのだろう。
手を石鹸で洗い、鍋も綺麗にしているけど念のために目の前で改めて洗ってやった。
その鍋でお湯を沸かす。
その間に急須に茶葉を入れる。
沸騰前の鍋のお湯を湯呑みに注ぎ、しばらくしてからそのお湯を急須移す。
1分くらいだろうか、葉が開いたら急須を回して湯呑みに注ぐ。
「これなら飲めそう?」
「ああ」
良かった、合格を頂けた。
リビングに戻りローテーブルに茶托と湯呑みを置き、私は座椅子に座った。
遠回しにもう一つの座椅子に佐久早聖臣も座るように誘導したけど、さあどうだろう。
佐久早聖臣は鞄からハンカチを取り出し、座椅子に敷きその上に座った。
なるほど、そう出たか。
「ねえ、佐久早聖臣って誰かを好きになることってあるの?」
「は?」
「いや、変な意味じゃなくてそこまで潔癖だと難しそうだなって」
佐久早聖臣のファンとして知りたいって言うのもあるが、観察していてここまで潔癖症だと自分以外はバイ菌としてでしか見ていなさそうで、純粋に気になった。
「……ある」
「え?」
意外な返答で思わず聞き返してしまった。
「恋人、いたことはある」
「そ、そうなんだ…………今は?」
「……お前が言うとおり俺は潔癖……慎重すぎるところがある」
あくまで潔癖と認めないようだ。
「だから、恋愛の良さが分からなくて、もう恋人はうんざりだ」
もったいない。そう思ってしまった。
「それなら私と恋愛の楽しいところ見つけようよ!」
「振られて泥酔した人がそれ言うのか?」
「うぐっ……」
「まあ、アンタなら試してみてもいいか」
“お前”から“アンタ”になりました。
名前で呼ばれるのももう一頑張りかも。
ついつい楽しくて飲み過ぎてしまった。
「そう思うなら酒の量をセーブしろよ」
佐久早聖臣は顔をしかめならがも、律儀に送ってくれる。
自分で歩けるだろ、と肩は貸してくれないが。
「吐いてないだけマシじゃない?」
「ふん」
夜の町は静か。二人の足音が響く。
まるで私たちしかいないみたい、なんてね。
家までの短い距離がより一層短く感じた。
「送ってくれてありがとう。よければ上がってく?」
「……」
やっぱりダメか。潔癖症だもんね。
「早くドアを開けろ。ドアノブは菌が多くて触りたくない」
「はい!ただいま」
ドアを開けると、佐久早聖臣は驚いたのか目を見開いた。
「玄関にあったごみ袋の山がなくなってる」
「ごみ袋の山?……あー元カレ関連の物ね。全部捨ててやった」
そもそもいつの話をしているのか。
あんなん、まとめた次のごみの日に出した。
ひょっとして、ごみを溜め込む汚部屋住民だと思われていた?
一人暮らしを初めて早々に元カレが住み着いたから、最低限の家具家電以外は元カレの趣味で増えていった不要品。
「まあ、立ち話もなんだし、どうぞ」
家に上がった佐久早聖臣は初めて来たとき同様部屋の角にもたれかかる。
「なんでそこなの」
「どこに菌が付いてるか分からないから」
「そうですか……何か飲む?」
「人が作ったものは口にしない」
人がと言うより素人の人がと言う意味か。だって外食はしてたから。
まあ、我が家には缶の飲み物しかないけどね。お茶は淹れないとない。
「缶ビールか酎ハイしかないけど」
「これ以上は体に悪いからお酒もいらない」
そんなことを言われると益々酔っぱらった佐久早聖臣を見たくなった。
そんなことを言うと怒られるので言わないが。
「見ているところで沸かしたお茶なら大丈夫?」
佐久早聖臣は少し悩んだ後、無言で立ち上がった。
了承を得たのだろう。
手を石鹸で洗い、鍋も綺麗にしているけど念のために目の前で改めて洗ってやった。
その鍋でお湯を沸かす。
その間に急須に茶葉を入れる。
沸騰前の鍋のお湯を湯呑みに注ぎ、しばらくしてからそのお湯を急須移す。
1分くらいだろうか、葉が開いたら急須を回して湯呑みに注ぐ。
「これなら飲めそう?」
「ああ」
良かった、合格を頂けた。
リビングに戻りローテーブルに茶托と湯呑みを置き、私は座椅子に座った。
遠回しにもう一つの座椅子に佐久早聖臣も座るように誘導したけど、さあどうだろう。
佐久早聖臣は鞄からハンカチを取り出し、座椅子に敷きその上に座った。
なるほど、そう出たか。
「ねえ、佐久早聖臣って誰かを好きになることってあるの?」
「は?」
「いや、変な意味じゃなくてそこまで潔癖だと難しそうだなって」
佐久早聖臣のファンとして知りたいって言うのもあるが、観察していてここまで潔癖症だと自分以外はバイ菌としてでしか見ていなさそうで、純粋に気になった。
「……ある」
「え?」
意外な返答で思わず聞き返してしまった。
「恋人、いたことはある」
「そ、そうなんだ…………今は?」
「……お前が言うとおり俺は潔癖……慎重すぎるところがある」
あくまで潔癖と認めないようだ。
「だから、恋愛の良さが分からなくて、もう恋人はうんざりだ」
もったいない。そう思ってしまった。
「それなら私と恋愛の楽しいところ見つけようよ!」
「振られて泥酔した人がそれ言うのか?」
「うぐっ……」
「まあ、アンタなら試してみてもいいか」
“お前”から“アンタ”になりました。
名前で呼ばれるのももう一頑張りかも。