とある日
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~とある喧嘩した日~
先日、聖臣にお腹を摘ままれて柔らかいと言われてしまった。
標準体型だと思っていただけあってショック。
聖臣みたいに運動したいけど、ちょうど仕事が繁忙期に入ってしまい、そんな時間は取れそうにない。
手っ取り早くご飯を抜くか……。
食事時間を削れば、その分仕事にも充てられるし。
「お腹空いた……」
だけど、さすがにいつもの半分以下の食事量になってから1週間、疲れも相まって力が出なくなってきた。
フラフラの足取りで帰宅。
「ただいま~」
「おかえり」
あ、聖臣がいる。
ここ最近はすれ違っていて顔を合わせる機会がなかった。
一緒に暮らしているのにね。
「見ないうちにやつれたか?」
「気のせいじゃない?お風呂入るからそこどいて?」
聖臣の横を通り抜け、浴室へ向かった。
服を脱ぐと申し訳程度にあばらが浮かび上がっていた。
それなのに、お腹はまだぷにぷにする。
醜い体型だ。
こんなはずじゃなかったのにな。
お風呂を済ませリビングに行くと、珍しくご飯の用意ができていた。
「聖臣が作ったの?」
「俺以外誰がいる」
「テイクアウトとか、宅配……?」
だってキッチンが汚れるの嫌がっていたから。
時間がないときとか疲れているときは外食かテイクアウトに頼っていたけど。
いつもは大抵私がご飯を作って、片付けまでしていた。
すれ違いで顔を合わせていない間も、聖臣の分のご飯だけは作っていた。
「最近まともにご飯食べてないだろ」
私が食べた形跡がないことに気づいていたのか。
「食欲がなくて………夏バテかな。アハハ」
苦しい言い訳なのは分かっている。
乾いた笑いしか出て来なかった。
「俺が作ったのも食べてくれないのか?」
「……」
食べてもらえない悲しさは知っている。
付き合って間もない頃、潔癖症の聖臣にあれはダメ、これは大丈夫、などと食べてもらえなかったことがあったから。
「聖臣だって私が作ったご飯を食べないときがあったじゃん!」
そんなことが言いたいんじゃない。
確かに最初は食べてくれなかったけど、最近は色々と食べてくれるようになったから。
でも、昔の自分を棚に上げた発言をした聖臣が許せない。
「今、その話は関係ないだろ!」
「か、関係なくないよ!」
どんどんヒートアップしていく。
「他に食べたくない理由があるのかよ!」
「痛っ」
聖臣に思いっきり両肩を掴まれた。
「は?……なんだよこの腕。こんなにやつれて」
身体を触られたらもう誤魔化せないかもしれない。
「………聖臣に柔らかいって言われたから」
「いつだよ」
「ほら、一緒にお風呂に入ったとき」
「………」
思い出したのか、黙ってしまった聖臣。
「ごめん、そんなつもりで言った訳じゃない」
聖臣はそんなつもりじゃなくても、こっちは相当傷付いた。
「だって聖臣は体調管理に厳しいじゃん。デブは管理不足だからって思ってそうで……」
「●●は太ってなんかいない」
「嘘だ」
「嘘じゃない」
「これ見てもそんなこと言える?」
私は部屋着をたくし上げてお腹を見せた。
「あばらは浮いていても、お腹ぷにぷになんだよ?」
「ご飯、食べろよ…」
まだそんなこと言うの?
「俺はぷにぷにでも、柔らかくても●●だから好きなんだ。……だから食べろよ」
「……」
そこまで言うなら信じるよ?
「デザート……」
「?」
「デザートも食べたい」
恐る恐る聖臣の顔を見ると、呆れたような、だけどどこか優しく笑っていた。
「ご飯食べたら買いに行くぞ」
「うん……」
聖臣が作ってくれたご飯は少し冷めていたけど、何故か温かく感じた。
ーーFinーー