とある日
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~とある大掃除の日~
大掃除は何も年末だけのイベントではない。
我が家、正確には聖臣は月1で大掃除をしている。
今日メインで掃除する場所は脱衣所。
先日のテレビ番組で洗濯機の掃除特集を見てから、掃除がしたくて仕方がなかったらしい。
掃除開始するや否や聖臣はいきなり洗濯機を分解し始めた。
合間合間にスマホで写真を撮りながら。
私は例の番組を見ていなかったけど、そこまでするものなの?
「元に戻せるんだよね?」
「大丈夫だ」
本当かな?と半信半疑のまま、聖臣に洗濯機を任せて、私は洗面台を磨くことにした。
毎日適度に掃除をしているから、磨く作業自体は大して時間はかからず終わった。
そして今日のメイン、秘密兵器の泡大噴射バブル!
排水管の汚れを泡でごっそり退治する掃除道具らしい。
お手並み拝見。
排水溝を塞ぐようにノズルを装着。噴射!
「おー泡が凄い」
この状態でしばらく浸け置きするみたいだから、待っている間に他のところでも試してみたい。
説明書きにはお風呂用とは書いていないけど、構造は同じだし行けるはず!
「聖臣、ちょっとお風呂の方もやってくるね!」
「おー」
洗濯機と格闘している聖臣の横を通り抜けて浴室に入り、バスタブに噴射!
こっちもしばらく浸け置きっと。
さて、聖臣の方はどうなったかな。
「見事にバラバラだね」
「これから掃除」
分解と組み立ては出来ないけど、掃除なら手伝える。
「防水パンは私が掃除するね」
「頼む」
夢中になって二人して掃除をする。
潔癖なのに埃やヘドロで汚れながら掃除をする聖臣の姿になんだか微笑ましく思った。
ーーーー
あらかた掃除も終わったところで、浸け置きしていた洗面台とお風呂も洗い流した。
残すは洗濯機の組み立てのみ。
聖臣に任せている間にお昼ご飯でも作っておこうかな。
「お昼ご飯作るけど、何食べたい?」
「さっぱりした物」
「おっけー」
さっぱりって言うと何にしよう。
聖臣の好きな梅干しを使ったメニューかな。
冷蔵庫の中身と相談した結果、簡単なツナと梅肉パスタを作ることにした。
パスタを茹でている間に調味料を合わせて、大葉を切って、と。
なんやかんややって最後に綺麗に盛り付けたら完成。
さて、聖臣の方の進捗具合はどうかな。
「ご飯出来たけど組み立て終わった?」
脱衣所に行くと元通りになった洗濯機。
「凄いじゃん」
だけど聖臣は静かに自分の手のひらを見つめていた。
覗き込んでみると、そこには1本のネジが……。
サーっと血の気が引いた気がした。
「え、それって……」
「組み立て終わったら1本出てきた」
絶対に洗濯機のネジだよね?
可動させたら爆発するとか水漏れとかしないよね?
「もう一度分解する?」
「先にご飯にする」
冷めないうちに食べてくれるのは嬉しいけど、洗濯機が気が気じゃない。
そして、食べ終わった後にもう一度分解して組み立て直した結果が。
「私の見間違えかな?ネジ増えてない?」
「……」
「取り扱い説明書持ってくる」
と、用意したはいいものの、当たり前だが企業側も分解することを想定していないから、部品一つ一つの組み立て方なんて記載されていない。
「業者呼ぶ?」
「……」
うわー、凄く嫌そうな顔している。
他人を家に入れたくないのか、失態を見られたくないのか。
「それなら後一回だけやり直しして、ダメだったら呼ぼう」
「分かった」
日が暮れると今日中に呼べなくなるので、これが妥協案。
集中力が切れそうになりながらも、聖臣があらかじめ撮っていた洗濯機の分解写真と照らし合わせて、一つ一つパーツを組み立てていく。
最後のネジを締めて……私は聖臣と顔を合わせた。
「ネジ余ってない?」
「ああ」
「落ちてない?」
「ああ」
「てことは……」
「終わった」
「やったー!」
嬉しくて、思わず抱き締めてしまった。
「疲れた、早くお風呂に入りたい」
その言葉に慌てて聖臣から離れた。
そうだよね、午前中から洗濯機と葛藤していたもんね。
「本当にお疲れさま」
「●●も付き合わせて悪かった」
「さっ、早くお風呂入っちゃいな?私も入りたいから」
「………一緒に入るか?」
「えっ!?」
疲労のあまり頭でもおかしくなったんじゃないかと心配になる発言。
だって他の人の菌が入る前に入りたいと言っていたあの聖臣が。
私が入った後、必ずお湯の張り替えをしていた聖臣が、一緒に入る……だと!?
「嫌ならいい」
「嫌じゃないよ!喜んで入らせて頂きます!」
いつもより大変な大掃除になったけど、こんな聖臣が見られるのなら、たまにはいいかなと思った。
ーーFinーー